小説「海と陸の彼方へ」

第四章新主人公ヘクター石油王国を設立する

第3話ヘクター石油を掘り当てる（前編その3）

前書き

前話の後の方でヘクターは天然ガスを掘り当て後処理に苦労するが、テキサス州の主要都市にパイプラインを引くことで都市の市民にとって非常に大切なエネルギー源を供給することに成功した。一般家庭では調理、暖房、風呂の湯沸かしといった熱源として使用することが出来た。また、大規模な工場や設備での産業用燃料としても利用されるようになり、火力発電所での発電燃料としても重要な役割を担うことになった。

本文

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登場人物「1935年1月1日時点」
アンヘル・ディアンジェロ16歳：ハーバーテックソリューションズ（HTS）の会長兼CEO。ル・クリスタル・ホテル所有「200万ドルで居抜き購入」。アンヘル航空㈱会長兼CEO「資本金10億ドル」。ヴィヴィ警備会社「資本金1千万ドル」オーナー。軍事産業への共同投資60億ドル「配当金：1,929万ドル/ 週」。現預金50億ドル「シャドウ・ネクサスから略奪」と債権「総額不明」所有。
マリア・エバ・ドゥアルテ16歳。アンヘルの妻。AMレジャー総合開発㈱「資本金1億ドル」社長兼COO。悪魔のように可愛い女。
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アンヘルの家族
イタリア系の不法移民で、彼らの家族名は「ディアンジェロ」です。以下はディアンジェロ家の家族構成です：
・父親ヘクター・ディアンジェロ（38歳）：ヘクター・ディアンジェロは日雇い労働者として働き、家族を支えています。彼は家族に良い未来を提供することを夢見ており、そのために日々努力しています。
・母親ローサ・ディアンジェロ（35歳）：ローサ・ディアンジェロは家庭を守りながら、地域の共同体でボランティア活動を行っています。彼女は子供たちが教育を受けることを強く望んでいます。
・兄ルイス・ディアンジェロ（18歳）：ニューヨーク市警警部兼総合建設会社NYHCの社員。
・ルイスの双子の姉マリア・ディアンジェロ（18歳）：マリア・ディアンジェロは地元の専門校に通っています。
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マリア・エバ・ドゥアルテ「マリア・D」16歳の家族
・エルヴィラ・ドゥアルテ13歳。マリアの妹。
・カタリナ・イルデフォンソ20歳。ルドラ金融㈱営業部長。
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マリア・ヴァレンティーノ「マリア・V」54歳。アンヘルの恋人兼投資パートナー。ヴァレンティーノ・ファミリーの死亡したボス：ヴィンセント・"ヴィニー"・ヴァレンティーノ（56歳）の元妻。莫大な資産「推定500億ドル」を持つ。軍事産業への共同投資60億ドル「配当金：1,929万ドル/ 週」。
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ジョン・マッケンジー（35歳）。エドゥアルドの競争相手「有力な建設会社グローバルテック・コンストラクション・インクGCIのCEO」。
妻: サラ・マッケンジー（33歳）, ファッションデザイナー
子供: ルーカス（8歳）, ソフィア（5歳）
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サラ・マッケンジー（33歳）の実家
父：ロバート・ハミルトン（58歳）：アメリカ合衆国の上院議員
母：キャサリン・ハミルトン（55歳）：社会活動家。アンヘルの愛人。
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ニューヨーク市長
名前: ダニエル・ハリソン
年齢: 42歳
家族構成:
妻: ジェニファー・ハリソン（37歳）
子供: エマ（10歳）、ノア（7歳）
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ニューヨーク市港湾局長
住所：ブルックリン臨海区
マイケル・スミス（38歳）
妻: クレア・スミス（36歳）, 弁護士
子供: ノア（7歳）, ミア（4歳）
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ジャーナリスト
住所：ブルックリン・ベイ・リッジ地区「イタリア系」
エミリー・デイビス（32歳）
夫: ベン・デイビス（34歳）, ITエンジニア
子供: エリー（3歳）
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エリナ・"ブラックウィドウ"・ロドリゲス40歳。アンヘルの愛人。元ニューヨーク・マフィア「シャドウ・ネクサス」の副ボス。アルゼンチン人。
マリア・"レッドローズ"・デ・ラ・クルス35歳。アンヘルの愛人。ニューヨーク・マフィア「シャドウ・ネクサス」の元人事担当。アルゼンチン人。

