ナンパ奮闘記

ナンパ奮闘記

東京を中心にナンパ活動、その戦績を紹介します。

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どーも、オハラです。

 

みなさんは周りに尊敬する人物はいますか?「あの人は脳の処理速度がすごい」「あの人は天才的に美的センスがある」とか。僕は親はもちろん尊敬していますが、仕事や世渡りといった部分では年齢の近しい友人から多くを学んだような気がします。

 

そんな僕が尊敬する友人の中から今回はSという男性を紹介しようと思います。

Sの何を僕は尊敬しているかというと彼の鋼のメンタルです。やっぱりメンタル強い人は仕事もバリバリこなしてたくさん稼いでいますね。

 

今回は今までの彼の奇行を元にそのキャラクターを分析していこうと思います。

 

・Sとの出会い

Sとは20歳くらいの時に知り合いました。このブログでも有名なあのウィリーさんを経由して知り合いになりました。ウィリーさんは僕と同じ小学校に通った後にお互いに私立中学に進学したので全く別のコミュニティを築きました。まあお互い陽キャではないので友達はごく少数でしたがそんなごく少数のウィリーさんの友達の1人がSでした。

 

ウィリーさんは大学付属の私立中高に行ったのでそのまま大学へエスカレーター式に進学しました。僕は結局頭が悪かったので大学進学は失敗して専門学校に通いました。そんな20歳くらいのある時にウィリーさんから「俺の友達と一緒に旅行に行かないか?」と誘いを受けてSと知り合いました。20歳当時は定期的に旅行に行くのにハマっていて僕とウィリーさん、Hくん(現在フリーのデザイナーとして活躍、僕とは絶交)とSの4人で辺鄙な土地に旅行に行って馬鹿騒ぎをしていた。

 

Sは4人の中で一番変わり者だった。常になんかやばい薬でもやってるんじゃないかってくらいテンションが異常に高く「ホウホウ!」とかなんかしらの奇声を発してぴょんぴょん跳ねたり小躍りをしている変なやつだった。そんなに暴れて疲れないのかってくらいいつもハイテンションで縦横無尽に動き回っていたのを覚えている。そして体は細マッチョだったが特に何も部活とかやっていないナチュラルで良い体を獲得していた。

 

大学生当時のSは女関係もかなり乱れていた。高校生までは男子校だったのもあってそんなでもなかったらしいが、大学くらいからその軽い性格を存分に発揮してナンパはもちろん風俗とかあらゆる性を貪っていたと記憶している。当時は年に数回旅行に行く時にしか僕はSに会う機会がなかったが、会うたびに必ず女関係の爆笑ネタを引っ提げて僕たちを笑わせてくれた。会うたびに必ず何かしらネタがあるという芸人顔負けの男だった。

 

・Sの仕事

大学を卒業して新卒でそのまま入った会社で現在も勤めている。飄々とした彼の性格からもちろん営業マンとして活躍していることは容易に想像できるだろう。彼はずっと10年以上同じ会社で営業として活躍をしているがその会社というのが年収がバカ高いことで有名な計測機器など製造販売をしている会社で「勤めて10年で家が建てられる」とかそんな触れ込みで有名な会社だ。ざっとネットで調べたら平均年収はなんと1000万超え。まあその分激務だと噂の某会社である。

 

新卒を大量に採用してもちろん激務でどんどん辞めていくがSは10年以上ずっとやり続けている、もちろん同期は全員辞めた。この時点で彼がどれだけの鋼のメンタルかがわかるだろう。もちろんあの会社はメンタルだけでやっていけるほど甘くはない、営業テクニックや仕事の処理能力もかなり高いレベルで要求される。でもSはそれをちゃんとやってのけるだけのスキルがあるのだ。正直僕は彼のあの飄々とした感じと女の爆笑ネタのイメージしかないからこんな高年収のエリートになるとは想像していなかった。

 

2011年に28歳で学生時代から付き合っていた彼女と結婚して今では2児のパパである。奥さんもあんだけ稼いでくれる旦那を持ってさぞ幸せだろう。Sがこんなエリートになることは想像はできなかったが今考えればいろんな片鱗はあったような気がする。そんな彼のエピソードを紹介してみようと思う。果たして彼はどんな人間でどんな素質を持っていたのか。

