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-OGGY THE WORLD-
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こんな日常どうでしょう!?


なぜ、春には黄色い花が多いのか?


気候が暖かくなるにつれ、色とりどりの花が咲き始めます。本格的な春の到来を、楽しみに待っている方も多いかもしれません。ところで、早春から春の盛りにかけて咲く花には、黄色の花が多いと感じたことはありませんか?

今回は「花の色は何のためにあるのか」「春の花に黄色が多い理由」を、日本花の会研究員の小山徹さんに伺いました。

花の色は何のためにある?

「多くの種子植物は種子を形成して次世代の繁殖に備えます。そのため受粉が必要となり、さまざまな受粉戦略を用意しています。結論から言えば花の色は、昆虫を惹きつけるための生き残り戦略の一つなのです」(小山さん)

種子植物を受粉の方法で分けると、次のようになるそうです。
▼虫媒花:昆虫を仲立ちとして受粉を行う花たちです。昆虫を惹きつけるため、香りの良さ、蜜の多さ、花の色で勝負をします。
▼風媒花:風を仲立ちとして受粉を行う花たちです。ピンポイントではなく広範に花粉を飛ばして受粉させます。多くは香りも蜜も持たず、色が目立たない植物です。




▼鳥媒花:方法は虫媒花と同じですが、鳥に仲立ちをしてもらいます。外国にはハチドリによる受粉が多く見られますが、日本にはハチドリがいないので、鳥媒花自体が多くありません。

▼水媒花:方法は風媒花と同じですが、花粉を水の流れに乗せて受粉させます。

「これらの中で、多いのは虫媒花です。そのため、昆虫が花粉を運んでくれるかどうかが、子孫を残せる鍵になります。虫媒花の花たちにとって、花の色は人間の鑑賞のためではなく、昆虫を引き寄せるためにあるのです」(小山さん)

春の花に黄色が多い理由

「早春から春にかけて黄色の花が多いのは、まだ色彩に乏しい山野で、黄色が目立つ色だからです。また、早春からいち早く活動を始める昆虫にはアブやハエの仲間が多く、これらは黄色い色に敏感だと言われています」(小山さん)

小山さんから、興味深い話を伺いました。

「私は10年以上前に、ある博物館の企画展示の中で、虫(ハエ)の眼を通した見え方を体験したことがあります。人の視覚とは違って黄色、緑色、ピンクがはっきり見えず、全体的に青色、紫色系統に見えました」(小山さん)

昆虫と植物の「共進化」を研究した京都大学の発表によると、昆虫が識別できる光の波長は人間より短波寄りで、300から600nm(ナノメーター)の範囲だと言われています。ですから紫外線を含む青色や紫色などの短い波長の光には反応しやすく、赤色などの長い波長の光には反応が鈍いのです。

では、なぜ見えにくい黄色に昆虫が反応するのでしょうか。

花を彩る色素でいうと、カロチンの黄色(タンポポ、レンギョウ、ヤマブキ、キンセンカ、パンジーなど)は紫外線を吸収し、フラボンの黄色(キンギョソウ、バラ、アサガオ、チューリップ、ユリなど)は紫外線を反射します。

同じ黄色でも、虫媒花は色素を使い分けて昆虫へのガイドマークをつくっているのです。

代表的な春の黄色い花たち

小山さんから、都市部でも楽しめる、代表的な春の黄色い花を教えていただきました。

▼菜の花:早春に黄色い花を咲かせるアブラナ科の植物。桜と開花時期が近いので、日本各地の桜並木の近くによく植えられています。

▼ミモザ:別名はアカシア。マメ科の木で、2~3月には樹木全体が黄色く染まるほど、小さな球形の花をびっしりと咲かせます。

▼タンポポ:春の代表的な野草です。開花時期は長く、3~4月に公園で咲く姿がよく見られます。花の後につく綿毛も風情があります。

▼ヤマブキ:バラ科の落葉低木で、春の季語。古くからヤマブキ色と呼ばれる、やや赤みがかった黄金色に近い黄色の花を咲かせます。

▼スイセン:冬から春にかけて黄色い花を咲かせる球根植物です。手間がかからず寒さに強いので、花壇やベランダでの栽培に適しています。

▼レンギョウ:中国原産の落葉低木。繁殖力が強く、よく繁ります。葉が芽吹く前の早春に黄色い花を密生させ、実は漢方薬として使われます。

皆さんも黄色い花を見かけたら「春なんだな」と足を止めて眺めてはいかがでしょうか。

参考資料など

京都大学「人間の目・昆虫の目・機械の目 自然界における昆虫と植物の共進化」





「天から送られた手紙」 雪の結晶から関東の雪を読み解く

昨日10日(木)、雪が降った関東地方では「雪の結晶」の写真撮影できたそうです。

雪の結晶の形は1つとして同じ物は無いとされ、さまざまな形があります。その形は上空の水蒸気の量と温度に関係していると言われています。

雪の結晶の形を元に、10日(木)の上空と雪の状況を読み解きます。

雪の結晶から大気の状態がわかる

世界で初の人工雪の結晶をつくることに成功した中谷宇吉郎博士は、「雪は天から送られた手紙」である、と表現しました。

私たちが地上で見る雪の結晶の形から、それらが生成された時の大気の状態がある程度わかります。

例えば、雪の結晶としてよく知られている6本の枝の様な形をした「樹枝状」の結晶は、図を参考にすると、水蒸気量は多めで氷点下15℃前後の環境で成長したもの、となります。

