なぜ起きた「オリンパス問題」 - 真のトップマネージメントとは?
今月8日、内視鏡でも世界に7割のシェアを持つオリンパスが、90年代から有価証券投資などの損失を隠し、過去の企業買収に伴う投資助言会社への支払いや買収資金を損失の穴埋めに流用していたと発表した。これに伴い、副社長を解任、常勤監査役も辞任する意向を示し、10月26日には菊川剛前会長兼社長が辞任している。
市場では、同社のコンプライアンス(法令順守)への不信感が高まっており、10月14日のマイケル・ウッドフォード氏解任以降、株価は8割近く下がっている。
これら一連の事件では、一体どこに問題があったのか。
この問題で、日本企業のガバナンスや会計処理に対する信頼性が疑問視されている。
確かにその通りではあるが、問題は、もっとその根本にあると私は考える。
かの有名な、P.F.ドラッガーは、著書の中でこう説いている。
「あらゆる国の取締役会に共通することがある。それは、どれも機能を果たしていないという事実である。」
本来、取締役会の役割は、トップマネジメントに対し助言し、忠告し、相談相手となり、成果と業績を要求するべき機関である。
また、企業の危機にあっては、英知と決断を持って行動し、時には、組織をその様な危険にさらしたトップマネジメントを交替させる、その様な機関で在らなければならない。
しかし、現在の社会において、特に今回のオリンパスや、先の西武鉄道に見られるような、同族支配が長く続いている企業では、トップマネジメントは、このような”成果をあげる取締役会”の存在を好まない。
彼らは、取締役会が虚構になったことに満足し、完全に消滅することさえ望む。
完全な社内取締役になっているならば、すなわちトップマネジメントが完全に支配しているならば、取締役会はすでに消滅したといってよい。
2011年6月に、同社の代表取締役に就任したマイケル・ウッドフォード氏は、 今回の問題発覚のきっかけとなった、企業買収に伴う投資助言会社への支払いの異常に気付き、取締役会に調査の要請と、トップマネジメント層に退陣の申し出をしたことにより、わずか4ヶ月後に解任された。
今回の問題で露呈したのは、本来社会をけん引していくはずの、世界有数の企業にさえ、真のトップマネジメントと取締役会が不在で、本来の職務を全うしようとする、勇気とモラルと正義を兼ね備えた、本当のトップマネジメントが排除される風土にあるということではないかと考える。
