🎄Merry 🎄
🎄Christmas 🎄
こんばんは♡
このお話は、R所長さん主催の
【超嵐冬祭り】
に参加しております♡
また、リンク作業でR*さんにもお世話になってます
一度運営から画像について注意を受けたので、嵐さんの画像は貼らないことにしています。過去のお話からも抜いちゃってます😅
今回のお揃いの画像もそういう理由で、念のために加工してますがよろしくです😅
今回のお話は潤くんの仲良し同級生の、中村七之助くんの語る翔潤です
七之助 Side
呼び出されていつもの店に着いた時には、すでに潤は酔っ払っていた。
「なんだよお前、おっせーよ!」
「...うわ、めんどくさいことになってる...。マスター、こいつどれくらい飲んでんの?」
「えっとねえ、ビール2杯飲んでからのハイボール3杯、それからロックでチビチビ飲んで何杯行ったっけな?」
「止めてよね、途中で。」
「俺は酔ってねえよ!」
「ハイハイ。もーどうしちゃったの今日は?仕事だったんだろ?」
「仕事だよー。俺今日大変だったんだから!」
「遅くまでやってたんだ?」
「...そんなに遅くはなかった。今日は。」
「じゃあ早く家帰ればよかったのに。」
「ヤダ!帰りたくなんかない!バカ!」
「...めんどくせえなあもう...」
潤は真面目で繊細で細かい男で、それで仕事が大好きだからやりすぎて行き詰まってたまに深酒することはある。だけどこんな風に荒れるのも久しぶりだから、どうしたんだろうな、って思いながら自分の酒を頼んだ。
「...俺はどうせダメなんだ。」
さっきまででかい声で喚いてたくせに急に弱気な声を出す。
「ダメじゃないよ、お前はすごい奴だよ。」
何のことかわからないからとりあえず褒めてみると、
「そーいうことじゃない!俺はそういうことを言われたいんじゃないんだよ!」
ってまた喚く。
「じゃあ何がダメなの。」
「ダメなもんはダメなの。俺はダメな奴なんだから。」
「そんな事ないだろ?本当にダメな奴だったら俺はお前とこんなに付き合わないよ?」
「......本当?」
この言葉は少しは響いたようで、潤はジトッと酔った目で俺の顔を見た。
「...お前は俺の事好き?」
「好きだよ?だからずっと一緒にいるじゃん。」
「...やっぱ、俺をわかってくれるのはお前しかいないよな!」
そう言って潤はガバッと俺に抱きついてきた。
「あーハイハイ。そうだよ俺がついてるよ。」
潤の背中をポンポンしてやってため息をついた。
なんだか知らないが、今夜も長くなりそうだ。
とても俺1人じゃもたないな、と思ってたところにもう一人店に入ってきた奴がいた。
生田斗真だった。
今宵、この小さな店にイケメンジャニーズが2人。
「斗真、助かった!」
「あー!やっぱ潤、酔っ払ってるじゃん!」
来るんじゃなかった、ってブツブツ言いながら斗真が潤の反対側の隣に座った。
「何?たまたま来たんじゃないの?」
「違うよ、潤に呼び出されたんだよ。」
「え?そうなの?俺もだよ。」
「全く、俺らに甘えてるよねえ、潤は。」
「...斗真ぁ?」
俺の横でクダを巻いてた潤が、ぼやっとした顔のまま斗真を見つけた。
「ハイハイ、呼ばれてちゃんと来ましたよ。俺、今日忙しかったんだからね?」
「俺だって忙しかったよ!バーカ!」
「わかったわかった。マスター、俺もロック、潤のボトルで。」
それからしばらく潤は斗真相手にグチグチ言っていた。どうもコンサート準備で行き詰まってるらしく、今日は途中で諦めて早めに終わらせたらしいんだけど、それで家に帰ればいいのにこの店に来た上に、マスターが言うには今日は来た時から機嫌が悪かったらしい。
斗真の方が事情はよくわかるだろうし、俺よりは優しいから潤の話を聞いてやっている。斗真に任せて俺はマスターと全然別の話をして2人を放っておいた。
しばらくしたら斗真がトイレに行って戻ってきて、俺の肩を叩いた。
「もう直ぐ救世主が来るから、大丈夫だよ。」
そう言って得意そうに親指を立ててウインクした。
......救世主?
