こんにちは。

アレテーを求めて~

今日もトコトコ( ・ω・)

弁護士の岡本卓大です。

 

『宇宙一わかりやすい僕らの神話のお話( ・ω・)』

オオクニヌシの国譲りシリーズです。

 

 

日本の国作りを進めたオオクニヌシ。

しかし、アマテラスの命を受けた天津神達の地上侵攻が始まる。

果たして、オオクニヌシは、どんな決断をし、そして、

日本はどうなるのか?

衝撃の最終回。

今回は、

後編 ~そして、国譲りへ

です。

 

自らの孫による地上の直接統治を希望するアマテラスは、

その足固めのため、地上に天津神(アマツカミ)達を派遣します。

そして、オオクニヌシのいる出雲には、アメノホヒ、

アメワカヒコを次々と派遣します。

しかし、アメノホヒはオオクニヌシの部下となってしまい、

アメワカヒコは、オオクニヌシの娘と結婚して、いずれも

高天原(タカマガハラ)に帰ってきませんでした。

そこで、アマテラスは、タケミカヅチを総司令官、

アメノトリフネを軍師とする地上征伐の軍を派遣します。

天津神の軍勢は、九州、四国、中国地方の各国を次々と

攻略していきます。

 

地上、安芸国(現在の広島県)

 

イチキシマ「安芸の国の者たちよ。これより、この地は、

この天津神イキチシマが統治する。異存ある者はおるか?」

地元の神「ふざけるな!この地はわしらのものじゃ!」

イチキシマ「ほう。逆らう者がおったか。やはり、邪神たちは、

洗い清めねばならぬの。」

地元の神「いかに天津神と言えど、勝手は許さん!」

イチキシマ「神に逆らう邪神どもよ!これが神の力だ!」

 

巨大な大津波が安芸国を飲み込む!

 

イチキシマ「おや、邪神だけでなく、善良な民たちまで流してしまったか。

まあ、神のなすことじゃ。天災は善人も悪人もかかわりなく、襲い来る。

よし、この宮島は美しいな。私はここに住もう。神の怒りに触れぬよう、

我を祭れよ。」

 

黄泉の国。根之堅洲国。

スサノオが治めるこの国には、数えきれぬ国津神達が送られてきていた。

 

スサノオ「いったい、どうなっとるんじゃ?

なぜ、こんなに地上の神々が一度に死んでおる!?」

クシナダヒメ「あなた。もう大広間は死んだ神々でいっぱいです!」

スサノオ「アマテラス姉ちゃん、なに考えてやがんだよ!」

 

死者たちが大量に集まる大広間に行くスサノオ。

 

スサノオ「おい、おまえ、天狗の大将じゃねえか!

こっちは鬼の大将!おまえは、カッパの大将か!

おいおい、お稲荷さんの狐の大将まで、いるじゃねぇか!」

土蜘蛛大王「あ、あなたは、スサノオ様!」

スサノオ「あんたは?土蜘蛛の大王さんか?」

土蜘蛛大王「スサノオ様・・・アマテラス様はどうされてしまったのでしょうか?

我ら土蜘蛛は、天の岩戸事件の後、人と交わり、平和に過ごしていたのです・・・

そこに突然、アマテラス様の使いを名乗る天津神達がやってきて、邪神は皆殺しだと・・・

我らの罪は許されていなかったのでしょうか?

我らは、生まれが違うと差別され、蹂躙されねばならぬのでしょうか?」

スサノオ「アマテラス姉ちゃんらしくない。あの方は、戦いが大嫌いな方じゃ。

だが、また好戦的な部下どもに担ぎ上げられたか・・・」

土蜘蛛大王「スサノオ様・・・アマテラス様をご説得いただけませんでしょうか?」

スサノオ「ダメだ。俺が出て行ったら、この日本(ヒノモト)が消滅するような

大戦になりかねない・・・

オオクニヌシ~~~!

おまえだけが頼りじゃ~~~!

