恋愛小説 友恋

恋愛小説 友恋

なんでもない日常を送っていた。風太に突然訪れた、玲雄との出会い。
そして彼らに起こるいろいろな出来事。彼らはどうなるのか?
禁じられた恋愛?それとも純愛?みんながこんな恋したいと
思っているような恋愛ストーリーです。

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 俺は、大川 風太。どこにでもいる30歳の男で、世間でいう仕事人間ってやつなのです。

彼女無し、趣味も無し、友達少々、ただ仕事だけをやってる毎日である。

見た目は、中の上から上の下ってとこだろう。仕事もそこそこできると自分では思っている。

女性からも何度か告白されたこともある。

しかし、俺は彼女いない歴30年、いろいろ理由があるわけです。

そんな俺にあの日、変な出会いから新しい友達ができたのです。

 

 仕事が終わり、家に帰りベットに倒れこんでうとうとしてきた瞬間、

ドンッ ドンッ ドンッ 荒々しくドアをノックする音がした。

ハッと目を覚ました俺は時計を見て、明日の仕事のことを考えた。

「無視しよう」と心の中で思った。

どうせ修(腐れ縁の友人)だろう。

ドンッ ドンッ ドンッ 

ドンッ ドンッ ドンッ

ひつこくノックの音が鳴り響く。

「あーもう、ご近所さんに迷惑だろうが!」

しかたなく、起き上がり玄関に向かった。

「こんな時間になんだ修!」

と、ドアを開けると見たこともない奴が立っている。

新手の勧誘か何かか?と俺は思った。

「すいません。助けてくれませんか?」

女のような声をしている。

「な、何ですか」

「ちょっとでいいんで、かくまってもらえませんか」

こいつ、女か!帽子を深々とかぶっていてわからないけど、声は女だ。

俺は、いろいろあって女が嫌いだ。関わりたくはないが、

何か事件みたいなことになって、助けなかった男みたいになるのも嫌だけど・・・

「すいません!!」

いきなり、そいつに突き飛ばされ、俺は倒れた。

そいつはドアを閉め、部屋に入ってきた。

「おい、何だよいきなり。」

「本当にすいません。説明しますから大きな声は出さないでください。」

しかたなく、起き上がって部屋の椅子に座り、俺の前にそいつを座らせた。

男か女かどうしても気になったので、俺は聞いた。

「あんた、女か?」

そいつは驚いた表情で答えた。

「いえ、男です。新田玲雄って言います。」

何だ、男か、助かったと俺は思った。

しかし、声は女みたいだし、体も小さくて細く、

とても男とは思えないぐらいの体つきだ。

「高校生か?中学生か?」

と俺は質問をした。

また、玲雄は驚いた表情で言った。

「いや、俺、20歳です。」

こいつ、嘘ついてんじゃねーか?どうしても俺は納得いかなかった。

まだ、男だと信用できなかった。

「身分証は?」

「すいません。無いです。」

玲雄は申し訳なさそうに言った。

どうしても気になって、何で俺ん家に来たかなんて聞く気になれない。

そして、俺はあきらめて玲雄に言った。

「俺は女が嫌いなんだ。だからどうしてもたしかめたいんだ。」

また、玲雄は驚いた表情になりしばらく沈黙になった。

1,2分たったころ、玲雄がいった。

「じゃあ、俺の胸をさわってください。全然ないですから!」

俺はびっくりした。でもどうしても確かめたかった俺は

玲雄の胸に手を伸ばし、何度か確かめるように触った。

確かに全然無い。

「ありがとう。新田君が男だとよくわかった。すまないが何故、俺の家に来たかおしえてくれ。」

「はい。俺、家が厳しくて、中々外へ出してくれなくて、勝手に出てきたんです。町の中歩いてると、

 3人ぐらいの男にからまれて、怖くなって逃げ出したんです。でもその男たちずっと追いかけてきて

 ここまで走ってきたんです。それで、誰かに助けてほしくて、無我夢中でドアを叩いてました。」

とその後も玲雄は、長々と事のいきさつを詳しく話してくれた。

この子がこんなに必死な時に、俺は何をしてんだと、本当に申しわけない気分になった。

「本当に悪かった。そんな必死な時に変な質問ばっかりして」

「いや、いいんです。ドア開けてくれて、俺、本当にうれしかったですから。」

と玲雄は言ってくれた。

その後、辺りを見回して玲雄は言った。

「テレビとかパソコンとか見ないんですか?」

「あっ、俺アナログだから、あと仕事ばっかりでテレビなんか見ないし、金もったいないし。」

なんで、そんな質問するか疑問に思ったが、聞かなかった。

でも、なんだか玲雄は、安心している様子だった。

その後も俺と玲雄は何でもない会話を続けた。

そういえば、仕事以外で、人とこんなに話したの久しぶりだった。

驚いたが、とても楽しい時間に思えた。

1時間ぐらい過ぎたころ玲雄が言った。

「多分、もう大丈夫と思うんで、帰ります。」

「大丈夫か、車で送ろうか?」

と俺が言ったあと、玲雄は言った。

「親厳しいんで、見つかっちゃうと迷惑かけるから」

「じゃあ、見つからないように、近くまで送るよ。」

と、俺は玲雄ともう少し話したかったのか、強引に送ろうとした。

「じゃあ、近くまでお願いします。」

と、玲雄は申し訳なさそうに言った。

そして、車中でも、どうでもいいことを二人で話した。

「ここで、いいです。」

玲雄は言った。

なんだか、寂しい気持ちだったが、しかたなく俺は車を止めて言った。

「じゃあ、気を付けて、あんまり危ないことするなよ。」

「はい。じゃあ」

と、玲雄はドアを開けて出て行った。

俺も玲雄を追うように車から出た。玲雄の背中を見ながら、俺は煙草に火をつけた。

その時、玲雄がこちらに振り返り、大きな声で言った。

「すいませーん。お名前教えてもらえませんか!」

そういえば、名前言ってなかった。

「風太、大川風太!」

「ありがとうございます。じゃあ、おやすみなさい。風太さん。」

「ああ、おやすみ。」

と、俺が言った後、玲雄は走って行った。

その後、俺も家へ帰った。

これが、俺と玲雄の初めての出会いの日だった。