卵とじのエヴァンゲリオンの小説など -2ページ目

姉弟18 葛城ミサトの嘘(EVA小説)

コンコン……
扉をノックする。
「……いるわよ。」
中から聞こえた声は、予想に反して一人だった。
「入るわね。」
プシュー………
音をたてて、扉が開く。
「アスカ、元気そうで良かったわ。」
ベッドで、横になっているアスカ。
手首を切ったと聞いた。
きっと、私のせいだろう。
それなのに、アスカは
「ええ。」
微笑んで言った。
そして、
「アハハハハ……。」
大声で笑った。
「アスカ?」
その様子に不安を感じ、声をかける。
「ミサトは嘘つきね。」
アスカは侮辱するような目で、私を見て言う。
「……そうね。」
その通りだ。
リツコに嘘をついた。
加持君に嘘をついた。
シンジ君に嘘をつき続けている。
そして、
「本当は、アタシなんてそのまま死んでくれた方が嬉しかったんじゃないの?」
アスカの言う通りだった。少しだけ、そう思ってしまった。
「………………。」
だから、私は何も言えなかった。
「ほらね。」
アスカは自分の予想が当たったのが嬉しいのか、また笑った。
「けど、残念でしたー。」
まるで子供が親に出したなぞなぞを、答えられなかった時の様な口調。
「アタシは生きてる。ううん、そもそも死ぬ気なんてなかったもの。ただ……」
「ただ?」
「シンジを返してもらいたかっただけ。」
返してもらう……
その言葉は、
「だって、シンジはアタシの物で、アタシはシンジの物。ミサトの物なんかじゃないのよ。」
私が死んだ後の、アスカとシンジ君の間にあった何かから来てるのだと思う。
私の知らない、シンジ君とアスカの何か。
だけど私にだってアスカの知らない、私とシンジ君の何かがある。
「シンジ君ね、舐められるのが好きなのよ。」
私はシンジ君を手に入れる為なら、何だってする。
「聞きたくない!!」
ガシャン!!
私のすぐ横を、花瓶が通過して壁に当たった。
けど、それを気にせず私は続ける。
「毎晩、毎晩求めてくるのよ。若いって凄いわよね。」
「やめなさいよ!!ミサト!!」
アスカは泣きながら叫ぶ。
「アスカが手首を切って、シンジ君の同情をひくのなら。私はシンジ君を、身体でも何でも使って私から離れられなくしてやるわよ。」
いや、実際そうしてきた。
今日だって、アスカを追おうとしたシンジ君を行かせたくなかったから。
シンジ君に、傍にいてほしかったから。
「どうしてよ!?どうしてなのよ……」
アスカはうつ向きながら呟く。
「ミサトはアタシの事が嫌い?」
だから、シンジを奪ったの?
そんなアスカの心の声が聞こえた。
「嫌いじゃないわ。好きよ。だって、家族だもの。今でも、そう思ってる。」
「だったら!!」
どうして、アタシを傷つけるのよ?
もう傷つけ無いでよ。
そんな、アスカの想いに私は答える事が出来ない。
「ごめんね、アスカ。」
だって、
「私、シンジ君の事愛してるから。」
だから、アスカを傷つけないでいるのは無理だ。
シンジ君が傍に居てくれるなら、他の物はなんにもいらないと思っているから。
「だから?」
アスカは完全に敵意を持った目で、私を見て言う。
「シンジの記憶を消したの?」
「どういう意味?」
本当はアスカが何を言いたいのかわかってる。
けど、
「シンジは、きっとミサトを恨んでたわ。自分の事を道具としか見てなかったミサトをね。だから、その記憶を消したんでしょ?」
「…違う……違うわ。」
それを認める訳にはいかなかった。
「嘘ね。」
「嘘じゃない!!記憶を消さなきゃ、シンジ君はきっとまた死のうとした!!」
それは嘘では無い。
だけど、
「シンジに傍に居て欲しかった。そんな気持ちが、なかったって言える?」
「………………。」
それもあったから、私は言えなかった。
「アハハハハ!!」
アスカは、そんな私を笑う。
「やっぱり最低だ、ミサトは。」
最低な私を笑う。
けど、私は
「ええ、そうよ。私は最低よ!!シンジ君が欲しかった。だから、私の弟にしてもらったのよ。」
その最低な行為を、
「……仕方ないじゃない。好きなんだから。愛してるんだから。」
仕方ない。
そんなふうに、自分で自分を許してきた。
「シンジが、それを知ったらどう思うかしらね?ねえ、シンジ?」
だけど、それはシンジ君にとっては許せない行為。
「……姉さん。」
急に聞こえた声は、酷く冷めた声だった。
「シンちゃん?」
後ろを向く。
その声は、シンジ君が発したものだった。
「いつから?いつから、ここにいたの?」
身体がガクガクと震える。
「……全部、聞いてた。」
もう、無理だとわかっているのに。
「シンちゃん、嘘よ。さっきの話は全部じょーだん。」
無理矢理、笑顔を作って嘘をつく。
「もう、無理だよ。」
シンジ君はうつ向いて呟く。
「アスカに聞いたんだ。」
「やめて!!言わないで!!」
シンジ君が何を言うのか怖くて、私はシンジ君の頭を胸に抱えこんだ。
だけど、シンジ君はそこから頭だけ抜けだして、私を見て言う。
「僕は、……碇シンジなんだね。……あの夢は本当にあった事なんだよね。」
シンジ君は全てを知ってしまっていた。
「そうなんでしょ?姉さん……いや、ミサトさん。」
ミサトさん。
そう呼ばれた時、全身の力が抜けてしまい、シンジ君を離してしまった。
そして、崩れ落ちた。
「……………。」
シンジ君は、そんな私を一瞬悲しそうな目で見て、病室を出て行った。
「アハハハハ。」
二人きりになった、部屋でアスカがまた笑う。
「これで、ミサトもおしまいね。」
アスカの声を無視して、私は立ち上がる。
「ミサト、どこに行く気よ。」
「シンジ君を追うのよ。」
そうとだけ言って、私は病室を出ようとした。
「どうしてよ!?なんで、まだシンジを諦めないのよ!!」
アスカの叫びに、
「……仕方ないじゃない。好きなんだから。愛してるんだから。」
同じ事を言って、私は
プシュー……
部屋を出た。