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ニューヨーク市の行政地図

アメリカ合衆国東部
昭文社「コンパクト世界地図帳」P52

フロリダ州の地図と出典「南部にマイアミ、更に南部にホームステッドがある」

マフィアの組織図「パブリックドメイン」

5月5日日曜日午後3時：ヘクター綿花農園
ヘクターが綿花農場のためにアン・ウェブスター（41歳）に与えた資金500万ドルを使ってアンは綿花農場の空き地に家畜飼料用の緑肥「ソルガム、ライ麦、えん麦など」を栽培する計画を立てていた。

この綿花農場ではオーガニックコットンを栽培しているため、全ての作業を人力で行わねばならず農業用機械「トラクター、耕運機、ベーラー（baler）など」を利用していなかった。また広大な土地のごく一部「約一割程度」にしか綿花を植えていなかったのである。

土地の有効利用と土作り及び家畜用飼料の確保のため、緑肥「ソルガム、ライ麦、えん麦など」を栽培しようと考え、農業用機械「トラクター、耕運機、ベーラー（baler）など」を発注した。

その機械が農園の倉庫に置かれてあり、エマ・ハリス（29歳）が緑肥の栽培をアン・ウェブスター（41歳）から一任された。アン・ウェブスター（41歳）は農園の事務と地域の学校を教える準備に取り掛かり、ヘクターは急に手持ち無沙汰になった。

やるべきことが無いわけではない。綿花農園の前の持主から聞いた小屋の井戸がまだ発見できていないのだ。★印の小屋はそこではなかった。ということはまだ外に石油の出る場所があるということだ。

ヘクターがその井戸を探しに行こうと支度を始めた時、エマ・ハリス（29歳）から声がかかった。

エマ・ハリス（29歳）：ヘクターさん。私には重機の扱いは無理よ。貴方が動かして私に教えてちょうだい。

ヘクターが母屋から出て声のした方を見ると、エマが大型トラクターのタイヤのそばに立ち、ジャッキに手をかけている。どうやらタイヤがパンクしているようだ。ジャッキが大きくて上手く動かせないようでエマは四苦八苦している。ヘクターはエマを助けるためエマの傍に向かった。

ヘクターがジャッキを動かし、タイヤのパンクを直してやると、エマは耕運機の運転席に座った。ヘクターも助手席に座り、周りを見渡す。運転席には様々なコントロールパネルがあり、スクリーンや操作レバー、ダイヤルなどが見える。この機械のキャビンは広々としており、運転席は快適に作業できるよう配慮されている。運転席の窓の外には自然の景色が見える。

エマはピンクのタンクトップと紺色のショートパンツを着用しており、農作業や運転作業に適した動きやすい服装だ。彼女はサングラスをかけており、日差しやほこりから目を保護している。キャビン内は実用的であり、必要な物品を置くスペースがある。例えば、運転席の隣にはトイレットペーパーのロールが置いてある。

★エマ・ハリスとの会話
ヘクター：エマさん。綿花農場の空き地「未耕作地」に何を植えるの？

エマ：アンさんからは緑肥「ソルガム、ライ麦、えん麦など」を栽培するとしか聞いていないの。私は綿花のことしか分からないわ。

ヘクター：テキサス州は気候が温暖だから、緑肥としてはソルガムが適しているよ。ソルガムは暑さに強く、大量の有機質を土壌に供給し、土壌構造を改善出来るからね。

エマ：そうなの？ライ麦やえん麦はどうなの？

ヘクター：ライ麦は冷涼な気候での使用が推奨されるから、テキサスの暑い夏では適していないね。えん麦は乾燥に対する耐性があるけど、ソルガムに比べて暑さにはやや劣る。

ヘクター：ヘアリーベッチも良いかも知れないね。

エマ：それはどういう特性があるの？

ヘクター：ヘアリーベッチはマメ科に属し、緑肥として多くの利点があるんだ。畑や水田の土壌改良に貢献し、雑草防止に効果的で、幅広い土壌のpH範囲で栽培可能なんだ。早生品種と晩生品種があり、地域に応じて選択出来る。つる性の植物で、地面を覆うように成長し、春には美しい花を咲かせる。温暖なテキサス州での使用には、排水性の良い土地と気候に適した品種の選択が重要で、適切な時期にすき込むことで土壌改良効果を得られる。

