ドックで異常が見られたから泌尿器専門の個人医に通い、この医院が閉院後は総合病院の泌尿器科に続けて通っていた。


だけどガン発見に至らなかった。


知識と経験があるはずのベテラン医師たちが何回もオレを診察していたのに。


ガンになってしまった今、診察室でのベテラン医師とのやりとりを思い出すたびに、やり場のない気持ちになる。


彼らはどうしてガンを見つけることができず、たまたま診察する事になった若い女性医師ニコニコが、初めてオレと顔を合わせたその日にガンを見つける道筋を作れたのか。

 

彼女はオレの尿に潜血反応あることに着目し、

「原因があるはずです」

とハッキリ言った。

続けて尿の細胞診、レントゲン検査、超音波検査を提案し、翌週大学から派遣される医師につないでくれ、ガンの発見となった。


彼女は、

うやむやになっていた潜血の原因追及を具体策をもって実行した。


後で思ったのだが、これらはすべて医師としてやるべき基本的な事ではなかったのか。真顔


彼女は

「疑問を持ったら追及する」という基本に忠実な医師で、当たり前のことを当たり前にやる医師だったのだと思う。


しかし頼りにしていたベテラン医師たちは……笑い泣き


オレは彼らを信じ、指示に従って来た。

ところがその間にガンは確実に広がり、時だけが無意味に過ぎていたのだ。


こんなバカなことがあっていいのか。


なぜだ。

なぜこんな事に。


彼女のような医師に早く出会えていたら……。


手術はKという医師がやってくれた。

K氏は熱心な医師で、手術後も毎日様子を聞きに病室に来てくれた。

休みの日も来てくれて、本当に申し訳なく思った。

今も引き続きK医師が担当してくれているのは心強いばかりだ。ニヤニヤ


オレのガンは粘膜を超えて浸潤してしまっていた。

ただ幸いなことに、筋層にはガンの浸潤が認められていない。

しかしわずか先の筋層に浸潤するとフェーズは変わる。ゲッソリ

 5月にその検査がある。


オレはギリギリの所にいるのだろう。


オレはどこに行くのか。