毎年恒例セルフライナーノーツです。
①Intro~Fafrotskiesのテーマ~
ライブのSEがわりにオープニングの演出として作った曲。ポエトリーの歌詞はドラムの寺澤君。
程よいフィクション感と憂いがイントロダクションに相応しくて、彼が歌詞を書いてきたまま手直しもしてないはず。
今回は演奏では参加してないけど、ここにちゃんと寺澤君の意思が乗ってるのが嬉しい。
実は15年くらい前、この曲には元々歌が入っていて結構お気に入りだったりするので機会があれば仕上げたいなーとも思うけど、他にやりたい曲が溢れすぎていておそらくその機会はこのバンドでは無いでしょう。
②雨が上がる前に
個人的に歌ものとして今まで作ってきた曲の中では、今の時点で一番納得いってる曲。(なんか毎回同じような事言ってる気もするが…)
確か1年前くらい、興奮しすぎて自分で歌った動画をバンドのグループラインで送って『新しい境地にたどり着いた!』みたいなメッセージを添えた。
しかし、後日スタジオでギターの佐野君に感想を聞いてみると、『どの辺が新しいんでしょう?』みたいな反応だったので、『あれ?いや…その…』と口ごもっていたら、ベースのぐっさんが、『今まではイギリス寄りのメロだったのがアメリカ寄りになりましたよね』みたいなフォローをしてくれて、
『そ…それ!!!』とすかさず便乗した。
サンキューぐっさん!
歌詞のテーマは雨が上がるのを待ったり、雨の中耐えたりする曲は多いけど、個人的に雨が降ってる時こそ楽しめなければ結構生きるの辛いぞって思うので、そんな時こそ立ち上がって前向かなきゃって。
サウンドは聞いてわかる通り、リズムパターンとピチカートのリフは完全にエド・シーランの『Shape of you』なんだけど、
何故か実際にバンドで合わせた時のイメージはスティングの『Seven Days』に切り替わっていて、自分でも元々どちらのイメージで作ったのか曖昧になってしまった。
⬆️この曲が入っているTen Summoner's Talesというアルバムはめちゃくちゃ素晴らしいので是非聞いてみてほしい。
…おっと、話が逸れた!
ちなみにバンド名が怪雨(fafrotskies)という事と、イントロダクションからの流れにも意味があって歌詞含めやっぱり自分の中で一歩進んだ作品だと思うんだけどなー。どうかなー?💧
③Come back to me
ぶっちゃけると、映画『SING』が大好きで、特にヤマアラシのアッシュの歌う『Set It All Free(セット・イット・オール・フリー)』が本当に好きすぎて、字幕版のスカーレット・ヨハンソンもいいけど、個人的には吹き替え版の長澤まさみさんバージョンの方が好き。そんなこんなで、この曲みたいな曲をバンドでやりたいと思って作った。シンガロング出来るコーラス入ってくるところとかテンポ感とか構成とか、大分まんまです(笑)
あの曲の何が好きなのか考えてみると、アップテンポでロックでメロディアスで、でもラウド系でもメロコアでもないバランスって、以外と洋楽にも邦楽にも無くて新鮮だったんだと思う。
歌詞もレコーディングのスケジュール的にギリギリで苦しんだ割に、30分くらいで寝る前にスラスラ出てきた。内容はそのまんま。
恋人とケンカして勢いで別れちゃって、
後悔して『戻ってきてー』なんて思ってるしみったれた曲です。
考えてみればSINGの曲は女性目線で、恋人と別れて『せいせいするわ!』って曲なので、同じシチュエーションでも男の視点だとこうも未練がましくなるかという…。
サウンドに関してはメンバーへの参考音源として、『Set It All Free』に縛られて欲しくなかったので、アヴリル・ラヴィーンの『Sk8er Boi』を選んだ。
なかなかあのバランスの曲って少なくて、メロコア初期の感じとかが自分の中のイメージに近いみたい。
④不滅のマーチ
MV曲。今回のE.P全体の歌詞のテーマを決定づけた曲なので、MV撮るならこれでしょ、と。正直キャッチーさでいったら今回の中で一番低い気はしてるんだけど、曲調的にも普段聞いてる昨今のUSヒップホップに影響を受けてたり、新加入のボーカルUmiとshellyとの化学反応もあって、今となってはMV撮るならこれしかないとさえ思う。
歌詞のテーマは『居心地のいい場所へ戻れ』または『死にたくなるくらい辛い環境なら躊躇わずに逃げろ』って事です。
他の曲に関しても一貫して自分の居場所に関しての内容になってる。
