傷あとのあるの少し汚れた手を差し出し出された。
その手の先を見ると
傷だらけで、ドロドロの涙の跡の残った笑顔があった。
その笑顔を見たとき
その傷を見たときその涙の跡を見たとき
大丈夫?って逆に心配してしまったくらい
その人は汚れて傷ついていた。
でも、そんな手だからこそ
そんな笑顔だからこそ
その手をつかみたいと思った。
その姿が、その手が
ほっとさせる。安心させてくれる。
同じなんだと思わせてくれる。
分かってくれると思わせてくれた。
きっと
傷も何もなく綺麗な手で
綺麗な姿な人に差し出されていたら
その手の美しさに
その姿の美しさに
自分の醜さを強く感じて
身を固くし、恐れを感じてしまっていただろう。