東京都渋谷区が、ふるさと納税による税優遇を適用せず、実際より多い税額を記載した住民税の税額決定通知書を納税者に送っていたことが分かりました。優遇を受けるための手続きを省略できる「ワンストップ特例」の利用者4278人を対象に、寄付金約3億6400万円について控除を適用していなかったそうです。
 渋谷区によれば、ミスがあったのは5月10日に納税者や勤務先に発送した来月分の税額決定通知書。担当者の引き継ぎ漏れがあり、電算処理の委託業者に誤ったデータを渡したことが原因だとしています。区は対象者に経緯の説明を始めるとともに、今後税額の修正を行う方針を示しました。
 ふるさと納税は任意の自治体に寄付をすると、所得税や住んでいる場所に納める住民税が差し引かれる制度。所得税から引ききれなかった分や、確定申告が不要になる「ワンストップ特例」を使った人は、全額が住民税から差し引かれます。所得税から引かれる場合は、確定申告が終わった3月以降に銀行口座に振り込まれ、住民税から引かれる場合は、寄付をした翌年5月以降の住民税から12カ月に分割して差し引かれることになります。
 所得税なら口座の取引履歴を見ることで税優遇の適用を確かめられますが、住民税で優遇が適用されたかを確認するためには、自治体から5月ごろに送られてくる税額決定通知書を見なければなりません。自治体によって細部は異なりますが、ふるさと納税による控除額は「寄附金控除」や「税額控除額」の欄に記載されていることが多いようです。
 しかし他に寄付をしていた時は合算額しか記載されず、住宅ローン控除による税額控除の適用があればそれも含めた額となります。それらがなくても、基礎控除や配偶者控除を基に適用される調整控除があるため、純然たるふるさと納税のみによる控除額を通知書で確認することはできないのが現状です。
<情報提供:エヌピー通信社>
◆住民税決定通知書で確認すべき項目
 5月中旬から6月上旬にかけ、各自治体から、住民税の特別徴収義務者である雇用主宛に「住民税の税額決定・納税通知書」が届きます。給与所得者である各個人には、「納税義務者用」の明細が手渡されます。
 受け取った際には、毎月の控除額を確認するだけではなく、計算に間違いがないか確認することをお勧めします。会社が提出した給与支払報告書に間違いの原因があった場合もありますし、自治体での計算時のミスがあるかもしれないからです。
 確認すべき項目は、各人の事情で違いますが、前年中に転職した人であれば全部の給与収入が反映されているか、結婚や出産などで扶養家族に増減があった場合にはそれがきちんと反映されているか等々です。
◆ふるさと納税は限度額以内だった?
 扶養家族数の間違いなどは、会社か自治体の手違いですから、修正してもらえばそれで終了です。一方で、確定した結果が自分の予想と違っていた場合に考え直さなければならない項目があります。ふるさと納税の寄附金控除額です。
 ワンストップ特例制度を使っている方は、すべての寄附金控除が住民税で行われますので、「住民税の税額決定・納税通知書」に記載されている「寄附金控除額+2千円」が自分の寄附総額と合致していればOKです。6自治体以上への寄附で自身が確定申告した方は、「確定申告書で控除された寄附金控除+住民税での寄附金控除額+2千円」が自分の寄附総額と合っていればOKです。
◆ふるさと納税寄附金限度額の検証方法
 上記のチェックで納め過ぎがなかったかどうかの確認はできますが、もっと寄附できたかどうかは次の方法で確認できます。「住民税の税額決定・納税通知書」の税額欄に「所得割額」という項目があります。市(区)民税と県(都)民税を合計します。
【控除限度額=所得割額×20%÷(90%-所得税限界税率※)/100%+2,000円】
※所得税限界税率とは、所得税計算の最高税率に復興特別所得税(2.1%)を上乗せした数字です。自分の所得税率は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」から「所得控除額の合計額」を差引いた額により所得税の税率等で確認できます。
(国税庁サイトhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm)。
名古屋国税局が行った査察調査で、関係者の個人情報などが記載された調査関係書類が流出していたことが分かりました。局は担当者2人の処分を検討しているそうです。
 名古屋国税局によると、査察調査を担当したのは査察部の40代主査と30代査察官の2人。今年1月に調査対象法人の代表の親族に聞き取り調査を行った際に、確認のために提示した調査報告書の回収を怠ったそうです。報告書は親族が持ち帰りました。
 さらに3月にも、同じ法人の別の親族に必要書類を渡した際、法人と取り引きがあるとみられる個人や法人のリストを誤って渡しました。リストには査察部が金融機関に照会した関係先の情報が記載され、個人23人の氏名、住所、生年月日、口座番号と15法人の社名、住所、設立年月日、口座番号が記されていたといいます。
 リストが法人にわたり、関係者から「文書が流出している」と連絡があって発覚しました。局は原本とコピーを回収しましたが、関係者は「まだコピーを所持している」と話しているといい、さらなる回収に応じるよう求めています。
 調査対象法人の関係者以外への流出や査察調査への影響は現在までにないとしていますが、全容解明後には担当者2人の処分を検討するとしています。
<情報提供:エヌピー通信社>