すが 非常に寒い。とても此の侭では眠れない。仕
方なく下に幾重にも敷いて有った、むしろを2~3
枚 体に掛けて寝る。結構湿って居るのが悲しかっ
た。でも、こんなむしろでも結構暖かい。日高の海
を金色に輝かせて居る 月の光が小屋の中まで入っ
て来て顔に当たる。場所こそ 矢作川の橋の上では
無いけれど、むしろに包まり、月を仰いで寝て居る
のは 日吉丸に似て居ると思った。私も今に出世す
るかも知れない。眠るのには うるさ過ぎる波の音
も忘れ 寝付いたのが1時頃であろう。再び目が覚
めると小川が居ない。寝袋が空である(@ ̄Д ̄@;)
“あいつ 柄にも無く 風流なんだなぁ

月夜の日高海岸を 散歩して居るのかな?”

と思って小屋の外に出て見る。すると びっくり!
直ぐ傍で小川が しゃがんでピーピー遣って居て
私に気づくと ひどく驚いて居た。3時過ぎると
皆起きてしまい、火を燃やそうとしたが 辺りの
物が皆 湿って居てなかなか燃えない。やっと燃
え出した頃、東の空が白み始めた

人通りが多く成ると面倒なので、急いで即席ラーメン
を作り、小川が食べたく無いと言うので、長瀬と二
人で三つ食べる

幌満峡に向かって歩き出して間も無く 海は昆布
獲りの小舟で埋め尽くされ 大変な 賑やかさで
有る。この地方の名産 日高昆布が 一家総出で
砂浜一杯に干されて行く


