白須慶子さん「沙也可」 | オカポンのブログ

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岡本 誠 OKAMOTO Makoto



白須慶子さんの舞台「沙也可」を渋谷区文化総合センター大和田伝承ホールで観ました。昨年に続く2回目の上演です。
白須さんは、日本の武士と恋仲の韓国人を演じており、複雑な心情を艶やかに表現していました。今回は上演後の舞台挨拶の番だったようで、日韓の問題を考えるにきっかけとなれば、と素敵な挨拶をされていました。

沙也可は、豊臣秀吉の朝鮮半島侵攻に参加したが、朝鮮に寝返り日本と戦い、朝鮮に帰化した武将の話。彼は朝鮮半島では英雄だ。

ラブストーリーだが政治的な疑念が気になり穏やかに観ることができなかった。

まず沙也可は正しいか、という疑念である。

朝鮮半島侵攻に正義がないとしても、日本軍として参加した以上、前線でのサボタージュは不誠実である。銃の狙いを外せ、という指示をしているのだ。それなら出兵参加を拒むべきであった。

また日本軍が非人道的であったとしても、反戦を訴えて逃げるのなら分かるが、朝鮮に寝返るのは、裏切り者と言わざるを得ない。故郷の家族がどう思うだろうか。

もう一つの疑念は朝鮮を徹底して賛美している所。

朝鮮人が兄弟を日本軍に殺された、という理由で沙也可を許せない、という若者がいたが、その日本軍と沙也可は別だ、ということで説得される。これは正に今の朝鮮の人に言いたいことだ。

最後に沙也可の軍勢が皆朝鮮に帰化し韓服を着て並んで整列していた。自分は舞台が朝鮮に乗っ取られた、そういう感覚を持ってしまった。仮に逆のことを朝鮮で上演したらどうだろうか。そんなことは不可能ではないかと思う。そういう意味で、このラストに拍手を送ることのできる日本人は、とても心が広く余裕があるなあ、と感じた。

一方、逆に、他国に占領され文化的不自由を強いられたことがない日本人だからこそ、こういうことに鈍感なのか、とも思った。