このアルバムを語らずにワタシの音楽観を共有する事は不可能、と言い切れる程の名作中の名作。

何から手をつけて良いか分からんが、アタマからケツまで全曲全音全声 非の打ち所がない。

 

奇しくもリアルタイム(当時ワタシは小学5~6年生)で出逢ってはいないが、恐らく2010年頃に仕事場の先輩から教えて頂いてから、今現在でも飽きずに聴ける程内容の濃い逸品。

 

Voodoo(ヴゥードゥー)とは西アフリカや中南米で信仰される民間宗教(宗教と言うと欧米的だが、本質は日本の神道や仏教に近い?)で、アフリカから運ばれた黒人奴隷が辿り着いた地でキリスト教を強制させられる中、根付き続けたいわゆる「邪教」。アメリカ大陸での派生はかなり複雑だが、脈々とアフロ・アメリカン達の中で受け継がれてきた世界観であるらしい。

 

 

バージニア州リッチモンド出身のソウルシンガー D'Angelo(ディアンジェロ)を始めとした超絶音楽集団 Soulquarians(ソウルクアリアンズ)たちがニューヨークのエレクトリック・レイディー・スタジオ (ジミー・ヘンドリックスが建てたスタジオ)で制作・録音。

一体何がそんなにすごいのかと言うと、、、「凄くないことが無い」としか説明できないのだが、ヒップホップが生み出されて20余年、電子音楽が主流の中で60年代のソウル・ミュウジックに回帰し、生音(楽器の生演奏)で新たな境地を切り開いたのがディアンジェロとその仲間たちである。

 

のちに、ネオソウルやニュー・クラシック・ソウルと呼ばれ、今日のヒップホップとジャズの融合、70年代ファンクやシティー・ポップへの回帰を促したとも言える、とんでもなさすぎるムーヴメントに昇華して行く。

 

ちなみにソウルクアリアンズには、Erykah Badu, Jay Dilla, Bilal, Q-Tip (A Tribe Called Quest), Questlove (The Roots), Common, Roy Hargrove, Raphael Saadiq (Tony!Toni!Tone!), Mos Def(a.k.a. Yasiin Bey), Talib Kweli, James Poyser が参加していて、他にも3作品同時期に同じスタジオ、同じメンバーでアルバムを制作していてる。

 

 

兎にも角にも、この奇跡的とも言える奇才たちの交わりが後にもたらした影響は計り知れない事は言うまでもないが、20年経った今でも新鮮かつ斬新で、ある意味ジブリ作品のように噛めば噛む程味が出るこのマスターピースの一曲一曲を解説していこうと思う。