姉弟17 惣流・アスカ・ラングレーの作戦(EVA小説)

「また、アタシ一人だ………。」
いや、実際には違う。
ママだっている。
ヒカリだっている。
鈴原だって、相田だって今は本当に友人になれたと思う。
レイとも今は仲良くやってる。
だけど………
「馬鹿シンジは、どこいったのよ。」
昼休みにいつものメンバーが集まった時に、シンジがいなかったからアタシは一人シンジを探しに出た。
ヒカリや鈴原や相田やレイがいても、シンジがいないとアタシにとってそれは意味が無いから。
そんなアタシの弱さを、アタシは認めたくは無い。
だからアタシは………
『あれ?惣流さん、葛城君と一緒じゃないの?』
『おい惣流、彼氏とは別れたのか?』
そんなクラスメイトの言葉。
「シンジがアタシの傍にいなきゃ、煩いったら無いわね。」
それのせいにする。
「うふふ、けど彼氏ね~。やっぱりアタシとシンジって、そういうふうに見えちゃうのよね~。」
そう思うと、今まで塞いでいたのが嘘のように、嬉しい気持ちでいっぱいになる。
「あっ、シンジいたわ。なんでこんなトコにいんのよ。」
裏庭でシンジの背中を見つけて、それは一層と大きくなった。
「馬鹿シン………」
けどそれは、シンジを呼ぼうとした時には消えていた。
「……ジと、ミサト?」
シンジとミサトがキスしていたから。
「馬鹿はアタシか……」
シンジがミサトの事を、想っていたのはわかっていたのに。
シンジとミサトが、キスまでする間柄だと知っていたのに。
もしかしたら、シンジとミサトはもうキス以上の事をしたのかもしれないと、思っていたのに。
それなのに、アタシは………
『大好きなアスカ』
シンジのその言葉だけを信じて、待っていた。
もう一度シンジが、アタシの事を好きになってくれるのを。
『……やるか、やらないかは貴方の自由。けど………やらなければ碇君は帰ってこないわ……。』
レイの言葉。
それが、頭の中で響く。
「待つのは、もう無理ね。」
ただ待っていてもシンジがアタシの物にはならないとわかって、涙が溢れる。
「あ……どうして…」
ミサトがアタシを見つける。
今、この場でこいつを殺したい。
『私に、つぐなわせて。アスカやレイやシンジ君に………。お願いよアスカ。』
そう言ったのに。アタシを裏切ったミサトを。
けど、殺してやらない。
もうすぐ、シンジはアタシの物になる。
それをミサトに見せつけてやりたいから。
それは、きっとミサトにとって死ぬ事よりも辛い事だから。
「あ、アスカ……。」
申し訳なさそうに、アタシを見るシンジ。
「大丈夫よ、シンジ。アタシ怒ってないから。だって、シンジのミサトを好きな気持ちは作られた物だって知ってるから。」
記憶を消して。
碇シンジの時とは違い、限り無く優しく接して。
シンジが自分の事を好きになるように仕向けて。
「最低ね、ミサト!!」
本当、ミサトは最低だ。
だから、アタシも最低な事をしてやる。
そう心に決めて、アタシは走った。

