気象庁は9日、活発な梅雨前線の停滞により北海道や沖縄など一部を除く全国で少なくとも12日まで大雨が続く可能性があると発表した。前線は13日以降も本州付近にとどまるとみられ、当面は各地で悪天候が見込まれる。同庁は、降り続く雨で各地の地盤が緩んでいるとして「次に大雨が降れば、どこで災害が起きてもおかしくない」と警戒を促している。
同庁によると、10日は梅雨前線上の朝鮮半島付近で低気圧が発生し、11日にかけて日本海へ進む見込み。これに伴い、10日は北海道や沖縄県など一部を除く全国で局地的に激しい雨が降る可能性がある。前線は例年、梅雨明けに向けて徐々に北上していくが、現状は動きが鈍いという。
11日午後6時までの48時間予想雨量は多い所で、九州北部、四国で400~300ミリ▽九州南部、東海で300~200ミリ▽関東甲信、北陸、近畿、中国で250~150ミリ――に達する可能性がある。同庁は15日ごろまで雨が続くと予想するが、「大雨に注意が必要な期間がさらに延びる可能性もある」という。
3日から9日午後5時までの総降水量は鹿児島、高知、和歌山各県で1000ミリ超、長野県でも900ミリを超える所があるなど既に各地で記録的な雨となっている。同庁はまだ災害が発生していない地域の住民に向け、「ハザードマップなどで自宅が安全かどうかを改めて確認し、避難先をチェックしてほしい。事前の準備を整え、早め早めの行動を」と呼びかけている。
「令和2年7月豪雨」に
また、同庁は9日、3日から続く今回の大雨の名称を「令和2年7月豪雨」と決めた。梅雨前線に伴う豪雨に名称を定めるのは、「平成30年7月豪雨」(西日本豪雨)以来。河川の氾濫や土砂災害が多発し、広い範囲に被害をもたらした「極めて特異な豪雨」と評価したためとしている。【黒川晋史】✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