 

・天性の嘘つき&適当男

まず彼を語る上で外せないのは天性の嘘つきで適当な男ということだ。何を聞いても基本「そうだよ~」ととりあえず答える。

「Sの自宅って東京だよね?」→「そうだよ~」(本当は埼玉)

「Sの彼女ってミキちゃんだっけ?」→「そうだよ~」(本当はあやちゃん仮名)

「明日Sはバイト?」→「そうだよ~」(本当は休み)

など、とにかく適当な相槌がデフォルトなのだ。

 

道案内を聞いてみてもSは適当に答える。Sの地元の最寄り駅まで車で送って行ったことがあったがその時に「ここから国道まで出るにはどうすればいいの?」とSに聞いたところ「ああ、この信号を左に曲がってずっとまっすぐ行くとコンビニがあるからそこをさらにまっすぐ突っ切ると国道にぶつかるよ」と教えてくれたのだが言われた通りに行っても国道には到着せずナビを入れたら全然違う方向だったということがあった。さも本当っぽく言うところと相手を信じさせてしまう演技というか特殊な技量がある。ていうか友達にこんなに軽く嘘をつく意味があるのか…。

 

路上でナンパをするときは目を見張る適当さで、発言すること全部見事に嘘になる、例として以下の通り、

「今日は映画見てきた帰り(本当は風俗)でこれから飯行くんだけど一緒にどう?」

「俺、三宅島出身で2000年に噴火した時にこっちに引っ越してきたんだよね」

「仕事は自営業だよ~。ちなみにIT系ベンチャー」

「俺の名前はツカサでこいつはルイ君ね、よろしく!」

とかいちいち全部に嘘をつく。でも、適当過ぎて自分が最初にどんな嘘をついたかを忘れてくることもある。例えば最初に「ルイ君」と一緒にいる友達に適当な名前をつけて紹介したが1時間もすると「ほら、大ちゃんあの話してよ」とついつい友達の本名を言ってしまう詰めの甘さがある。「え?ルイ君じゃないの?」と女子に突っ込まれてもSは全く動じない「ああ、こいつ大道寺ルイって名前なんだよ」とさらに嘘でカバーする。「えっと、あの…」と言葉に詰まってしまうことは皆無である。

 

対人関係でもゴタゴタは全部嘘で解決する。例えばバイト先で「今度飲みにいこうよ」とやたらしつこく誘ってくる先輩がいて正直その人とあまり絡みたくないSはその先輩が宗教が大嫌いという情報を入手していたので「あの~先輩、よかったら今度XX学会の集会があるので一緒に行きませんか?僕その学会員なんですよ。先輩も気にいると思うのでぜひ!」と咄嗟に嘘をつくと先輩は顔色を変えて「いや~、ごめん。俺そういうの苦手だわ」と言ってそこから一切、Sには話しかけて来なくなった。うざい先輩から離れられて満足だったSだが、先輩からバイト仲間全員に「あいつXX学会のメンバーなんだって」とその嘘が広まってしまったらしい。だがこんな状況でもSは全く動じない、むしろ他のバイト仲間の女の子から「SさんってXX学会なんですか?実は私もなんです」とガチの学会員がバイト仲間でいたらしくその女の子と仲良くなるというピンチをチャンスに変える図太さである。学会員じゃなくてもSにしたら話を合わせるなんてお手の物でその女の子は家が学会に入っていて当人は辞めたいらしくすごい困っているという。「ああ~、わかるよ家に友達呼びづらいよね。新聞とか先生の写真とか家に飾ってあるしね~」とどんどん適当なことを言って話を合わせ結果的にその女の子と仲良くなって一夜を過ごしたこともあったらしい。

 

・浮気は当たり前

学生時代から10年近く付き合った彼女とようやく2011年にゴールインした彼だが複数の女性と関係を持つなんてのは日常茶飯事。風俗通いが彼女にばれても「いやー、W君がどうしても行きたいっていうから~」とか友達をダシに使うのは当たり前。一番その被害にあっているのはウィリーさんである。ことあるごとにウィリーさんが行きたいとかウィリーさんがナンパに強制的に連れ出したとか言って難を逃れて、結局その彼女とは結婚まで行っている。

 