「アスカ!!どうしたの!?」
教室に帰って来ると、酷い顔をしてるだろうアタシを見たヒカリが心配してくれる。
「ヒカリ、ありがとう。けど、大丈夫だから。」
そうとだけ言って、アタシは自分の机に向かい、その中からカッターを取り出した。
そして、それを手首に軽く当てる。
「あ、アスカ!?」
「なにする気や!?惣流!!」
「やめろよ!!惣流!!」
「きゃー!!!」
クラス中に、アタシを止めようとする声や悲鳴が響く。
その中で、
「アスカ、決めたのね?」
レイの声だけが、澄んで聞こえた。
それに、
「……ええ。」
とだけ答え、
アタシは手首に当てたカッターを引いた。
「アスカ!!!」
クラス中が騒然とする中、一番にアタシに駆け寄ってくれた親友。
「…ヒカリ……。」
ママは今、仕事の為にドイツに行ってるから大丈夫だけど。
きっと、この親友はアタシが目覚めるまで傍にいようとするだろう。
鈴原や、相田もそうするかもしれない。
だから、
「アタシね、シンジと二人きりになりたいの。」
レイに言われた方法を実行する為に、それだけをなんとか伝えて意識を手放した。

「ごめんね、アスカ。ごめんね、ごめんね、ごめんねアスカ……。」
アタシは、シンジの謝罪する声で目覚めた。
周りを見渡してみる。
誰もいない。
アタシとシンジしかいない。
きっと、ヒカリがアタシの言った通りにしてくれたのだろう。
「ふふふ……。」
「あ、アスカ?」
目覚めてすぐに笑うアタシを、シンジは心配そうに見る。
「アスカ、何が可笑しいんだよ。」
シンジは怒った様に言う。
「ううん、嬉しいのよ。」
「何を言ってるんだよアスカ!!自分が何をしたのか覚えてないの!?死んじゃうところだったんだぞ!!」
「覚えてるわよ。だけど………。」
アタシはシンジに握られていた手を、思いっきり引いてシンジをアタシの上に倒した。
そして、その身体を抱き締める。
それは、シンジがアタシの物になったと思わせてくれる。
「うわっ、ちょっ、アスカ何するんだよ!!」
今は、まだ違うけど。
もうすぐ、本当にそうなるから嬉しくて笑ってしまった。
「シンジが手を握ってくれてるから、嬉しいのよ。」
少しだけ……
「シンジが私を見てくれてるから、嬉しいのよ。ここ最近バカシンジ、ミサトの事ばかり考えてたでしょ。」
少しだけ、嘘をついて。まったく嘘では無いけど、笑ってしまった理由としては嘘になる言葉をアタシは言った。
「痛い想いした甲斐があったってものね。」
冗談めかして言うアタシに、
「ごめん……アスカ。やっぱり、僕は………。」
シンジは真面目な顔をして、アタシに拒否の言葉を言おうとする。
「ねえ、シンジ知ってる?」
それを、アタシは遮ってシンジの耳元に口を寄せる。
「アタシね、シンジを手に入れる為なら何だってするのよ。手首だって切ってやるし、何だってやるのよ。」
何だってする。
例え、最低な事だとしても。
『碇シンジは、アナタの事がすきだったんでしょ?』
公園でレイに言われた、シンジを取り戻す方法。
それを………
「ねえ、シンジ教えてあげる。」
「何をだよ?」
アタシの事を好きな、
「アンタはね、葛城シンジなんかじゃないのよ。」
「え?」
碇シンジを取り戻すために、
「本当は、碇シンジなのよ。」
公園で、レイに言われた悪魔の囁きを実行した。

姉弟16 葛城シンジの罪(EVA小説)