エマ：そうか。じゃあ、ソルガムとヘアリーベッチにするわ。

ヘクター：ソルガムは色んな種類があるけど、飼料用モロコシ（グラス・ソルガム）が良いと思う。

ヘクター：飼料用モロコシは土壌改良に優れ、地被植物としても機能する。土壌侵食防止と同時に飼料としての利用が可能なんだよ。

エマ：ヘクター家畜牧場でも購入してくれそうね。飼料用モロコシ（グラス・ソルガム）とヘアリーベッチを栽培することに決めたわ。

エマはヘクターの博識さに感心し、思わずヘクターに抱きつき、キスをねだってきた。ヘクターはトラクターを停め、彼女の抱擁に応じた。周りは何処まで行ってもだだっ広い未耕作地が広がっており、ヘクターとエマの情事を妨げる者は誰もいない。情事の後始末は車にあったトイレットペーパーが役に立った。

★エマのおねだり
情事のあと、エマが湖に行きたいと言い出した。
ヘクター：近くに湖があるのかい？

エマ：ここから10分ほど車を走らせたら着くわ。前に何度か行ったことがあるの。

ヘクター：水着は持っているのかい？

エマ：私は何時でも持って来ているわ。貴方もTシャツを脱いで、パンツも取れば泳げるわ。

ヘクター：そうだな。俺は水着なしでも何とでもなるからな。

エマ：大きい物だけは隠しておいてね。他の女に見られると嫌だから。

ヘクター：そんなに大きいかな。

エマ：私の主人のと比べると1.5倍位はあるわよ。

ヘクターはそれを聞き大喜びして、彼女と運転を代わった。

★湖での出来事「池の水の掻い出し」
ヘクターとエマの二人はカジュアルなビーチウェアを着ており、リラックスして楽しんでいた。エマはビキニスタイルの水着を着ており、それは茶色がかったパターンがあるデザインだ。彼女は裸足で、笑顔を浮かべている。一方、ヘクターはボードショーツを着用しており、黄色いバナナのプリントがあるデザインが印象的だ。ヘクターも当然裸足である。

しばらく泳ぎを楽しんだエマは湖の近くで小さな池と小川を見つけた。小さな池と小川は湖と繋がっており、魚が飛び跳ねている。エマは水着をピンクのタンクトップと紺色のショートパンツに着替え、青色の運動靴を履いた。

ヘクターも灰色のTシャツと黒のショートパンツに着替え、スポーツ用の靴を履いた。ふたりとも作業をするのに適した、動きやすいカジュアルな服装である。

エマはトラクターから電動式の器具「ポンプ」を取り出し、20メートルほどもある長いホースを2本取り出してきて2本とも器具に繋ぎ、一本のホースを小さな池に入れ、もう一本のホースを小さな池の反対側に置いてポンプのスイッチを入れた。池から吸い出された水が滝のような勢いで池の反対側に噴出していく。どうやらポンプで池の水をくみ出しているようだ。

エマはヘクターに指示し、小川を大きな石や砂でせき止めさせた。小さな池には閉じ込められた魚が大量に飛び跳ねている。川岸は岩がちで水面は穏やかである。岸辺は多様な植生で覆われており、木々、低木、草本植物が混在している。このような生い茂った緑は、湿った環境や自然豊かな生態系を示唆している。水の流れはゆったりとしており、地形がそこまで急峻ではないことを示している。

ポンプはコンクリート製または石製の固い地面に置かれており、しっかりと固定されている。やがて池の水がかなり抜かれ、大きな魚が露わになって来た。岩がむき出しの岸壁は、濡れている部分が藻で覆われ、乾燥している部分は灰色から黒ずんだ色合いをしている。これは、水位が下がることによって普段は水中にある地形が露出した結果と思われる。岩の間には、植物や葉が散見され、水面の近くで生い茂っている。

