うっかりして、それこそ「失念して」大切な(限界にっぽん)
第4部・続「追い出し部屋」シリーズを見過ごしていました。
1周間前の特集ですが、第4部の最後です。
朝日新聞の報道を御覧下さい。
朝日新聞 朝刊 2013年9月16日付け報道です。
(限界にっぽん)第4部・続「追い出し部屋」:6
「異業種でも、仕事あれば」


■派遣に代わり、増える出向 遠くに新妻「辞められぬ」
ベルトコンベヤーに載って、
トヨタ自動車「ランドクルーザー」の車体が運ばれてくる。
東京都羽村市にある日野自動車の受託製造ライン。
佐世保重工業から出向している20代の男性は、
次々に車体の加工作業をしていく。
1日10時間弱、300台がノルマだ。
出向を命じられたのは、結婚した妻との生活を始めてまもない
昨年夏だった。
生まれ育った長崎で暮らしたいと佐世保重工に入り、
佐世保造船所(長崎県佐世保市)で働いていた。
遠く離れた地への転勤など考えたこともなく、出向の打診が
突然あったと聞いた妻は「何であんたが選ばれたん?」
と言って泣いた。
やむなく単身赴任で、羽村工場近くの6畳一間の借り上げ
アパートに引っ越した。
食事はほとんどコンビニの弁当で済ます。
そんな日々に不慣れな仕事がのしかかり、疲れが増した。
自動車の製造ラインの作業は、同僚たちと相談しながら
鉄板を加工する造船所での仕事とはまるで違う。
「歩行0・5秒」「掃除機取りだし0・5秒」……。
細かい動作一つ一つが秒単位で管理され、車1台当たり約2分で
作業を終えなければならない。
ミスしてラインを止めてしまうと、現場の責任者にどなられる。
「こんなこと、やってられるか」「もう限界だ」
一緒に佐世保から出向してきた同僚たちは、
そう言って辞めていった。
佐世保造船所からの出向者は約80人にのぼり、
日野の羽村工場と、いすゞ自動車の藤沢工場で働いていた。
それが出向から1年ほどで、10人以上が工場を去った。
自分も辞めよう、と何度も思ったが、踏みとどまった。
妻との生活を軌道に乗せるため、出向を終えて佐世保に戻るまで
頑張ると決めていたからだ。
佐世保重工の出向は、業績の悪化がきっかけだ。
ちょうど5年前の2008年9月15日、
米証券大手リーマン・ブラザーズが経営破綻(はたん)した
ことで、佐世保重工の業績は暗転した。
それまで空前の好景気に沸いていたが、リーマン破綻後の
世界的な金融危機と不況に巻き込まれ、一気に冷え込んだ。
得意とするタンカーも、つくるたびに赤字が出る。
12隻だった年間の造船数を6隻に半減し、
余った社員を出向させた。
出向は「最長2年」。
その間は、給与の一部を出向先の企業が肩代わりするので、
佐世保重工は人件費を減らすことができる。
出向者が戻るころには業績を回復させる計画だった。
ところが、1年もたたないうちに、ほとんどの人が
佐世保に呼び戻された。日野の羽村工場で働く男性も
戻っていたが、しばらくすると希望退職の募集が始まり、
上司に「会社の考えを理解してください」と何度も応募を
勧められた。
雇用を維持するための出向すら続けられなくなっていた。
「何のための出向だったのか」。
男性はやり場のない怒りをおさえられない。
佐世保重工の渋谷明幸常務執行役員は、朝日新聞の取材に対し
「退職させるために出向させたのではない。
昨秋に出向を決めた時点では、希望退職を実施するつもりは
全くなかった」と話す。
■パナから銀行・車会社へ
「いらっしゃいませ。番号札をお取り下さい」
首都圏にあるみずほ銀行のロビー。
声を張り上げる50代の男性は、パナソニック子会社の
現役社員だ。
昨年末から、ロビー業務などを担当するみずほ銀行の子会社に
出向になった。
開店前に出勤して店内を清掃し、午後3時の閉店までロビーで
現金自動出入機(ATM)の操作や手続きの案内をする。
店外の自転車の片付けなども仕事だ。
元々はパナソニックでファクスを売る仕事などをしていた。
昨年7月、社内で「追い出し部屋」と呼ばれる部署への異動を
命じられ、そこで銀行子会社への出向を紹介された。
もうパナソニックには戻れないという条件だった。
ただ「追い出し部屋」にいても、仕事があるかわからない。
「全く違う業界でも確実に仕事がある方がましだ」
と出向を受け入れた。
それから数カ月。
