こんにちは!岡村晃平です。

 

近所に朝から行列が絶えないパン屋があります。香ばしい小麦の匂いが漂ってくると、つい列の最後尾に並びたくなるのが人の性というものです。しかし、私はその行列を横目に見ながら、あえて少し離れた場所にある静かな喫茶店へと足を運びます。データアナリストとして約十年間、数字の裏側にある人の心の動きを追い続けてきた私にとって、行列とは単なる人気の指標ではなく、時に判断を狂わせる甘いノイズのように見えることがあるからです。

多くの人は、並んでいる人が多いほどその価値が高いと直感的に判断します。これをビジネスでは安心感と呼びますが、一方で並ぶことに費やす時間という貴重な資源を、パン一個の満足度と天秤にかけている人は意外と少ないものです。私がパンを買わないのは、パンが嫌いだからではありません。その行列に並ぶ十五分間で、自分がどれだけ新しいアイデアを閃き、どれだけ深く今日の仕事の戦略を練ることができるかを計算してしまった結果なのです。もし十五分という時間を投資して、得られるのが一瞬の味覚の快楽だけだとしたら、それは私の人生という事業においては、少しだけ効率の悪い投資判断になってしまいます。

もちろん、たまには何も考えずに美味しいものを求めて並ぶ時間も人生には必要です。しかし、私たちが日常で行っている選択の多くは、こうした無意識の行列への同調で決まってしまっています。みんなが使っているからこのアプリを使う、みんなが良いと言っているからこの商品を売る。そうした思考の癖が、実はビジネスの現場で本当に解くべき課題を曇らせていることがあります。私はデータのプロとして、あえて行列から一歩離れ、誰も並んでいないけれど実は素晴らしい価値が眠っている場所を探し出すことに無上の喜びを感じます。

静かな喫茶店でゆっくりと流れる時間の中で、私は今日の仕事のアクションプランを練り上げます。混雑した店内で焦って選ぶパンよりも、落ち着いた環境で研ぎ澄まされた思考の方が、結果として大きな売上や顧客の笑顔に繋がることを知っているからです。行列の先に正解があるとは限りません。むしろ、行列を解散させた後に残る静寂の中にこそ、本質的な勝機が隠れているものです。

皆さんも、明日もし街で行列を見かけたら、立ち止まって自分に問いかけてみてください。その列の先に、あなたの時間は見合っていますか。あえて並ばないという選択をすることで、今まで見落としていた別の扉が開くかもしれません。数字は嘘をつきませんが、人の行列は時として心地よい嘘をつきます。その嘘を見破り、自分だけの最短ルートを見つけ出す快感を、ぜひ一度味わってみてほしいのです。それこそが、日常を自分らしくデザインする第一歩になると私は信じています。