私が変わると
ケイタもわかりやすく変わった。
あの車で別れた日の夜、
私たちは一緒に仕事をした。
お互いに最初は話さなかったし、
ケイタは目も合わさなかった。
仕方ないと思っていたが、
ケイタの気持ちを知れて恐怖はなくなっていた。
それこそ本音に従うように
途中二人になったとき、
私からケイタに話しかけた。
そして、自然とキスを受け入れた。
そのときから、
私は仕事で会うケイタに
また真剣に恋を始めた。
ときめきもドキドキも全部余すことなく
感じようと決めた。
誰のためでもない、自分のために。
もう無視されることはない。
目が合って見つめ合う。
コトバも交わす。
ケイタは私をときめかせる天才だ。
ことばや行動が私好みなのはもちろん、
声を聞いて、
歩く姿をみて、
名前の羅列をみて、
その度に心が弾んでしまう。
改めて恋をしていることをと実感した。
そして、その相手も
自分を愛しいと思っている
そんな思いこみが、幸せで尊い時間だった。
でも。
それは仕事中だけ。
彼が辞めるまで。
あなたの匂いになってる
あの洗濯物の匂い。
それは、私じゃなく奥さんと一緒の匂い。
そして、私にも
不倫の事実を知ってもなお、
一生懸命向き合おうとしてくれる旦那がいる。
その現実との境目の中で、
傍からみれば
宙ぶらりんでしかない私。
それでも、
『今この瞬間の自分の欲求に応じる』
『前には戻らない』
私にしかわからないこの感覚だけを頼りに
一歩一歩進んでいた。
そして、それはケイタも確かに感じていて、
仕事以外の時間に
私たちが連絡を取り合うことはなかった。
家では自分の気持ちを話す訓練をしていた。
旦那は裏切られたショックで
私に執着していたが、
それに反発するように、
私には再度不倫をしないなんて言えない。
恋をするのは最高なこと。
離婚と言われたら、それを受け入れる。
そう言っていた。
自分が不倫をしてもなお、
こんな物言いの私。
即離れて
鼻の骨をへし折ってやりたいと思うだろう
ところでも、
旦那は、
SHI-YOの考え方はすごいね。
俺も今回のことでわかったことが多い。
そう言って寄り添ってくれた。
だからこそ、
この人と夫婦として家族として
ともに歩んでいく時間を、
これからも楽しみたい。
そう思っていた。
噂というのは、広まるもので、
職場内では
私たちの関係を知る人も多かった。
それでも、
悪い噂や態度をとられることなく、
あまり自分も気にすることはなかった。
なぜって、もう自分自身、
世の中には理解されないことをしたと、
十分わかっていたから。
それでも、
出会いから別れまでの全ての経験が
与えてくれたことは、
私の人生にかけがえのないものになると
確信していた。
男好きで、欲求が強く、性に奔放である自分。
それを認めてしまったら、
世界が広く、優しくなったように感じた。
