評価:★★★★★


日々の生活に疲れ、自殺するために遠い地へ来た主人公。

しかし、自殺に失敗して死ぬ気力を失ってしまった彼女はその地で何も考えず、日々を過ごしていた。

そして自分がどうしていきたいかということに気づいていく…。


やはり瀬尾さんの小説は読みやすいなー。

情景や人格もそうだけど、頭で考えなくてもスッと体に入ってくる。


主人公、千鶴は自分では繊細で気が弱いと思っていても、自殺に失敗してからはどこか抜けていて、暢気な性格。人間関係や仕事で悩んでいた時はいっぱいいっぱいだったかもしれないけど、自分の中で区切りがついて素の自分が出てきたのかもしれない。

千鶴がお世話になった民宿の主、田村さんのキャラも面白い。むさ苦しく、田舎に馴染んでいる彼だが、彼も色々な思いをもって生活をしている。


田舎で色んな思いを抱えた男女が同じ屋根の下で生活したら…

と、ありがちな展開が安易に予想されるけど、この結末は良かった。


今の生活に不満がある人、ストレスで頭がパンクしそうな人なんかにおすすめの本。

短いからサクッと読めるところもおすすめ。