水面はかなり減少しており、大きな魚が浅瀬に取り残されているのが確認できる。魚は、水面にお腹を上にして横たわっており、泳ぐための十分な水がないことが伺える。泥がかき乱されており、水の色は濁って見える。

エマは大きな魚を手づかみで捕ろうとしており、やっと掴むことが出来た。表情からは、魚を掴むことの難しさや緊張を感じさせ、魚は彼女の手から水しぶきを上げながらもがいている。彼女の足元には白いバケツがあり、彼女は何とか掴んだ魚をバケツに投げ入れた。魚はまだまだ元気で飛び跳ねてバケツから逃げ出した。エマはうんざり顔をしながらも再度魚を捕まえバケツに放り投げた。今度は大丈夫だ。

エマが「貴方も早く手伝ってよ」というので、ヘクターも魚とりに挑戦した。一時間ほどで何とか池の魚を全て「43匹」捕獲し、バス、ブルーギル、キャットフィッシュ、クラッピーなどの種類を確認した。

★午後7時：ヘクター綿花農場母屋
エマはひとりで魚をさばき、テキサス名物のバーベキュー料理と一緒に魚料理も夕食として提供してくれた。今回ばかりはエマ・ハリス（29歳）の指導でアン・ウェブスター（41歳）が助手を務めた。

テキサスの広々としたキッチンで、エマはその日の収穫を祝うための料理を手際よく作っている。彼女は捕まえた魚を丁寧にさばき、シンプルな調味で素材の味を活かした魚料理を作った。おそらく彼女は、レモンの輪切り、塩、そしてハーブを使ってマリネしているのだろう。魚は外はパリッと、中はジューシーに焼き上げられ、レモンの酸味が魚の新鮮な味わいを引き立てている。

一方で、テキサススタイルのバーベキューは、長時間燻製された肉が特徴である。スモークソーセージは、炭火でじっくりとスモークされ、スパイシーな味わいが口の中に広がる。プルドポークは、その柔らかさからフォークで簡単にほぐすことができ、スモーキーな風味が魅力である。ビーフブリスケットは、外はカリカリのバークで覆われ、切り分けると中から肉汁があふれるほどジューシー。スペアリブは、表面にしっかりとした焼き目をつけつつも、骨から簡単に肉が外れるほどに柔らかく、そしてターキーはスパイスが効いたスモークで、外はカリッとして中はしっとりとしている。

サイドディッシュとしては、クリーミーで濃厚なマカロニアンドチーズと、新鮮な野菜のシャキシャキ感が楽しめるコールスローがあり、ピクルスとジャラペーニョがさっぱりとした口直しになる。

食卓を囲んだ人々は、一日の労を終え、豊かな香りと味わいに満ちた料理に舌鼓を打ちながら、互いの絆を深めて行く。エマの手作りの魚料理は、バーベキューの定番メニューと合わせて、まさにテキサスの夜を象徴するような豊かな食卓を作り出しているのである。

★午後8時：ヘクター綿花農場母屋
エリザベス・ミラー（49歳）が夜遅くに肉牛牧場からわざわざヘクターを訪ねてやってきた。

ヘクター：エリザベスさん。わざわざ来てくれたのか？明日行こうと思っていたところなんだよ。

エリザベス：小屋のことでしょう？貴方が見つけた★印の小屋は私の母が言っていた小屋とは違ったわよ。

ヘクター：ということはエリザベスさんがもう見つけたということかい？

エリザベス：そうよ。見つけて此処に連絡したけど貴方はいなかったわ。

ヘクター：それは悪いことをしたね。勘違いして別の小屋まで行っていたんだよ。でも怪我の功名というやつかな。そこで石油が見つかったんだよ。

エリザベス：そうらしいわね。でも私はちゃんと井戸まで見つけてコンクリートも発見したからそこでも石油は出ると思うわよ。

ヘクター：俺もそう思う。エリザベスさん。俺と一緒にそこまで行こう。

エリザベス：そうね。でも今日はもう遅いから明日にしましょうよ。

ヘクター：そうだね。そうした方が良いと思うよ。

ヘクター：話は変わるけどエリザベスさんは随分若返ったよね。ここのエマさんと同じくらいに見えるよ。

エリザベス：エマさんって何歳くらいなの？

ヘクター：確か30歳にはなっていないと聞いたけど。

エリザベスはこれを聞き、大喜びした。

エリザベス：まさか。そこまでとは思わないけど、少しは若返ったかな？

ヘクターは若返ったエリザベスに熱烈なキスを仕掛けてエリザベスを喜ばせた。これも3回飲んだ若返り薬の薬効だろう。この薬はヘクターにも良く効いており、ヘクターの精力も10代と同様に回復し、以前と比べて随分強靭になったように感じる。

