陽子は高市大臣と民主党議員とのやり取りをテレビで見ていて吐き捨てるようにこう言った。
「先生よく言うねえ。自分たちが政権についていた時はどうだったんだ。やたらにマスコミに介入したではないか。自分たちに都合の悪い情報は握りつぶしたくせに」
 陽子の手は怒りに震えている。
「マスコミにも大陸の魔の手が確実に伸びている。危ない。目を光らせていないと」
 仲間が極秘の情報ファイルを見せてくれた。陽子はそれを見て手が震えた。
「戦後のメディアの復興の頃から魔の手が伸びていたのか」
 ため息を何度もつきながら陽子は続きを読む。
「これでは特定のメディアが偏向するのも無理は無い」
 陽子は日本に巣食う蜘蛛の巣のように張り巡らされた魔の手の多さに気分が滅入った。
「私は負けない」
 天を見上げて、
「さてどの会社から手を入れようか」
 陽子の仕事は星の数ほどあるのである。