自分は起こった問題やストレスに対して、歯を食いしばって耐えたり頑張る事で進まなきゃいけないと長い間思い続けてたんだけど、生きてるとどうやっても耐えられない事や向き合えない事が出てくる。
勿論ずっと戦って勝ち続ける人もいるけど、立ち向かえない人、精神疾患や発達障害が原因で自分を責めるしか出来ない人も多くいるのは事実なわけで。
でもその場で逃げたら一生負けなんかじゃなくて、一度心を整えて冷静になってみた時に見えてくるものがあったり、居心地のいい場所に向かったり、また元の場所に戻ったとしても見える景色が変わって1歩も2歩も進めたりって事が実際にあったので、特に今の時代には必要なメッセージだと思ったし、自分ならリアルに伝える自信もあって今回のE.P全体のテーマにしました。
サウンドとしてはトラップのビート感にビートルズ的なコード進行のループ。
あと、一番のポイントはマーチのリズムを取り入れたフロウ。
また、本来マーチとはBPM120前後くらいのものを言うらしいんだけど、この曲のように80くらいの遅いものは葬送行進曲といって葬儀の際に使われるものらしく、実際は短調(暗い)で作曲されたものが多いみたいです。
ただこの曲は長調(明るい)なので、
生と死の狭間で揺れ動くこの曲にはまさにピッタリだなぁと、後付けながら思ったりしました。
ミックスの参考にしたのはテイラー・スウィフトの『Blank Space』
⑤WEED
これはそのまんまです。
わからない人はWEEDで検索してね。
ただ、草ネタはあくまで話のネタであって、この曲でも受け入れられないほどの現実に潰されて死ぬくらいならWEEDでもやって最高な音楽に身を委ねたら死ななくて済む事だってあるんじゃない?って。
例え捕まっても自殺するよりよっぽどマシだしね。法律にはみ出ないように生きて結果死ぬくらいなら法を犯してでも守らなきゃいけないものはあなた自身の精神と命だから。
例え誰が何を言おうとあなたの命は救ってくれないから。
…って、曲の内容ほぼ言っちゃったな(笑)
サウンドはサビの歌詞にネタバレしてる通り、
パーラメントの『Flash Light』
イントロからそのまんまなんで、許せない人は許せないだろうな(笑)
⑥晴れた君は
この曲はshellyが出産して、育児をしている間にも何かfafrotskiesの活動ができないかと思って、当初は曲を作ってネットで動画なんかを公開しようかと予定してたんだけど、あまりにも出来が良かったので、結局E.Pラストナンバーに持ってきました。この曲は、ほぼ全てshellyの作詞。
今の彼女の状況も反映されながら、全て受け入れて進んでいく。家庭という居場所を築いていく覚悟の歌。
出だしのイメージはアデルのChashing Pavementsだったけど、
shellyがもし自然体で曲を口ずさむとしたら…というのをイメージしたら、サビはとても日本的なメロディーになった。
今回の裏テーマは『Jポップ再考』だったので自分の中でのオチとしてしっくりきてます。
元々Jポップって、海外の流行りとか価値観を日本のポップスとしてどう落とし込むかって事だったように思うけど、いつのまにか日本の音楽は完全に島化してしまった。
自分達がその辺のロックバンドやヒップホップアーティストよりもロックやヒップホップのサウンドと正面から向き合って鳴らす事で、Jポップの幅広さを示す事が出来たらと思ってるけど、その為にはこのE.Pが売れない事には、そこに関してあまり意味を持たないでしょう(笑)なので売れてほしい!
【ミックス、マスタリングに関して】
前のE.P2作に関してはミックス、マスタリングのリファレンス音源には日本のバンドを選んでたんだけど、もう今や自分自身シティポップ系の音楽もあまり聞いていないのと、日本のアーティストではほぼヒップホップしか聞いてないので、今回のリファレンスはUSの最近の音源ばかりとなった。
音圧も今やあまり気にならなくなったので、
潰れすぎるくらいなら音圧下げてくださいとお願いした…けど、割と大きめかな?
それでもデカイい音で長時間聞いて耳が痛くならないよう、ローは出してもハイをブーストし過ぎない質感を目指して、何度もエンジニアの山影さんと調整しました。
…と、いう事で今回も長々とお付き合いありがとうございました!
来週15日には配信限定リリース&MV公開ですので、それまで予習していただけたらと思います。
では!!!
