一度日本へ帰国し、回復に専念することになりました | ヨーヨー世界チャンピオンBLACKオフィシャルブログ「BLACK’s Yo-Yo life」 Powered by Ameba

一度日本へ帰国し、回復に専念することになりました




1ヶ月ぶりの更新がこのような報告となってしまった事が残念でなりません。


私BLACKは、4月より始まったシルク・ドゥ・ソレイユの最新ショー『KURIOS』へ出演すべくモントリオールへ渡っておりましたが、体調不良によりショー出演を一時中断、日本へ帰国し、療養に専念することになりました。

契約そのものは継続となっており、体調が回復次第ショーへ合流する予定です。


胃潰瘍に伴う失血、運動耐性の低下





4月より始まった、シルク・ドゥ・ソレイユの最新ショー『KURIOS』。

私は、シルク・ドゥ・ソレイユ史上初のヨーヨーアーティストとして、その舞台に立つはずでした。


しかしモントリオール到着からわずか5日後、私は胃潰瘍に伴う貧血により意識を失い、病院へかつぎ込まれました。

突然の事態に驚きはしましたが、計6日の入院を経て退院。

一流のドクターや看護士の皆さん、何よりも本当に親切なKURIOSチームのケアのおかげもあり、予後経過は極めて順調でした。






退院直後こそ運動についてはドクターストップがかかりましたが、日を追って軽い運動については許可が下り、ショーにもオープニングの一部など少しずつ出演するようになりました。

メイクの練習や衣装合わせなども同時に進行し、当初の予定では5月末~6月上旬にはヨーヨー演目も含め本デビューできるだろう、という予定でした。


しかし5月下旬、運動耐性を確認する最終テストを行った直後、再び目眩を感じ、血圧も下がってしまったんです。

ドクターによる再診の結果、胃そのものは順調に回復しているものの、胃から失血した分の血液は完全には回復していないとの事でした。

特に赤血球の値は平常値をまだ下回っている状態だそうで、これが正常の範囲に入るまでは、疲れが抜けにくかったり過度な運動を行うと目眩がしてしまうこともあるそうです。


この症状が回復するには赤血球の値が正常値に入ればいいわけですが、これは時間経過に依存する物らしく、特別な治療をすればすぐに回復する、という物ではないそうです。

言い換えれば、時間さえ経過すれば回復する物なので、場所はどこにいても同じ。それならば、胃の状態が悪化することを避けるためにも、興奮した雰囲気を感じやすい現地にいるよりは、一度ショーを離れ日本で静養した方が良いだろう、という判断が下りました。


つかみかけた夢に手の届かない悔しさと、最高の環境への感謝





以前にも書かせていただいた通り 、シルクの長期公演出演は長年の夢でした。

それだけに、いざお声がけいただいて、出演まであと一歩という段階まで来ていながらも日本へ帰らなければならない現状は、正直に言ってとても悔しいです。


また、以前に出演候補として召集されながらもクリエーション段階で「出演レベルに達していない」と判断され自国へ帰ることになったアーティストの話を聞いたことがあったのですが、今回の自分の状況がどうしてもそれと重なってしまい、「自分の演技が至らなかったのではないか」という根拠のない不安や喪失感、絶望感にかられてしまう気持ちがありました。


しかし、アーティスティックディレクターの方がかけてくださった言葉は、それとはまるで正反対の物でした。


「まず初めにハッキリさせておきます。契約は『続行』です」

「私たちは、”あなたの演技”が必要なんです。誰でもいいわけじゃない、あなたが必要なんです」

「1日も早く戻ってきてくれる日を、心から楽しみにしています。万全以上の体調に回復して戻ってきてくださいね!」


他にも、多くの方から本当に温かい言葉の数々をいただきました。そして、そうした言葉の端々に、心からの応援の気持ちや、温かい気遣いを感じました。

現時点までに、本演目についてはただの一度もショーで披露できていない、全くと言っていいほどショーの力になれていない自分に対して、これほどまでに温かい言葉をかけてくださる皆さんには、何と言って感謝していいか分かりません。

「シルク・ドゥ・ソレイユは、アーティストへのケアが手厚い」という話は他のアーティストの方から聞いたことがありましたが、とてもではないですがそんな一言では言い表せない、心からの優しさ、温かさを、身をもって感じました。


まずは全力で、復帰に向け回復に専念します





事の発端は『胃潰瘍』でしたが、いま対応すべき事象は、それだけではありません。


・胃潰瘍そのものの治癒

・胃の中で出血したことにより失った赤血球の回復

・運動耐性の回復


大きく、この3点を万全以上の状態へ回復させる必要があります。


すでに国内の消化器外科、スポーツドクターの方に診療していただいています。

特にスポーツドクターの方は、以前にシルク・ドゥ・ソレイユの『Corteo』や『ZED』の担当医も務めていた方で、サーカスにおける運動強度についても精通されているので、復帰に向け最適なメニューを組んでいただけそうです。


他にも、改めてトレーニングや練習の環境を整えたり、連日続くショーに向け追加ヨーヨーの製作を職人さんにお願いしたり、体調回復後に向けた準備も着々と進めています。


応援してくださっている皆さんのご期待に対し思うように応えることが出来ず、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

ですが起きてしまったことは仕方ないので、どうにか気持ちを切り替えて、改めてシルク・ドゥ・ソレイユのショーの一演目たるにふさわしい演技を披露できる状態へ戻れるよう、全力を尽くす所存です。

どうかその時まで、温かく見守っていただければ幸いです!