地上の者たちを

なんとか守ってやってくれ~~~!」

 

出雲国(現在の島根県)。オオクニヌシの宮殿。

 

オオクニヌシ「安芸は津波で流され滅んだらしい・・・」

アメノホヒ「なぜだ・・・?アマテラス様は、地上殲滅など、

お命じではなかった。我らは、平和的に地上の者たちを

従えさせよと命じられていたのに・・・」

アメワカヒコ「アマテラス様は、地上を平定し、

神々を崇める平和的な世を作れとだけお命じになられた。

おそらくは、命を受けた者たちの暴走・・・」

オオクニヌシ「武力を用いれば、どんな理想を掲げていても

悲劇が起こる・・・そんな当たり前のことすら、わからぬのか、

天津神たちは・・・」

スセナビメ「天津神たちの侵攻を防いでいるのは、もうこの出雲と

隣国、因幡のみ・・・因幡には・・・」

オオクニヌシ「ヤガミヒメ・・・どうか無事でいてくれ!」

 

因幡の国・・・ここではヤガミヒメを総大将とする因幡の民たちが、

一丸となって天津神達の軍勢に抵抗していた。

 

ヤガミヒメ「オオクニヌシ様が作りし、この日本(ヒノモト)。

いかに天津神と言えども、勝手は許しません!」

因幡の民「みな、ヤガミヒメ様に続け~!」

天津神大将「ふわはははは!我こそは、因幡攻略軍

総大将。天津神が・・・」

 

ヤガミヒメの放った矢が天津神大将の額を貫く!

 

天津神大将「せ・せめて・・・名乗らせて・・・」(絶命)

ヤガミヒメ「総大将!討ち取ったり~!」

因幡の民たち「おお~~~~~~!!!」

 

キビツヒコ「パチパチパチ。おうおう、すごいねぇ。」

ヤガミヒメ「新手か!?」

キビツヒコ「たく、タケミカヅチの大将、こき使いやがって。

俺は、吉備担当で、因幡担当じゃないっつぅの。」

因幡の民「とりゃ~」

犬神「下郎!下がれ!」

犬神、猿神、雉神が、キビツヒコの周りを固め、

因幡の民たちを切り払う。

 

キビツヒコ「へへへ。オバさん、年喰ってるけど、イイ女じゃねぇ。」

ヤガミヒメ「無礼者!」

 

斬りかかるヤガミヒメ。

しかし、キビツヒコはヤガミヒメの太刀を防ぐ。

キビツヒコは、ヤガミヒメの能力を測定し始めた。

 

キビツヒコ「統率87、武勇78、知力92、政治94、魅力97。

へぇ、オバさん、ずいぶん有能だな。俺の家臣にしてやろうか?」

ヤガミヒメ「このヤガミヒメが、オオクニヌシ様以外に仕えることは無い!」

キビツヒコ「ヤガミヒメ・・・ああ、オオクニヌシの前の女房か。

こいつはいい。こいつを人質にして、オオクニヌシに降伏するように脅してやるか。」

ヤガミヒメ「くっ!」

キビツヒコ「ムダ!ムダ!ムダ!ムダ!ムダ!ムダ!ムダ!ムダ!ムダ!ムダ!ムダ~!!!」

ヤガミヒメ「きゃあ~!」

因幡の民たち「ヤガミヒメ様~!」

 

ヤガミヒメ倒れる。

そのとき!

謎の歌声が聞こえてくる!

 

「ゲ・ゲ・ゲゲゲの~ゲ」

 

キビツヒコ「な、なんだ?この妖気は?」

 

キビツヒコを襲う、黒い疾風!

 

キビツヒコ「何やつ!?」

土蜘蛛皇子「我が名は、土蜘蛛皇子!土蜘蛛一族の頭領なり!」

キビツヒコ「土蜘蛛?まだいやがったのか?え~と。どれどれ・・・

統率94、武勇93、知力82、政治78、魅力87。

おまえも有能だな。犬神、猿神、雉神、やっちまえ!」

犬神・猿神・雉神「ぐっ~~~~!ハラ減った。きび団子くれ!」

キビツヒコ「ああ!?配給分はもうやっただろ?」

犬神・猿神・雉神「足りん!きび団子だけで、どんだけ働かせるんだ?

労働基準法守れ~!」

キビツヒコ「おいおい、この局面でストライキかよ!」

イチキシマ「苦戦しているようだな。キビツヒコ。」

キビツヒコ「おう、イチキシマ!補給の兵糧持ってきてくれたか!」

イチキシマ「あ~?兵糧?安芸は、津波で壊滅じゃ。復興に10年はかかるわ。

兵糧なんぞあるか。」

キビツヒコ「おまえ!何しに来た?」

イチキシマ「手こずってる因幡攻略の救援の命を受けたが。

うちの兵は腹ぺこで戦どころでないな。」

キビツヒコ「ちくしょう!総司令部はなにやってんだ!?」

イキチシマ「兵站は軍略の基本だがねぇ・・・現地調達せよだとよ。」

キビツヒコ「使えねぇ!だから、無能な総司令部は!」

 