その日の楽しみは尽きぬものとなったが詳しいことはさておきましょう。

☆エリザベスのアドバイス
尽きせぬ楽しみもやがて終りが来る。エリザベスはヘクターが石油を掘り当てたと聞き、密かに石油精製会社の買収を手配していた。掘り当てた原油はそのままで売ることも出来るが、石油に精製してから売却するほうが利益も大きいし、石油売買の複雑な過程や種々の石油製品のことも詳しく理解することが出来る。ヘクターから不動産買収用に預かった資金の一部の500万ドルを使って既存の石油精製会社を居抜きで買収することに成功していた。

エリザベスが買収した石油精製会社は「ヒューストン・ゴールデンリファイナリーズ（Houston Golden Refineries）」と言う。この会社は、ヒューストンの工業地帯の中心に位置し、既に数十年の歴史を持つ老舗の施設を持っている。

ヒューストン・ゴールデンリファイナリーズは、その名の通り、かつては黄金のように輝く石油製品を生み出していたが、近年は古い設備と効率の悪さから競争力を失いつつあった。しかし、エリザベスの目には、この施設が持つ潜在能力と、再活性化するための可能性が見えていた。

会社の敷地は広大で、古いがしっかりとした構造の精製タワー、大容量の貯蔵タンク、そして広範囲にわたるパイプラインネットワークを有している。エリザベスは、ヘクターの新たに発見された油田から直接原油を供給することで、この施設を再び繁栄させる計画を立てていた。

彼女は、精製会社の買収を通じて、ヘクターの原油を高品質のガソリン、ディーゼル、航空燃料などに変え、より高い利益を得るビジョンを持っていた。また、精製された石油製品は、国内外の市場に向けて販売することができ、ヘクターの事業を一層拡大する足がかりとなるはずである

エリザベスは、この精製会社を通じて、石油業界における女性の地位を確立し、その先見の明と経営手腕を証明する機会と捉えていた。彼女の野心とヘクターの資源が組み合わさることで、ヒューストン・ゴールデンリファイナリーズは新たな黄金時代を迎えることになるのである。

エリザベス：ヘクター。貴方が石油を掘り当てたと聞き、石油精製会社を居抜きで購入したのよ。500万ドル支払ったわ。でしゃばってしまったかしら？

ヘクター：いや。エリザベス。良くやってくれた。俺には思いつかなかったことだが。将来、ヘクター石油開発㈱が大手の石油会社に成長するためには必要不可欠なことだと思う。君には本当に感謝している。有難う。

今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。

後書き

エリザベス・ミラー（49歳）が夜遅くに肉牛牧場からわざわざヘクターを訪ねてやってきた。ヘクター：エリザベスさん。わざわざ来てくれたのか？明日行こうと思っていたところなんだよ。エリザベス：小屋のことでしょう？貴方が見つけた★印の小屋は私の母が言っていた小屋とは違ったわよ。ヘクター：ということはエリザベスさんがもう見つけたということかい？エリザベス：そうよ。見つけて此処に連絡したけど貴方はいなかったわ。ヘクター：それは悪いことをしたね。勘違いして別の小屋まで行っていたんだよ。でも怪我の功名というやつかな。そこで石油が見つかったんだよ。エリザベス：そうらしいわね。でも私はちゃんと井戸まで見つけてコンクリートも発見したからそこでも石油は出ると思うわよ。ヘクター：俺もそう思う。エリザベスさん。俺と一緒にそこまで行こう。エリザベス：そうね。でも今日はもう遅いから明日にしましょうよ。

第四章第3話ヘクター石油を掘り当てる（前編その3）