林の中で、スズメバチの巣を見つけました。

 

バスケットボールよりも大きい、りっぱな巣です。夏の間はしげった葉にかくれて目立ちませんでしたが、今は、木々が葉を落とし、遠くからでもよく見えます。


スズメバチの巣ときくと、近づいたら中からハチが出てきて、刺されないか?と不安になるかもしれません。

確かに、夏から秋にかけての時期は注意が必要ですが、冬の間なら心配はいりません。

巣の中にハチはいませんし、残った巣が来年また使われることもありません。


では、ハチはどこへ行ったのでしょうか?実は、夏に活動していたスズメバチのほとんどは冬を迎える前に死んでしまって、もういません。今、生き残っているのは、秋に生まれた新しい女王バチだけです。

 

女王バチは枯れた木のすき間などを見つけて入りこみ、そこで寒さをしのいで、たった一匹で冬を越します。

 

そして、春をむかえ気温が上がってくると、一匹だけで新しい巣をつくりはじめ、子どもを産んでいくのです。


といっても、すべての女王バチが冬を越せるわけではなく、寒さで死んでしまうものもいます。

これから、女王バチにとって厳しい冬が始まります。

 

(2022.12.14 十勝毎日新聞掲載)

【森の輪(わっこ)の森物語Vol.11】

 

冬枯れのオオバボダイジュの枝先にタネが揺れています。

 

シナノキ、オオバボダイジュのタネはなんとも不思議な形。まるで工芸品のようなこの形は、タネを風に乗せて運ぶプロペラ装置です。

(左:オオバボダイジュ、右:シナノキ)

 

プロペラ型のタネというとカエデなども有名ですが、シナノキ、オオバボダイジュのタネは、翼の部分と、おもりの役割を果たす果実の部分が、きっちり分かれて配置された、より精緻なつくり。

さらに、カエデなどのタネと違い、複数のタネを輸送できるとても優秀なヘリコプターです。

 

(成熟途上のオオバボダイジュのタネ)

 

自然が生み出した機能的で美しき造形です。

 

(オオバボダイジュは2021年に池田町で森の輪の材料に使われました)

【街かどツリーウォッチング Vol.1】

 「フェンスを飲む木」

なんで、こうなったんでしょ~か?

①フェンスの近くにタネが飛んできて発芽、成長

②木が伸びていく途中で先端がフェンスの網目をくぐってしまう

 ↓こんな感じ

 

③そのまま成長を続け、木が肥大成長(太ること)する際にフェンスの網目を幹の中に取り込んでいった。

 

ミソは②の先端が網目を通過してしまったこと。それがなく、ただフェンスの近くで大きくなっただけならフェンスがよほど強固でない限り、下の写真のようにフェンスを押しやるような成長の仕方をする場合が多いと思われる。

という私の推理。