「……アスカ、何でさ……何で、こんな馬鹿な事したんだよ。」
アスカの手を握り、問いかける。
「……………………………。」
けど、アスカは目を閉じたまま何も答えない。
「僕のせいなの?」
それは、自意識過剰かもしれないけど……
僕がアスカの事、振ったから。
「だから、手首なんて切ったの?」
だとしたら、
「アスカは馬鹿だね。」
だって……

『姉さん……。』
昼休憩だった。
姉さんに、
『お弁当、一緒に食べよ。』
そう言って、姉さんを裏庭に連れ出した。
姉さんは、
『アスカ達は良いの?』
僕がいつもはアスカ達と食べている事を気にしていたけど、
『今日は、姉さんと食べたいなって。』
そう言うと、
『ふふふ、そっかぁ~。』
笑顔で了承してくれた。
人目のつかない裏庭に着いて、僕は……
『……姉さん。』
姉さんを抱き締めた。
『ちょっ、シンちゃんダメよ、誰かに見られるってば。』
『ごめん、姉さん。』
わかってる。
僕と姉さんは、教師と生徒で。
それよりも、姉と弟だから。
誰かに、こんな場面を見られてしまうわけにはいかない。
だけど………
『怖いんだよ、何だか。』
怖くて、姉さんの温もりを求めてしまう。
『怖い?』
『……うん。』
それは、馬鹿みたいな事が原因。
『最近、毎日同じ夢を見るんだ。前に話したのと同じ夢。』
『それって、シンちゃんがロボットのパイロットってやつ?』
『……うん。』
だけど、それを毎日見てると。
『夢の話なのにさ。本当に経験したように思っちゃうんだよ。』
『アハハ、そんな訳ないじゃない!!シンちゃんも馬鹿ね~。そんなの、たかが夢よ、夢!!』
姉さんは笑い飛ばした。
当たり前だ。
僕がロボットのパイロットだなんて。
僕だって、本気で思ってる訳じゃない。
だけど、
『トウジの足をね、僕が奪っちゃうんだ。……………夢では。』
そして、
『普段は、そんな素振りも見せないけどさ。現実のトウジも足を無くしちゃって、義足でしょ。それが授業中目に入っちゃって……。』
その夢と現実の符合点を見て、怖くなってしまった。
『鈴原君は、交通事故で足を無くしちゃったのよ。鈴原君が自分で言ってたでしょ?シンちゃんのせいな訳ないじゃない。シンちゃんは関係無いんだから。』
『わかってるよ。だけど……』
僕がロボットのパイロットなんて、馬鹿な夢だけど。
『僕が、トウジの妹を殺したのかもしれない。
僕が、トウジの足を奪った。
僕が、親友を殺した。
僕が、アスカを傷つけた。
僕が、綾波を傷つけた。
僕が、姉さんを死なせた。
僕が、
僕が、
僕が、
僕が、
僕が、世界を滅ぼした。
そんな嫌な夢を毎日見て。
そして、夢と現実に符合点がある。』
だから………
『怖いんだ。』
とっても……
『怖いんだよ、姉さん。』
『……シンちゃん。』
姉さんは、僕を優しく抱き返してくれた。
それに甘えて、
『姉さん、僕わかんなくなるんだよ。』
僕は弱音をはいてしまう。
『僕さ、事故にあって、入院してた時より前の記憶が曖昧でしょ。』
それは、事故の影響らしい。
『だから、あの夢は本当にあった事かもしれないって思っちゃうんだよ。』
そんな馬鹿みたいな弱音をはいた僕を、姉さんは抱き締めたまま。
『アハハハハハハ。』
笑った。
そしてその笑顔を僕に向けて、
『心配いらないわよシンちゃん。』
言った。
『だって、私生きてるから。』
だから、そんなのは夢よ。
そう言って、僕をまた抱き締めた。
『もし、もしも、その夢が現実なら。』
抱き締められて、頭が姉さんの胸に埋まってしまっている僕には、姉さんの声しか聞こえない。
その声は泣いている様に聞こえた。
『どうして?』
泣いてるの?
そう聞こうと思ったら、途中で僕の頬は姉さんの両手に包まれ、次に唇を塞がれてしまって出来なかった。
『んっ……。』
『……姉さん…。』
唇は離れて、だけど両手は頬に添えたままで、
『その夢が現実なら、私は嬉しいわね。』
そう言った。
『どうして?』
『だって、姉弟じゃないなら、こんな想いしないで済むじゃない。』
やはり姉さんは泣いていた。
『ごめん……姉さん。』
僕は最低だ。
姉さんだって、姉と弟で愛しあう事の罪深さで苦しんでいるのに。
そんな時に、僕の馬鹿みたいな夢のせいで余計に苦しませたりして。
『本当にごめん、姉さん。』
『良いのよ、シンちゃん。けど、わかって。シンちゃんが見てるのは夢よ。夢なんだからね。』
『うん。』
僕がそう言うと。
姉さんは微笑んで、
『んっ』
『んあっ!!』
また唇を重ねた。
しばらくして、離れた姉さんはいたずらな笑みを浮かべ、
『こっちが現実だかんね。わかった?シンちゃん。』
いつもの姉さんに戻っていた。
『あ……どうして…』
けど、それは直ぐに消えた。
『姉さん、どうしたの?』
姉さんの視線を辿る。すると、そこには………
『あ、アスカ……。』
アスカが泣きながら立っていた。
『………。』
アスカは何かを呟く。
けど、それは余りに小さな声で聞こえなかった。
『最低ね、ミサト!!』
アスカは、それだけを言ってその場を立ち去ろうとした。
僕は、それを追いかけようとしたのだけど、
『……行かないで、シンちゃん。』
姉さんに手を捕まれて、出来なかった。
『けど………。』
僕等の事がみんなにバレてしまうかもしれない。
アスカは、そういう事をする人間では無いと思うのだけど、万が一という事がある。
だけど……
『アスカの所には行かないで。今は、今は……私と一緒に居て、シンちゃん。』
姉さんは手を放さなかった。
『私、シンちゃんの好きな事してあげるから。ね?だから、私と居てくれるわよね。アスカの所に行かないわよね。』
姉さんは言いながら、手を僕の股間に這わした。
『な、なにしてんだよ!!姉さん!?』
『ね、シンちゃん。これ好きよね?』
姉さんは、僕の性器をズボンから取り出し、おもむろにくわえた。
『あ……姉さん…。』
僕は、その快感をあらがう事が出来ず。
『……うん。』
そう言った。

