潤 Side
俺には好きな人がいる。
彼は酔ってる時だけキスさせてくれる。
だけど彼には随分前に言われたんだ。ゲイは嫌いだって。
…まあ、正確に言うと俺はゲイじゃなくてバイなんだけどね。
俺が「翔くんが好き」って告白した時に、
男同士なんて気持ち悪い。俺はそういうの理解できないって。
それでも諦めずにずっとそばにいるからかな。
翔くんは酔ってる時にだけ、俺にキスさせてくれるんだ。
今日も、そう。
会社で飲み会があった帰りって言って、翔くんはうちに来た。
楽しかった?って聞いたら、課長の話がつまんねーとか、
「その子がさ。いかにも俺に気がある風にしてるわけ。
「でも仕事場一緒の子だと、後々面倒なんじゃない?」
「だよなー。ああいう女に彼女ヅラされても腹立つしなー。」
機嫌良さそうにペラペラ喋る翔くんのスーツのシワがさっきから気
「泊まってくの?服掛けようか?」
「おう。風呂借りていい?」
「どうぞ。」
翔くんがシャワーを浴びてる間に洗面所にタオルと着替えを置きに
ハダカの翔くんを想像する。その体に絡みつく自分も。
その扉を開けば、そこに翔くんは立っているのに。
もしかしたら、ひょっとしたら、
とか。
「...やめよ。」
俺は頭を振って、洗面所を出た。
しばらくして翔くんは戻ってきた。
ゴクゴクと水を飲んでる彼の喉仏が上下するのを、
「...会社の飲み会なんて、行くもんじゃないな。」
飲み終わってため息をついた翔くんが言った。
「でもモテたんでしょ?よかったじゃん。
そう言うと翔くんは、あんなブスを?って鼻で笑った。
「...本当、
ちょっと呆れてそう言うと、
「だから疲れるんだよ。」
って、翔くんはつまらなそうな顔をして濡れ髪をかきあげた。
「お前は俺の真っ黒な性格知ってるからなー。」
「......うん。そうだね。」
「なのになんで、一緒にいるんだよ。」
そう言って笑う翔くんに、
ゆっくりと顔を寄せて、
「...キスしていい?翔くん。」
何も言わない翔くんの唇に、俺はそっと自分の唇を重ねた。
俺は翔くんが好き。
誰よりも綺麗な顔をして、賢くて、強くて。
自分のスペックが高すぎて、
毒舌で、性格悪くて。
だけど、どこか脆い。
「翔くんが好きだよ。」
俺がそう言うと、
「...俺のどこがいいんだよ。」
って、抵抗せずじっと俺のキスを受ける翔くんは、
「そんなの、もう分かんないよ。何で好きなのかなんて。」
って俺が答えると、アホかお前は、ってゆるく笑って、
「でも俺はゲイは嫌いだから。」
って言うんだ。
「知ってる。」
だから俺も、これ以上は進めないでいる。
泊まっていくって言う翔くんはこの後俺と同じベッドで寝るんだけ
苦しいけど、辛いけど、でも好きだから。
だからこういう関係を、俺と翔くんは随分長い間続けている。
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[paradox]
一見正しそうな前提と妥当な推論から、受け入れ難い結論が導き出される状況。
矛盾しているように見えても、深く考察すると真理を含んでいる事柄や表現法。
随分前に書いて下書きで取っておいたお話です。
モヤっとしたまま終わる😂
⭐︎しばらくしたらアメ限にします⭐︎