ヤガミヒメ「な、なに?内輪もめ?」

白ウサギ「ヤガミヒメ様・・・」

ヤガミヒメ「あなたは?」

白ウサギ「昔、オオクニヌシ様、当時はオオナムチ様でしたが。

に助けられた白ウサギの子孫でございます。

妖怪たちが出雲への抜け道を用意してくれてます。

こちらへ・・・」

土蜘蛛皇子「出でよ!大地に住まう物の怪ども!」

 

妖怪達が、キビツヒコの軍勢を囲む。

兵糧切れで多勢に無勢のキビツヒコ軍は、撤退する。

妖怪達の用意した抜け道を進むヤガミヒメ。

そこに土蜘蛛皇子が追いつく。

 

土蜘蛛皇子「ヤガミヒメ殿。ご無事でしたか。」

ヤガミヒメ「助かりました。ありがとうございます。土蜘蛛皇子殿。」

土蜘蛛皇子「このまま出雲のオオクニヌシ様の下へ行きましょう。

私は、土蜘蛛の里が天津神達に滅ぼされた後、各地の物の怪たちを

集めていました。オオクニヌシ様の下に集い、オオクニヌシ様の意向に

従いたいと思います。」

ヤガミヒメ「そうですね。オオクニヌシ様しか頼れるお方はおりませんね・・・」

 

ヤガミヒメ、土蜘蛛皇子、そして、妖怪達は、出雲のオオクニヌシの下へ向かう。

 

オオクニヌシ「おお、方々、よくぞ参られた。」

土蜘蛛皇子「土蜘蛛の頭領、土蜘蛛皇子でございます。

我が父、土蜘蛛大王と他の一族達は、みな天津神たちに

討たれました・・・」

オオクニヌシ「おお・・・なんと哀れな・・・」

ヤガミヒメ「オオクニヌシ様。お懐かしゅうございます・・・」

オオクニヌシ「ヤガミヒメ・・・」

スセナビメ「ヤガミヒメ様。初めまして。スセナビメでございます。」

ヤガミヒメ「あなた様が・・・オオクニヌシ様の奥様・・・

ヤガミヒメでございます。」

スセナビメ「私・・・ヤガミヒメ様には謝らないと・・・」

ヤガミヒメ「なにを謝られることがありましょうか。オオクニヌシ様を

これまでお支えしてきたのは、あなた様でございます。」

 

その夜、一人泣くヤガミヒメに、

妖怪、砂かけ女が声をかける。

 

砂かけ女「あなたは強い女性ですね。私なら、

オオクニヌシ夫妻の顔をかきむしってしまうと思います。」

ヤガミヒメ「あら、ごめんなさい。私泣いちゃって・・・

オオクニヌシ様がスセナビメ様を連れて戻られたとき・・・

本当に嬉しいやら辛いやら複雑な気持ちだった。

でも、国作りやら、統治やらで忙しくて、

慰謝料請求する暇も無かったわね。」

砂かけ女「ヤガミヒメ様・・・」

ヤガミヒメ「ありがとう。この籠城戦の中で、

私の気持ちなど気遣ってくれて・・・」

砂かけ女「戦場だろうが、多忙だろうが、人の気持ちは

気持ちですよ。お泣きなさるなら、この妖怪女で良ければ、

お付き合いいたしますよ・・・」

 

天津神達の地上侵攻。

もはや、残るは、オオクニヌシの出雲だけとなった。

場内で食料・物資を製産し、

打って出ることなく、妖怪たちによる遊撃戦が行われ、

大混乱の天津神総司令部。

戦局は、膠着状態に陥った。

 

