エピローグ
それは、あるセミナーのワークショップで突然に起こった。
今日はどんな新しい知識が得られるのかとワクワクしてその場に臨んだ私は、講師の話が進むうちに自分のカウンセリング体験を思い出していた。
(ファイナンシャルプランナーになりたい)と思ったきっかけが、私の生い立ちと切っても切れないのだから当然と言えば当然であった。
【NLP心理学】はカルチャーセンターですでに受講経験があり、そこでは自分の考え方の癖や他者とのコミュニケーションについて学んでいた。だから復習といった感じで講師の話を聴いていたのだった。
記憶が薄れて曖昧になった知識を繰り返して学ぶことの重要性を改めて考えていた時、ワークが始まった。
自分が仕事をする上での価値観を知ることが目的だったと思う。
私が課題に記入した内容をもとに講師からの質問が始まった。
講師のテンポに合わせて、私は瞬間的に思いつくまま答えていくが何度も繰り返される同じパターンの質問に対して、次第に追い詰められているという思いが強くなっていった。
気が付くと私は嗚咽とともに涙を流していた。
それでも質問は続く。
私は必死で答えた。
『私に関わったすべての人に感謝します!』
それは、無意識のうちに出た言葉だった。
講師からまた同じ質問があった。
『〇〇できたなら、あなたはどうしますか?』
『満足して死ねます!』
喘ぎながら絞り出した言葉だった。
その答えを最後に私のワークは終わった・・・。
ファイナンシャルプランナーという役割や使命について深く考えさせてもらえただけでなく、私自身、予想だにしていなかった意外な結果をもたらしてくれたのだった。
Restart!
さあ、新たなステージの始まりだ。
------------(完)-----------