3年前の3月
発熱したパパ

保健所や病院に
連絡を取りながら
すったもんだの後に

息子が動いてくれて

がんの治療を受けている
病院に、長男と三人で
向かいました。


到着してみると
いつもの診療科とは違う
他の消化器外科の若い先生

これが、偶然の
奇跡的な出会いになった
と、私達家族は思っています。


最初のうちは
すんなりと受け入れが
決まらないその頃の医療体制
に疑問や不満がありましたし

病院側としても
どのように対処すべきか?
に悩んでいる様子が見えました

が!その雰囲気が
長男の言葉で一変したのです。


先生が、カルテを見ながら

あれ…大島さん
〇〇にお住まいなんですか?
僕も実家が〇〇なんです。

話を聞くと
すぐご近所だったのです。

そして、先生は年齢も若く
長男よりも少し年上
もしや?と小学校について
伺ってみると

なんと!
息子達の小学校の先輩だった!
のでした。


そこから
一気に先生と私達家族との
距離が縮まりました。

お医者さんの前で
あんなに素直に
正直な思いを言葉に出来たのは

あの時が
最初で最後だった気がします。


それまで
担当医師からは
腹水について、はっきりと
言われたことはありません
でした。

でも、その時指摘を受け
腹水の治療についての説明も受け
(先生は、主治医の先生と
相談して下さい、としか
仰いませんでしたが💦)
抗がん剤治療についても
こちらの考え、先生の考えを
話し合いました。


その時です。

普段は
治療に付き合うこともなく
黙って見守っているスタンス
だった長男が

パパのいる前で
はっきりこう言ったのです。


先生、俺は…

親父の病気が治るとは
思っていません!

でも、希望は捨てていません!

俺たち家族の願いは

親父に苦痛があるならば
それを取り除いてやりたいし
親父がしたいと思う生活を
させてあげたい

ということです

その方法を、先生に
一緒に考えてもらいたい
んです

どうぞよろしくお願いします


彼は、そう言って
頭を下げました。


パパも私も、驚いて
目を丸くするしか
ありませんでした。


先生の顔つきが

目の表情が変わったのを

感じました。



分かりました!


そう仰ると、先生は


大島さん!まず今のお熱

なんとかしましょう!

もうすぐお仕事始まりますもんね。

お熱に効く薬も入れて点滴して

お家に帰りましょう!


強い眼差しで、笑顔で

そう仰って下さいました。



点滴が終わる頃には

解熱したパパ


病院を出る時には

不思議と三人とも笑顔で

(あんな話をした後なのに💦)

冗談まで言い合いながら


タクシーで帰宅したのでした。



家に着くと

(多分、明け方)

次男が待っていてくれて


元気そうなパパの姿に安心して

笑顔で、お兄ちゃんと

部屋に帰って行きました。




私は…


あの時の、長男の

強い眼差しと言葉を

忘れません。


それについて

その後誰も触れることは

ありませんでしたが


なんとも説明のつかない…


崇高な時間が

あの時あの場所に流れていた


そう思っています。





追伸


点滴をしていただく時

私と長男は外に出ていて

先生とパパが

どんな話をしたのか

分からないのですが…



こんなに正直な思いを

人として話せたのは

病気になって初めてだ。


先生!あなたは

いい医者になるよ!


何を話したかは

男と男の約束だから

…言わないよ(笑)


そう、パパのメモにありました。






※今日のお話は

このシリーズの前々回の

記事の続きです。



    ⬇️



『パパと歩んだ道・あの日あの時』 3年前の3月