「なんだよ斗真ぁー。早く戻って俺の話を聞けよー。」
「ハイハイ。」
苦笑いして斗真は再び潤の横に座ったけど、潤はもうカウンターに突っ伏していてそろそろ寝てしまいそうだった。何言ってるかこっちからはわからなかったけど、潤が何かブツブツ言うたびに斗真はウンウン、と頷いて優しい顔をしていた。
まるで子供の寝かしつけだな。
手のかかるやつだけど、普段のストイックな潤を知ってるからたまにはいいか、と思う。それにこんな風に落ち込んでる時に、一番に俺と斗真を呼び出すっていうのも、潤の一番の親友を自負している身からするとかわいい奴だなあ、と思った。
「...トイレ。」
そのうちそう言って立ち上がった潤がフラついたので慌てて俺も立って、「おいおい、しっかりしろよ、」って潤を支えると潤はまた俺に寄りかかって来た。
「俺の事、分かってくれんのはお前しかいねえよー!」
って喚くから、しょうがなく
「ハイハイ、俺もお前が好きだよー。」
って、背中をさすってやった。
で、結局潤は何で荒れてるんだろうな?
潤に抱きつかれたままそんな事を考えてたら、マスターがふっと顔を上げて、「いらっしゃいませ。」と声をかけた。つられて入口の方に視線をやると、そこには端正な顔をした男が憮然とした表情で立っていた。
「...えっ?!櫻井さん?!」
「...こんばんは、七之助くん。」
櫻井さんは一瞬で表情を戻し、いつもの綺麗な笑顔を見せた。
イケメンジャニーズが3人になった。
「翔くん、よかった〜、来てくれた〜」
「斗真、ごめんね。」
「...斗真ぁ、なんだよぉ...」
俺にのしかかったままの潤は今にも寝てしまいそうなのに、
「潤、潤、翔くんが来たよ。」
と斗真が声をかけると、ピタッと体を硬くした。
そうか、救世主って櫻井さんのことだったのか。
ていうか、相変わらず続いてんだな。
俺と潤は高校からの付き合いで、出会った時には既に潤はジャニーズだった。
デビューの頃いろいろ悩んでたのを知ってるし、それから必死にやってきた姿を俺はすぐそばでずっと見ていた。
俺が学校を辞めたくなった頃、潤は自分の話をしてくれた。本当は高校に行くつもりはなかったんだ、って。
「...だけど翔くんがね、高校は絶対に行ったほうがいいって言ってくれて。しぶしぶ入った高校だったけど、俺はここでお前に出逢えたから。ここでお前みたいな親友ができるなんて思わなかったよ。」
この頃の潤にとって、「翔くん」は絶対的な存在だった。仕事の話をするときには必ず「翔くん」の名前が出てきて、彼がこう言うから、彼がこうしたほうがいいって言ってたから、だから俺はこうするんだ、って。
なんだお前、翔くんの事が好きなのかよ、って一度からかったことがある。潤はその時、俯いて黙り込んでしまった。
そして、苦しそうに言ったんだ。好きなんだ、って。
「......どうしてもあの人のそばにいたくて。認められたくて、俺のこと見ていて欲しくて。ただ憧れてるだけだと思ってたんだけど、それだけじゃないって、俺、分かって......」
俺は潤に何て言ってやったらいいのかわからなかった。
潤は女の子とも何人か付き合ってたけど、どの子ともあまり続かなくて、それはアイドルをしてる潤がどの子にも深入りしないようにしているせいだろうと思っていた。
考えてみれば一度心を許した相手にはとことん優しいこの男が、自分の彼女をそんなに軽く扱うっていうのはらしくないことで、本当の理由は、潤自身がそこまで彼女たちのことを好きになれなかった、っていうことだった。
潤は「翔くん」への自分の思いは間違ってると思って、葛藤して、なんとか女の子を好きになろうとしていたんだと思う。だけどそういう器用なことができるわけもなく、繊細で真面目だから、ずっと一途に櫻井さんのことを思い続けていた。
そのあと高校を卒業し、アイドルとして認知され、売れて、今ではもう、日本人で彼らを知らない人なんかいないっていうくらいの存在になった。
