2019年の暮れ、世界がコロナウィルスの脅威に襲われた。


2020年、オーストラリアはいち早く国境を閉鎖。


1月から小学校に通い始めた娘(オーストラリアはプレップと言って準1年生)だったが、学校も閉鎖。


ホームスクーリングという自宅学習を余儀なくされた。


オンラインで課題を出されるのだが、学校が始まったばかりで娘も私も何をどうすれば分からない。


英語の壁というよりも、オーストラリアの小学校に通った事がない私には学校のカリキュラムが全く分からない。


不慣れながらの娘の勉強に付き合うが、ストレスが溜まる。


私の職場もロックダウンで仕事に行けない日々が続いた。


暫くして学校が再開され、私も職場復帰をしたのだが、腰を痛め暫く休職を余儀なくされた。


幸い、有給、病欠扱いになり、収入はあったのだが、コロナの混乱、自分の身体の故障が重なり、自分の今後を深く考えるようになった。


ある日、娘が学校に行っている間、私は仕事に行けず、近くのカフェでお茶をして、湖の近くを散歩しながらこれからの事を深く考えていた。


「いつまたロックダウンが起こって自宅待機を余儀なくされるか分からない。 

有給や病欠がなくなれば収入は?

自分の子供を家でみながら仕事ができないだろうか。 

いや、自宅は借家だし、家で仕事は難しい。

ならばトレーラーを買って移動式のトリミングサロンをやってみようか。」


ぼんやりと考えながら、中古のトレーラーを検索していた時だった。


オーストラリア版の「売ります買います」のサイトに、犬のトリミングサロンビジネスが売りに出されていた。


私の自宅からそれほどに遠くない場所。

値段もそこまで高くない。


しかし、投稿された日付が2か月前と古いもので、もう既に売られているかもしれない。


ビジネス自体は安いが、テナント費用が高いのでは?


そう思いながらもメッセージを送った。


「投稿拝見しました。このビジネスはまだ売られていますか?」


返事はすぐにきた。


「はい、まだ売りに出ています。」


2ヶ月もの間売れないビジネスもどうなのだろうか?と思いながらも、店を見るだけ見てみようと思った。


数日後、この店を訪れる事になった。