1981年、後楽園球場での対巨人19回戦。
巨人はこの試合まで2シーズンにまたがり158試合連続得点を挙げていました。
その猛打・巨人軍に立ちはだかったのは、
巨人戦に異様なまでの執念を燃やす
中日のエース、星野仙一でした。
星野は気迫のこもったピッチングで巨人打線を零封していました。
対する巨人も7回裏に反撃を試みました。
2死2塁、巨人の打席は代打の切り札、山本功児(現ロッテ監督)。
しかし、山本は星野の気迫あふれる投球の前に、
あっさりと内野フライを打ち上げてしまいました。
そして、打球は遊撃手、宇野勝の後方にフラフラとあがったのです。
星野は当然、3アウトチェンジを確信してベンチに向かって歩き始めました。
その瞬間、どういう事か、球場が大歓声に包まれました。
驚いて振り向く星野の眼前には、なんと頭を抱えてしゃがみ込む
宇野の姿が飛び込んだのです。
宇野はなんと、グラブではなく額でボールを受けてしまったのでした。
その上、宇野の額がジャストミートしたボールは大きく跳ね上がり
遠く左翼ポール際まで転がり、そして観客席は爆笑の渦に包まれていました。
ランナーは一挙にホームイン。星野の巨人の連続試合得点記録阻止の
夢は泡と消えてしまい、星野はグラブを地面に叩きつけ激怒しました。
これがプロ野球史に深く刻まれた「ヘディング事件」の顛末です。