基地の近くに生家があり、生まれたときから、常に頭の上を戦闘機が飛んでいました。

それが私にとっての「普通」だったんです。

沖縄の空は、日常的に戦闘機のエンジン音で鳴り響いていました。

 

 

でも、5歳のときに家族で沖縄から内地へ引っ越しました。それまで日常だった戦闘機の音が聞こえなくなったこと、新しい生活環境に少しずつ慣れていったことを覚えています。

内地での生活では、飛行機が遠い空の上を静かに飛ぶ光景が新鮮でした。
ここに住んでいる人たちは飛行機が頭の上を低く飛ぶ光景を日常とは思っていないんだな、と改めて感じました。

 

この引っ越しは、私のアイデンティティを考えるきっかけにもなりました。小学生低学年のころ、同級生の男の子に沖縄生まれだと話すと「アメリカ人」といわれたことがありました。少し意地悪な語感で。

「なぜ?」と思うと同時に、少し腹立たしく、それがきっかけで、「日本人」というよりも「自分は沖縄人なんだ」と強く認識するようになりました。

(しかしその思考も、大人になる過程で少しずつ変わっていきましたけどね。)

 

 

    

この経験を通して、私たちの「普通」は場所によって大きく変わることを痛感しました。そして、そうした違いを知ることで、平和への理解を深めることができるのではないかと思うのです。