一番Sの女エピソードで「さすがだ」と思ったのは21歳の時にいつもの4人のメンバーで群馬に旅行に行ったのだが、その時に夜に河原で花火をすることにした。そしてたまたま近くで同じように花火をやっていた女子高生と話が弾んで仲良くなった。その時にSはちゃっかりその女子高生の1人と連絡先を交換していたのだ。それから4年の歳月が流れてSが25歳の時にまた4人で旅行に行った時があったが、そこでSが「実はさ~あの群馬の女の子が今度大学に進学だから東京に来るんだよね」と突然言い出した。彼は4年間あの女子高生が成人になるのをずっと待っていてその間も律儀に連絡を取り合っていた。もちろんその時にSは付き合っている彼女(現在の奥さん)がいたがそのことを群馬の子には告げていない。ほどなくして東京にやってきた群馬の子と懇ろな関係になった。妙なところがマメというか付かず離れずを保つのがすごい上手い男だ。

 

社会人になってからSは出会い系サイトを積極的に活用していた。今ほどまだスマホが普及していなかったからどのようにやっていたのかは謎だが、仕事の都合で転勤が多かった彼にとっては出会い系サイトはなくてはならない娯楽の一つだったらしい。関東とはいえ田舎の方に転勤になると彼曰く出会い系で女と遊ぶくらいしか楽しみがないという。「英雄色を好む」というが高収入でエリート営業の彼もまた溢れ出るエネルギーを仕事と性に費やすようだ。女性に対して彼の守備範囲は幅広く当時20代だった彼だが40代の人妻とか連絡が取れるなら果敢に飛び込むタイプでおばさんだろうがなんだろうが関係なくやってしまう。

 

浮気をする人も「バレないかな?」とか「妻以外と関係を持ってしまった」という後ろめたさからなかなか踏み切れない人がほとんどだろうが彼にとってみればそんなことは無意味。欲望にどこまでも忠実で全くそんな罪悪感とか後ろめたさを微塵も感じさせない。強がっているだけで本当は葛藤しているのかなと思ったがどうやら全くそんなことがなくつい最近の話で言うとパパ活にまで手を出したと言う。しかもその時に捕まえたのが18歳の女子大生で最初は飯を奢ってその後でホテルの交渉に入ったがHは追加で2万円を要求されたと言う、だが彼はエリート営業マンだ「お金を払うは別に構わないがこちとら2万という大金を払うんだからこっちも満足のいくプレイをしてくれないと困るんだよね~、とりあえずやってみないことには満足いくかわからないじゃん?だからとりあえずやってから考えようよ」と訳のわからない理論で言いくるめてその子とホテルへ行きそのまま結局やったが「さて、帰るか」とそのまま金を払う雰囲気を出さずに、見事にそのまま解散となったという。

 

浮気に関しての彼の心情を垣間見れる貴重な音声が今も残されている。それは2007年にあの仲良し4人で旅行に行った時に夜缶ビールを買い込んでホテルで会話をしていたのを何気なく録音していたのが残っているのだがその中でSに「なんで長く付き合っている彼女もいるのに風俗とか他の女に手を出せるの?」と聞いたところ、Sはまず「俺は一人の女じゃ満足ができないなんだよな。だからよくウィリー君が誘ってくると風俗行っちゃうんだよな」と若干ウィリーさんに責任転嫁するような発言をした。それに対して「じゃあやっぱり一人の女で満足はできずだからこそ特定な女じゃなくいろんな人に手を出せるということか~」とウィリーさんがSの発言をまとめあげるとあろうことかSは「いや、それは満足しているんだよ。全てに!」と10秒前の発言を全部覆した。「ただ、俺は本当はそんなに社交性がある人間でもなくポジティブな人間でもない。だからすぐに情緒不安定になる傾向がある、そのきっかけは本当に些細なことで”あ~今日は暇だな、でも彼女が相手してくれないな~”という時には自然に他の女に連絡が取れる」と言っていた。つまり彼は寂しがりやなんだと思う、その寂しさを紛らわす為に女という手段をとっているのだと思う。女性でも「寂しいから」という理由で浮気とか風俗で働いてしまう人も一部いるだろう、それの男版が彼だ。自分の欲望に忠実でそのために浮気をしても何も後ろめたさなどは無いのである。「我慢はしないの?」とウィリーが聞いても「我慢したら負けだよ」とサラッと答えていた。