雪の結晶から10日(木)の雪を読み解く

10日(木)の関東の雪の結晶は、とけて種類の判別が難しいものが多くなりました。その中でも判別がついた結晶の種類は、「樹枝状」「扇形」「薄い角板」が多く、上空のー10℃以下のところで作られた雪の結晶だったようです。空気中の水蒸気が多い時にできる結晶であることから、上空の水分が多かったことがわかりました。

また、雪の結晶がキレイな形のまま観察するには、朝から地上付近の気温と湿度が高すぎる状態でした。実際に、関東南部で降った雪は水分の多い雪質だったことと対応しています。

このように結晶の種類の変化から上空の気象環境を把握して、結晶のとけ具合から地上での雪質を読み解くこともできます。

三連休明けにかけても関東で再び雪の可能性があります。もし雪が降ってきたら、雪の結晶の形を観察して「天からの手紙」を読んでみてください。

七十二候「黄鶯睍睆(うぐいすなく)」 日本三鳴鳥ウグイス

一年を72分割して暦をあらわす七十二候。2月9日からは「黄鶯睍睆(うぐいすなく)」です。

「春告鳥」とも呼ばれるウグイスは、昔から春を知らせる鳥として親しまれています。今回は、春を象徴するウグイスについてご紹介します。

美しき声の持ち主

春の暖かな日差しに包まれながら聞いていたいウグイスの声。その美しい声に耳をすますと、心が癒やされていきます。

そんなウグイスは、オオルリ、コマドリと並び、「日本三鳴鳥」に選ばれています。しかし、ウグイスだって最初から上手に鳴くことが出来るわけではありません。

まだ春本番とまではいかず、少し寒さが残る頃、「ホーホケッ?」とうまく鳴くことができないウグイスの声を聞いたことはありませんか?これは「ぐぜり鳴き」と言われています。

若いウグイスはもちろん、ベテランのウグイスだって春先はこの「ぐぜり鳴き」の状態です。しかし、何度も練習して、ようやく美しいさえずりができるようになります。

ちなみに、「ホー」は息を吸う音で「ホケキョ」がさえずりと言われています。

鳴き声いろいろ

ウグイスの鳴き声には、以下の様な種類があります。

【谷渡り鳴き】
繁殖期のオスだけが出す鳴き声で、縄張りに天敵が近づいた時、さえずりとは違う、けたたましい鳴き声を放ちます。

【笹鳴き】
冬期のオスとメスがチャッチャッという小さな声で鳴くもの。

【地鳴き】
上記2つの鳴き声が条件付きなのに対し、地鳴きはオスとメスが一年を通して出す鳴き声。

【さえずり】
おなじみ「ホケキョ」はオスからメスへの求愛の時に出される鳴き声です。
メスのみならず、私たち人間も魅了されてしまいますよね。

このさえずりには、縄張り宣言の意味もあると言われているのですが、全く同じさえずりではなく、求愛の時と聴き比べると、もう少し低いさえずりのようです。

梅に鶯

「梅に鶯」とは、取り合わせのよい二つのもの、よく似合って調和する二つのもののたとえ。仲のよい間柄のたとえです。(引用:故事ことわざ辞典)
確かに、春を告げる梅の花にウグイスとは、非常に風流な組み合わせです。

しかし、ウグイスはあまり梅の木にはとまってくれないようです。というのも、ウグイスは花の蜜というよりは、昆虫などを捕らえて食べることが多いと言われています。「梅に鶯」って意外とレアだったんです!

昔の人たちは、梅とウグイスの組み合わせに、「春らしさ」と、珍しいこの二つの共演…というある種の「理想」を見出して、ことわざを作ったのかもしれませんね。

おさらい七十二候

1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、それぞれをさらに6つに分けた24の期間を「二十四節気」といいます。

そしてこれをさらに初候、次候、末候の5日ずつにわけて、気象の動きや動植物の変化を知らせるのが七十二候です。

二十四節気と七十二候は、その日だけではなく、二十四節気であれば15日間、七十二候であれば5日間の期間も指しています。

次回は立春の末候、「魚上氷(うおこおりをいずる)」についてご紹介します。