仕事に慣れてしまえば、毎日は淡々と過ぎてゆく。
「今の仕事に納得はしていないが、あきらめの心境だ」
朝日新聞が入手したパナソニック子会社の内部資料には、
昨年7月以降、「追い出し部屋」の社員が出向した企業名が
記されている。
みずほ銀子会社をはじめ、マツダレンタカー
(現タイムズモビリティネットワークス)やトヨタ自動車など
様々な業種の11企業・団体にのぼる。
追い出し部屋の約800人のうち少なくとも33人が出向した。
「追い出し部屋」以外からの出向者も多い。
赤字が続くテレビ事業をもつ部門からは、パナソニックと
トヨタ自動車の合弁でハイブリッドカー向け蓄電池を作る
「プライムアースEVエナジー」(静岡県湖西市、PEVE)へ
100人規模で出向している。
光事業の部署からは、住宅設備大手のLIXIL(リクシル)や
制御機器大手オムロンへの出向が目立つ。
ある30代の社員は今年、自動車関連の会社に出向になった。
出向先の社員を指導し、接客のやり方を良くするのが仕事だ。
出向先の職場は若い社員が多く、頼りにされている気もする。
ただ、8カ月の出向期間が終わったらどうなるか分からない。
「今後、自分はどうなってしまうんだろう」と、不安は消えない。
パナソニック広報は出向について、
「行き先の企業名や人数は回答しない」としたうえで、
「他社からの要請に基づき出向させている。
当社の人材活用の一環だ」と説明している。
■真っ先に切られる即戦力
リーマン・ショックから5年、働く環境は様変わりした。
相次ぐ「派遣切り」で批判を浴びた企業が派遣社員の採用を控え、
代わりに、期間工らとともに出向が増えている。
人手が足りないときだけ一時的に雇う「雇用の調整弁」の役割は、
派遣から出向へと変わりつつある。
国も後押しする。社員を出向・移籍させる企業と、
受け入れ企業とを結びつける公益財団法人
「産業雇用安定センター」は12年度、出向などのあっせん成立
が1万人を超え、発足した87年以降で最多になった。
佐世保重工の出向を日野といすゞに仲介したのも、
安定センターの長崎事務所だ。
日野自動車は東日本大震災の復興需要や海外向けの増産で、
工場のフル稼働が続いている。
複数のメーカーから受け入れた出向者は、
8月末時点で300人ほどいた。
広報担当は「安全に関する知識などが身についていて、
即戦力として使える」という。
「出向は派遣に比べて、使い勝手がいい」。
安定センターの関係者は今夏、都内で開かれた会合で、
大手自動車メーカーの人事担当者からそう聞いた。
派遣よりも出向社員は身元がしっかりしていて、
社会人としての基礎教育もできている。
家族がいる人は簡単には辞めない。
そんな企業の思惑をあえて受け入れ、働き続ける出向者たち。
自動車業界などの好況が一段落して人が余れば、
真っ先に切られる対象になる。
社内失業者があふれ、「追い出し部屋」で苦しむ人が
さらに増えかねない。
(千葉卓朗)
*
第4部はこれで終わります。
連載「限界にっぽん」は近く続編を掲載する予定です。
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☆☆☆
何ともやり切れない風潮ですね。
景気が上向いたとか雇用に明るさが見えて来たとか、何処を見て
安倍政権は言っているのでしょうか?
こんな中、予定通りに考えあぐねた振りをして消費税は8%に
決定してしまいました。
元々社会福祉充実の目的税だったのが大企業減税の方向に財源を
振り向けることに決まりそうです。
庶民の負担は実質消費税率10%と同じでしょう!
次には実質13%位の実感に成るでしょう!
15年位にはこのような追い出し部屋、出向が無くなって笑顔で
暮らせる世の中に成っていると思えますか?
全く予想だに出来ませんよね!(未来形に使うのも変だけど)
次回の選挙には、相当お灸をすえないとイカンぜよ!
だって国が後押しして無理な出向を日本全土の規模で
やっているのでしょう!
一昔前に、民間がやって手数料を取っていたら
「悪徳人身売買ブローカー」とか言って叩かれていましたよ。
時の政権が後押しの法人が税金でやる分には合法ですか!
安倍政権は何でも反故にして、それがまるで新しい時代を作る
必定課題のような物言いですが庶民を舐めたらあかんぜよ!