結局、僕が教室に帰って来たのは昼休みが終わる頃だった。
『葛城君!!どこ行ってたのよ!!』
『洞木さん?』
教室に入った途端、クラスメイトの視線が集中する。
『まさか………。』
僕と姉さんの事が知れてしまったのかと思ったけど、
それは違った。
『アスカが、アスカがアスカが………。』
そんな事よりも、もっと最悪な事だった。

アスカは直ぐに病院に運びこまれ、なんとか命をとりとめた。
今は、僕とアスカしかいない病室でアスカに話かける。
はやく目覚めるようにと。
「アスカは馬鹿だね。」
だって……
「アスカが手首を切ろうとしてた時に、姉さんとエッチしてた最低な僕を好きになるなんて。それで自殺までしようとするなんて、本当馬鹿だよ。」
本当、僕は最低な人間だ。
あの時、アスカを追っていればアスカを止められたかもしれないのに。
「ごめんね、アスカ。ごめんね、ごめんね、ごめんねアスカ……。」
謝ってすむ問題では無いのだけど、僕には謝る事しか出来ない。
「ふふふ……。」
謝っていると、不意に笑い声が聞こえた。
「あ、アスカ?」
見ると、アスカは目覚めていて何故か笑っていた。
「アスカ、何が可笑しいんだよ。」
「ううん、嬉しいのよ。」
嬉しい?
「何を言ってるんだよアスカ!!自分が何をしたのか覚えてないの!?死んじゃうところだったんだぞ!!」
「覚えてるわよ。だけど………。」
アスカは急に僕に握られていた方の手を引いき、
「うわっ、ちょっ、アスカ何するんだよ!!」
気が付くと、僕の身体はシーツを隔てたアスカの身体に重なってしまっていた。
「シンジが手を握ってくれてるから、嬉しいのよ。」
「……………」
僕は何も言えなかった。
「シンジが私を見てくれてるから、嬉しいのよ。ここ最近バカシンジ、ミサトの事ばかり考えてたでしょ。」
アスカの想いが強すぎて。
「痛い想いした甲斐があったってものね。」
申し訳なくなった。
「ごめん……アスカ。やっぱり、僕は………。」
姉さんが好きだから、アスカの気持ちには答えられない。
そう言おうと思った。
「ねえ、シンジ知ってる?」
けど、それはアスカに遮られた。
「アタシね、シンジを手に入れる為なら何だってするのよ。手首だって切ってやるし、何だってやるのよ。」
アスカは微笑みながら、そう言った。