 

・彼女に対してかなりS

情緒不安定なエピソードとして長年付き合って結局結婚した彼女に対してDVとも思える行為を働いていた疑いがある。Sは彼女とデートしていて機嫌が悪くなるとすぐにそれが態度や行動に出るという。例えばカラオケに一緒に行った時も何かがきっかけでSが不機嫌になった時はジュースが入ったプラスチックのコップを壁に投げつけまくったりとかドライブしている時に彼女が何か気に触ることを行ったら急ブレーキを踏んで「お前降りろ!」と言って道端に降ろしてそのまま帰ったりとか、スケボーで一緒に遊んでいる時に悪戯心から彼女をスケボーに乗せて思いっきり押したらすごい勢いで転んで手首を捻挫してしまいその様子を見てずっとSは笑っていたりとかなりの笑えないエピソードが多数あるが、彼が自ら語ったことなので嘘や脚色が入っている可能性が高い。

 

ちなみに2011年に結婚式をやったSだがその結婚式の三日前くらいには風俗で知り合った女とプライベートで会ってしかもその女の家に一晩泊まっていたという常人では考えられない精神構造の持ち主である。普通、結婚式の前に他の女と寝てしかもその女の家に宿泊するなんて良心が咎めるだろうが彼にはそれが無いらしい。しかもその時、その女の方がかなりSに本気になってしまったらしく付き合おうかなんて真剣な話がその時に持ち上がったらしい。一体どんな気持ちであの結婚式に臨んだのか…、心臓が強すぎる。

 

・仕事の失敗も気にしない

Sの結婚式に行った時に彼の上司が乾杯の音頭を取っていたがその時の挨拶の時に「え~、S君とは3年前ほどに一緒に仕事をすることになったのですが”仕事を舐めている奴がいる”と噂を聞いておりました笑」と言っていたのを覚えている。多分彼の鋼のメンタルと適当さは仕事でも健在なんだろうなというのが垣間見えたエピソードだった。

 

彼の仕事している姿はもちろんみたことないが、それに関連するような出来事があった。ある日の休日にSが風俗に行きたいというから池袋に行った。「今日はどこ行こっかな~♪」なんて上機嫌に歩いていたSだったが、突然彼の携帯がなり出し顔色が変わった。「もしもし、はいお疲れ様です~」どうやら仕事の連絡だったようだ。「え?本当ですか?申し訳ありません」となんかトラブルが起きた感じのシリアスな雰囲気だった。程なくして電話を切ったSがこちらを振り返りまたいつもの感じに戻って行った。気になったので「さっきの電話どうだったの?なんかまずったの?」聞くと「いやー、俺の失敗で会社に数千万の損害が出ちゃったよ~。ま、とりあえず風俗いこう!」と言って夜の街に消えていった。なんてやつだと思った、僕が会社に数千万の損害なんて出したら気が気じゃないしその日はもう家に帰ってどう言い訳をしようか必死に考えると思う。数千万の損害を屁とも思わずそのままテンションを保って休日を遊べるSはすごいなと思った。

 

・Sの一番の嘘

今までSがついた嘘の中で一番すごい嘘はなんだったのかということを一番近くでSを見てきたウィリーさんに聞いてみたら「うーん、いっぱいあるけど中学高校の時のあれかな?」と教えてくれた。

それはウィリーさんがSと私立の中学で出会ってそのままエスカレーター式に高校という流れで合計6年間の学生生活を一緒に過ごしていたが、中学2年生くらいのあるときにウィリーさんが学校の食堂で昼食を食べているとふと向こうの席にS君に似ている先輩がいた。もしかしてSに兄貴でもいるのかと思って昼食後に「お前、兄弟いるの?さっきすごい似ている人がいたんだけど?」とSに聞いたところ「いや、いないよ」と彼は答えた。

 

