【本】サラリーマン球団社長 | 野球と映画、ときどき…

野球と映画、ときどき…

野球中心にスポーツ観戦が大好きです

ただ、映画鑑賞は私のライフワーク

吹奏楽、美術鑑賞、舞台鑑賞そして猫

好奇心のおもむくまま「おきらく」に

生活を楽しむをモットーにしています

サラリーマン球団社長(清武英利著・文藝春秋・1,760円)

阪神タイガース元球団社長・野崎勝義氏と

広島東洋カープ・鈴木球団常務

サラリーマンとして組織の中で

戦ってきた2人の男の軌跡を追う

 

面白かった~爆  笑

タイガースファンはもちろん

カープファンそして野球ファンにも

声を大にしてお勧めできる本です。

そして、これは球団裏話ではなく

ビジネス書(ドキュメンタリー)と

なっているので

野球にさほど興味のない方にも

組織の改革者の奮闘記として

楽しんでもらえると思います。

 

作者の清武英利さんは

野球ファンならご存じのはず。

読売新聞記者から読売ジャイアンツの

球団社長に出向した経歴の持ち主。

その後ノンフィクション作家に転じ

多くの著書を世に送り出しました。

関係者への緻密な取材と

共に球団経営に携わった経験からくる

深い洞察力と共感。

読み応えあります。

 

もともとは週間文春に

昨年12月から今年の5月まで

連載されていたコラム

サラリーマン球団社長

阪神と広島を変えた男たちです。

今回、発刊に当たって新たに

加筆訂正が加えられています。

連載当時に読んだわと言う方も

改めて知るエピソードが多いはずです。

 

あとがきにも書かれていましたが

著者の執筆を後押ししたのは

長年の疑問だったそうです。

それは日本の球団でBOS

(ベースボール・オペレーション・システム)を

初めて開発したのが

阪神タイガースだったという事実。

BOSというシステムは

ブラピ主演の映画

「マネーボール」にも詳しく

描かれていますから

お時間がある方は

映画も併せて観てください。

BOSは、てっきり日ハムが

開発したものと思っていました。

そして、開発されたけど

運用されなかった事実。

守旧派の強い抵抗で

うまくいかないのは

大阪都構想における

自民大阪府連のようなもの。

また、国税電子システム(e-tax)で

10年以上前から電子署名を

採用しているのに

ハンコのこだわる政府のようなもの。

今頃、目安箱だの遅いっちゅうねん。

でも、今やらなければいつまでたっても

変わらないし、暮らしもよくならない。

改革には覚悟と決断とスピードが必要です。

 

著者は当人や関係者の証言などから

事実を丁寧に救い上げ記しています。

虎番記者の実名こそ

あげていないけど

直ぐ予測はつくし

他の登場人物もほぼ実名です。

私には半沢直樹以上に面白かったけど

エピソードが生々しいのと

実在する人物が多数登場するがゆえに

ドラマ化、映画化は無理でしょうね。

 

2人のサラリーマンが

何を改革しようとして

何をなし遂げられなかったのか

一方、何を成し遂げたのかの評価を

読者の判断に委ねています。

 

監督の首を挿げ替えるだけでは

タイガースは変わらないな。

でも、20年前のタイガースにも

改革に挑んだ勇敢なサラリーマン社長が

居たという事実を知ることができて

少し嬉しかったのも事実です。