そうなる過程のどこかのタイミングで、潤と櫻井さんは付き合うようになった。そのことを潤ははっきりと俺に言ったわけじゃないけど、なんとなく、潤の様子で俺にもわかった。
それでも度々潤にも女性スキャンダルは出たし、落ち着いて充実してる時もあれば酷く荒れている時期もあって、それはその時々での潤と櫻井さんとの関係が影響していたと思う。俺の推測にすぎないかもしれないけど。
ただ斗真なんかは同じ事務所で同じ業界にいるし、斗真自身が櫻井さんをすごく慕っていた1人だったから、2人の関係については俺よりもっとよく知っている。もしかしたら潤も、斗真には本当の事を色々と話していたのかもしれない。
さっきもきっと、そんな話もしてたんだろうな。だから斗真は櫻井さんを呼んだんだろう。
潤は櫻井さんの登場で、気が抜けたようにそばにあった椅子に座り込んだ。
「潤、帰ろう。」
「......」
「2人に迷惑かけるんじゃないよ。全く、だから今日は早く自分ち帰って寝ろって言ったのに。」
「...いやだ。翔くんにはわかんないよ、俺の気持ちなんか。」
「わかってるよ。」
不貞腐れたような、バツの悪そうな潤を、櫻井さんは優しい目で見ていた。
「お前のことなら何でも分かってるつもりだけどね。...でもこんなにゴネるとは思わなかったな。今日は。」
そう言って潤の頭にそっと触れて
「帰ろう、潤。」
と言った。
潤がじっと櫻井さんを見上げる。
斗真が、
「ほら、帰んなよ、潤。わざわざ翔くん来てくれたんだから。」
「......」
「余計遅くなるだろ?一緒にいる時間なくなっちゃうよ?」
「......」
潤がゆっくりと椅子から立ち上がった。
「......ごめんなさい。」
うなだれた潤に、櫻井さんは苦笑した。
「いや、俺もちょっと、優しくなかったしね。...斗真、潤の荷物これだけ?」
「あ、うん。潤、ケータイ持ってる?」
「...持ってる。」
「財布は?」
「...あ、お金、」
「ごめんだけどこれで払っといて。」
そう言って櫻井さんは自分の財布から万札を一枚引っ張り出すと斗真の前にそっと置いた。それから潤の腕をとって、
「じゃあ、連れて帰るね。悪かったね、迷惑かけて。七之助くんも。」
「あ、いえいえ。」
櫻井さんはそう言うと、潤の腰に腕を回して歩き出した。潤はそうやって連れて行かれながら、横にいる櫻井さんの顔をじっと見つめていた。
あの顔だと多分もう、俺や斗真のこと忘れてるな。
二人を見送りながら、斗真がホッと息を吐いた。
「あーやれやれだよ。翔くんが捕まってよかった。」
「結局何だったの?」
「うん。要は潤が翔くんと会いたかったんだけど断られた、って事らしい。やっと時間ができたのに、って潤は言うけど、多分翔くんは潤がずっと寝てないの知ってるから家に帰るように言ったんだろうね。」
「...そうなんだ。」
「二人とも思いは一緒だろうけど、翔くんが大人すぎるっていうか、潤が真っ直ぐすぎるっていうか。」
「うん。...そうね。」
俺はふと、学生の時の事を思い出した。
いつかの帰り道、潤とふざけ合っていたところに櫻井さんが車で潤を迎えに来た時があった。思いがけない事に潤はすごく喜んで、嬉しそうに櫻井さんに駆け寄って行った。その時櫻井さんは潤に笑いかけながら、一瞬俺のことをさっきみたいな顔で見たんだった。
今思えばあれは、櫻井さんの嫉妬だった。
「......そんな大人でもないと思うんだけどな、櫻井さんも。」
「え?何?」
「なんでもない。」
櫻井さん大好きな斗真には、まあ言わなくてもいいか。
いつもスマートなあの人が、潤に関してだけはそうやって素を見せるってこと。
俺に心許してない感じがちょっと怖いけど、何より潤が大切に思ってる人だから。
だから俺も、あの人のことは結構好きなんだ。
☆The END☆
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