しかしそれから3、4年経過して高校を卒業しそのまま付属の大学に進学したウィリーとSだがある時突然Sが「実はさ~、俺兄貴がいるんだよね~」と告白した。ウィリーさんは度肝を抜かれ「え?お前前に聞いた時に兄弟いないって言ってたじゃん?」と突っ込んだが「いや~、あれは嘘だよ」とあっけらかんとして答えた。こんな嘘をつく必要がどこにあるのか?しかも高校生活のどこかで「この前兄貴がさ~」とぽろっとなんかの拍子につい言ってしまいそうなものだがSは卒業までずっと黙っていた。通りでSはたいして勉強して無いのに成績が良かったのは兄貴からテストのお下がりをもらっていてあらかじめ答えを知っていたからだったらしい。

 

正直脱帽である。嘘をついてその真実をずっと黙っている精神力も彼には備わっている。特に学校時代の間柄なんて家族構成とか家のこととか嘘をつく必要はどこにも無いじゃないか、どっちかっていうと兄貴がいるって言った方がなんか話が盛り上がるというか兄弟いる人との繋がりにもなるし全くこの嘘を何年間も貫く意味がわからなかった、せいぜいテストの答案を知っていることを隠すくらいか?

 

・Sの育った環境

Sは別に悪い家庭環境で育ったわけじゃないらしい。僕も2011年の彼の結婚式の時にその例のお兄ちゃんを見たことがあったがまじめそうな痩せ型の男だった。Sのお父さんもいたって普通のメガネをかけて白髪頭に七三分けで少し小柄などこにでもいるお父さんって感じだった。でも、その結婚式にSのお母さんはいなかった。

 

大学生時代のある時にウィリーさんと二人でどこかに飯を食いに行くときに車内でSの嘘話や馬鹿話で盛り上がったことがあった。相変わらずのSのエキセントリックな話の数々をウィリーさんから聞かされて僕は腹が捩れるくらい笑った。「ほんとクレイジーだな」と僕がいうとウィリーさんは少しトーンを変えて「でもさ、実はSってさお母さんが亡くなっているんだよね」と言った。僕はギョッとしたがそれすらSが嘘をついているんじゃないかと思ったから「それって本当にホントの話なの?」と聞くと「うん、中学の時に病気で亡くなったんだよ。俺その時に葬式に行ったもん」とウィリーさんが言った。しばし僕がポカンとしているとウィリーさんは「な?この話を聞くとなんかあいつの見方がちょっと変わるだろ?」と言った。僕は素直にうなづいた。

 

お母さんの不在がSを嘘つきに変えてしまったのかはわからないが、何かしら彼の中には影響はあったのは確かだと思う。僕たちが知らないだけでSはすごいマザコンでお母さんがいなくなってしまうことに耐えられなくなったのかもしれないし、そこから怖いものがなくなったのか現実感がなくなって本当だろうが嘘だろうが全部が泡沫の夢のように思えて適当なことを言い始めたのか。真相は謎だが、ウィリーさんにこのことを教えてもらった時にSの見方が変わったのは確かである。

 

Sは今では子供が二人もいる。今は確か会社の仕事で静岡で家族水入らずで暮らしているはずだ。コロナ禍前は彼と年に一回会うことがあり僕はそれをすごい楽しみにしていた。会うたびに鉄板ネタを披露してくれるし会うたびに出会い系の下ネタ話をしてくれる。僕は地方暮らしをしたことがないからよくわからないが、おそらく退屈なんだと思う。ましてや結婚して子供ができて、Sのように周りに学生時代の親しい友人はいなくて都内ほど遊べるスポットがない場所で会社命令で長く暮らしている彼はすごいと思う。

 

でもその退屈を彼は自分なりの方法で晴らして、日々の仕事と円満な家庭の父親を見事に演じている。Sを見ていると罪悪感とか躊躇いとかそういうものが自分の人生の足枷になっているということを教えられる。彼は「我慢したら負けだ」と学生の頃に言っていた自分の哲学を実践して、結婚した後も平気でいろんな女と会うし少しでも興味が湧いたら今までやったことがなかったサーフィンとかいろんな趣味にも手を伸ばす。転勤で地方暮らしを命じられたら大抵の人は「退屈だ、早く帰りたい」と感じて毎日鬱屈するだろうでも退屈だと感じるのは自分が何もしていないからだ。浮気をしろと啓蒙しているわけではないけど「やったことない」「そんなの俺の柄じゃない」「周りの目が気になる」とかよく考えればどうでもいい理由で何もしていない自分を恥じ、Sのように人生を謳歌することは大いに推奨したい。

 

オハラ