家臣「オオクニヌシ様!」

オオクニヌシ「どうした?」

家臣「ご子息のタケミナカタ様が、ご出陣されました!」

オオクニヌシ「なんだと?それで、タケミナカタは?」

家臣「天津神の総大将・タケミカヅチに散々に打ち破られ、

信州(現在の長野県)の諏訪まで追い詰められ、諏訪の地で

降伏されたようです!」

オオクニヌシ「だから、打って出てはならんと、あれほど

言いつけていたのに!」

土蜘蛛皇子「講話に不利な負け戦ですね・・・」

天狗皇子「故郷に戻れるのはいつになるか・・・もうムリかのう・・・」

稲荷狐「オオクニヌシ様、私たちはどうすれば?もう天津神の言いなりに

なるしかないのでしょうか?」

砂かけ女「ほんと!男どもって、使えない!」

子泣き男「まあまあ、男もいないと世の中成り立たんから・・・」

一つ目小僧「オラたち・・・天津神に皆殺しにされちゃうのかな・・・?」

ぬりかべ「ぬりかべ~」

オオクニヌシ「なんとか、この者たちを生かしてやりたい・・・

どうすれば・・・」

土蜘蛛皇子「私は幼い頃に、天の岩戸から出てきたアマテラス様の

語りかける声を聞きました。あのお優しいアマテラス様のお声と

今の天津神の残酷な振る舞い・・・いったいどうなっておるのか・・・」

オオクニヌシ「アマテラス様・・・そうか、天津神の侵攻軍ではなく、

アマテラス様と直接お話できれば!」

アメノホヒ「しかし、高天原におられるアマテラス様と直接

交渉する方法がございません。使いを出してもタケミカヅチらの

総司令部に握り潰されます!」

オオクニヌシ「みな。祈ろう。神は、アマテラス様は必ず、

我らの祈りを聞いて下さる。」

 

オオクニヌシ達は、祭りを行い、一心不乱にアマテラスに祈った。

そして、高天原・・・

 

アマテラス「地上はどうなっているのかしら?

タケミカヅチらからは、万事上手くいっておりますとしか

報告が無いけれど・・・」

アメノウズメ「アマテラス様。スサノオ様からお手紙が来ております。」

アマテラス「スサノオから?珍しいわね。」

スサノオの手紙

「アマテラス姉上。わしの治める根之堅洲国(黄泉の国)の

住民が増えすぎて困っておる。

天津神達は、地上の者を殺しすぎじゃ。

姉上は、この事態を把握しておるのか?

なんとかしてくれ!

あんたの弟 スサノオ」

アマテラス「なに?これはどういうこと?

地上の者が殺されている?」

アメノウズメ「アマテラス様。地上の出雲の方角から、

祭りの音が。なにか祈願しておるようです。」

アマテラス「出雲?私直々、聞いてみましょう。」

 

オオクニヌシ「天地(アメツチ)を生かし給う、

アマテラス大御神よ!

どうか、このオオクニヌシの、地上の者たちの

祈りをお聞き下さい!

このオオクニヌシ、日本(ヒノモト)の国を作ってまいりました。

もしも、この3つの願いをお聞き下さるのであれば、

この地上の日本(ヒノモト)をアマテラス大御神にそのまま

献上いたします。

一つ 地上の神達及び物の怪と呼ばれる者らを迫害することなく、

地上の人間たちの地元の神々への信仰を認めること。

一つ 戦を行わず、誰もが平安に生きることを認めること。

一つ 出雲に大きな大社を建て、年に一度、一年を一二に分けた

十の月に、全国の神々を出雲大社に集め、各地の神々を集めた

総会を行うこと。

この願いが聞き届けられるのであれば、速やかに、この国を

アマテラス大御神にお譲りいたします。

 

アマテラス「タケミカヅチ、アメノトリフネを呼びなさい!

大至急です!!!」

 

地上派遣軍の総司令官、軍師を高天原に呼び寄せるアマテラス。

そして、地上派遣軍の行っていたことを詳細に報告させる。

愕然とするアマテラス。

 

アマテラス「あなた達に軍権を与えてしまったのは、

私自身・・・責めは、私にあります。

直ちに、終戦し、地上の者たちへの殺戮をやめなさい!

そして、傷ついた地上の民たちの暮らしを立て直すための

施策を行いなさい!

オオクニヌシ・・・地上の者たちよ・・・

すまぬ・・・許してくれるか?」

 

こうして、オオクニヌシの育てた日本(ヒノモト)は、

アマテラスの子孫達に譲られることとなる。

出雲には、出雲大社が建てられ、オオクニヌシは

国作りの神として、出雲大社に祭られることになる。

なお、一年のうち10月は、地上の神々が出雲に集まり、

各地の情報交換、交流をすることになった。

そのため、10月には出雲以外の各地には神様がいなくなる。

それゆえに、10月は、神無月(カンナヅキ)と呼ばれることになる。

これが、オオクニヌシの国譲りのお話です。

 

序編、前編、中編、後編にわたる長期シリーズ。

オオクニヌシの国譲り。

読んでくださり、ありがとうございました。