『歪んだ波紋』 塩田武士 講談社
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塩田武士さんの本は今回で2冊目。
グリコ森永事件を題材にした『罪の声』を読んで昨年新刊がでたということでこちらを読みました。
大学がジャーナリズム論専攻だったこともあり、未だにメディアが社会に与える影響や情報そのものに興味があります。
この本は、ジャーナリストがやってはいけない情報操作をしてしまうことから様々な伏線が絡み合って情報が人や環境を壊し、人の命までも奪うのです。
印象的だったのは、情報を改竄・捏造するのはもちろんですが、情報を開示しないことも時と場合により重要な影響となり、罪にもなりうる。
そしてかつてジャーナリストの情報操作は、他社を出し抜きたい。後生に名を残すようなスクープを掴みたいという私利私欲から起こることが主とされていたが、現在は会社組織を、社会を陥れるためのテロだとも言える、ということ。
かつて大学で学んだ基礎は根強く残り、目的が広範囲になっていた。そして今はインターネットで全世界に繋がる時代。
読んだ本がフィクションであることを忘れるほどリアルでした。
自分達が正しい認識を持ち、流されないよう、発信する時にもその情報は共有されるべきなのか、どのような影響があるのか 、また受けての場合もそれは同じ。
考えさせられる小説でした。
ご興味ありましたら是非一度ご一読ください!
