『アバター』 ジェイムズ・キャメロン監督作品 2009年米
2010年01月05日 新宿バルト9
2010年01月11日 ワーナーマイカル新百合ヶ丘
「アジャパー」ではない、「アバター」である。別に往年のギャグで純朴な原住民に取り入ろうとかいうような、そんなイカモノみたいなような安いはなしではないのである。いま話題騒然の3D映画なんである。
とにかくその立体映像が、なんといっても魅力である。いかにエキショーだろうとブルーレイだろうと、この3Dばかりはまだご家庭では再現不能であるということだし、せっかく「飛び出して」くるものなんだから、劇場のデカイ画面で見たほうが楽しいに決まっている。
実際その効果はスゴいもので、特に高所恐怖のケのある私のような者にとっては、
「その奥行きがイヤーッ!」
というようなシーンが続発するのだった。しかもなんかやたら高い所に行く話だしね。
そのかわり「飛ぶ」という、現代の映画でなくとも珍しくもなんともないシーンの強烈なリアリティが格別である。要するに高所恐怖の描写がリアルであれば「飛翔」の感覚もまたリアルになる、ということなんだろうけれども、別に高所であることを強調したような演出でないにもかかわらず、いわば空気感だけでああいうスゴいシーンを撮られてしまったからには、同じようなことを考えている映像関係者は今後ちょっと苦しいのではないだろうか。
あと、ハリウッドお得意の暴力シーンもすさまじいもので、「ホーム・ツリーの崩壊」などはもはや物理的な恐怖をも禁じ得ないほどであった。映画であんな感覚をおぼえたのは『ジュラシック・パーク』の「濠を乗り越えてくるT-レックス」以来で、アレもショッキングではあったけれども、今回のは文字通り「生き物の断末魔」と「世界の終焉」の異様にリアリスティックな凄惨さなのであった。
ストーリーはですね、ま『風の谷のナウシカ』と『ダンス・ウィズ・ウルブス』を足して二で割ったというようなもので、新鮮味はないのだけど、そのぶん変に考え込まずに作品世界へ入り込みやすいという利点がある。
この監督はもともと王道を大仰にやって成功した人だから(失敗はコメディーを大仰にやってコケた『トゥルー・ライズ』くらいか)、今回もストーリーは安定的というか安全パイで、
「とにかく異世界パンドラを見て!」
というのが本音というか、勝負どころなのだろう。
それにしても「3時間弱全面3D」という画期的な作品を作りながら、けれど立体を強調するような安直な手法をしりぞけて、トータルな「異世界」をデデンを見せることに成功したキャメロンという人は、やはり王道の監督さんなんだなあと思う。
小ワザがきかないということも逆に感じたが。
そのへんは病的な小ワザ使いともいえるティム・バートンの新作『アリス・イン・ワンダーランド』が楽しませてくれそうである。宣伝を3Dで見たのだけど、チェシャ・キャットの有名なにやにや笑いが
「ポヨーン」
と目の前まで迫ってくるのが実に快感で、これはぜったいに面白いだろうなと思った。
というわけで、立体見たさに2回も見に行ってしまったのだけど、鑑賞のさいに必要な「立体メガネ」が2つの劇場で違うものを使用していたのが気になった。
新宿のバルト9はラバー製のゴーグルで「IMAXシアター」の宣伝なんかで見かけるゴツイやつの貸出であったが、これは私のような眼鏡常用者にはたいへん着用が困難で、実際その着装感は非常に不快であった。
ワーナーマイカルのほうは軽いプラスチック製で、これは眼鏡の上から装着してもあまり気にならない。さらに窓口で申告すれば眼鏡のフレームに引っかけるタイプも用意してくれるそうである。しかも持ち帰り自由。料金はバルト9と同じであった。
問題は両者に互換性があるかどうかで、これはもう実際にワーナーマイカルでもらった(というか買った)メガネをフトコロに忍ばせてバルト9に行くしかないわけだが、『アリス・イン・ワンダーランド』でそうしてみようかなと思っているのだった。