第28回 強制執行や差押えとはどんな権利に基づいてするのだろう
●第18回 強制執行や差押えとはどんな権利に基づいてするのだろう
前回に続いて,強制執行という,あまり馴染みのないことについて説
明します。少し,「身近な」題材から離れてしまいますが,知って損はな
いですね。
前回は,建物を占拠している人を公権力を使って排除し,建物を取り
返してもらう,という手続きについてお話しました。その際,裁判所に
示す,「強制執行できる権利を表すもの」を,債務名義といいます。
債務名義とは具体的にはどんなものなのでしょうか。今回は,説明の
都合上,建物の明け渡しではなく,お金を受け取る権利,金銭債権(債
務)についての例を挙げてみます。
1.裁判の判決(AはBにいくら支払え という判決です)
これはお上の墨付きですし基本です。
裁判といっても色々あり,法律には外国の裁判も入っていますが,細
かい話は端折っておきます。
2.和解調書,調停調書
これも裁判所という公的な機関の元で作成されるものですので,判決
と同じ力があります。
離婚協議をするときに,公的な機関ですることにはこういう安心,き
ちんと養育費を支払ってもらえないときには強制執行できる,という安
心もあるのですね。例えば,相手方の給料を差し押さえてもらう,そこ
から支払ってもらうことができます。
3.公正証書で強制執行認諾条項が入っているもの
これも離婚協議書を作成するときに,行政書士が「公正証書にしてお
きましょう」と勧める理由です。相手方が任意に支払ってくれないとき
には国の権力で支払わせることができるのです。
他には一時サラ金が利用したことで話題になった,支払督促(仮執行
宣言がついたもの)などもあります。
えたいの知れないところからの督促などは無視しておいていいものが
多いですが,裁判所から支払督促がきたら,無視していると,「仮執行宣
言」というものが付いて,取り立てられてしまいます。
そんなことがもしあったら,無視しないで,2週間以内に「異議=督
促異議」を申立てておきましょう。裁判に移行しますので,根拠のない
ものだったら,相手はすごすごと逃げ出すでしょう。
これらが,強制執行のできる権利を表す「債務名義」です。
いかがでしたでしょうか。少しは馴染みができたでしょうか。それな
らいいのですが。
次回はまた身近な問題を取り上げたいと思います。
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第27回 建物や土地明渡しの強制執行の手続きと費用は?
第27回 建物や土地明渡しの強制執行の手続きと費用は?
建物を明渡して出て行ってくれる約束まではできましたが,実際になかなか出て行ってくれそうもないときには,強制執行といって,公権力を使って建物を占拠している人を排除し,取り戻してもらいます。
その手続きや費用はどんなものなのでしょうか。
差し押さえとか強制執行とか言葉は知っていても,実際どういう手続きなのかさっぱり分からないというかたもいらっしゃるのではないでしょうか。私も,独学で法律の勉強を始めてからも,法律の条文や参考書に書かれていることだけでは手続きまではわかりませんでした。
手続き
1.申立
債務名義(判決,和解調書,調停調書など)に基づき,地方裁判所の執行官に強制執行の申立をします。
2.執行期日
執行官は執行期日を指定し,通知し,その日に現地に行って,占有の状態を確認します。
3.明渡の催告
「引渡の期限」(いつになったら強制執行で占有を排除するか)を決めて,「明渡の催告」をし,公示書を掲示します。
引渡の期限は明渡の催告から原則として1ヶ月です。
4.引渡期限の延長
強制執行には相当の労力,費用がかかるので,任意に明け渡しをする見込みがあり,申立人が承諾する場合には,期限を延長することもあります。
5.明渡の実力行使
実力行使をして占有を解き,申立人に建物を引き渡します。
費用
申立ての手数料は15,000円です。
ただし,執行費用の予納の必要があり,少なくとも数万円はかかります。取り除くものがたくさんあると,その搬出の費用がかかることもあります。これらは出て行く人の負担するべきものですが,申立人が予納します。場合によっては回収できないこともありえます。
債務名義がないと申し立てもできません。債務名義とは何か,次回は
そのあたりのことをお話します。
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第26回 保証人と連帯保証人
事例:
頼まれて知人の連帯保証人になっていたが,ある日,いきなり債権者から返済を迫られた。本人(知人)から先に取ってくれるように請求したが,無視をされた。
知人にまだ処分可能な財産がありそうなのに,保証人である自分に返済の請求がきたら,支払う必要があるのでしょうか。納得できない気持ちですね。
保証人と連帯保証人:
普通の保証人でしたら,まず,債務者本人から支払わせるように相手方に要求することができます。(催告の抗弁といいます)
ところが,連帯保証人はそういうことが言えません。債権者は先にどちらに請求してもいいのです。
さらに,強制執行をかけてきたときにも,普通の保証人なら,まず債務者本人に先に強制執行するように請求することができます。ただし,債務者本人にそれなりの資力があることを証明する必要があります。(検索の抗弁といいます)
連帯保証人には検索の抗弁がありません。
保証人が2人以上いる場合には,普通の保証人であれば,保証人の頭数で割った分を支払う責任しかありませんが(分別の利益といいます),連帯保証人ですと,それぞれが全額の返済の義務があります。(支払った後で他の連帯保証人やもちろん本人に求償(自分の責任の分を払わせること)することはできます。)
結論:
連帯保証人は相手方(債権者・貸主)から見た場合,本人と同じ支払義務があります。つまり,本人が何人かに増えたようなものです。
断りきれない性格の方は,もう,はっきり「先祖代々の言い伝えで保証人だけにはなれない」など言って断りましょう。
なお,普通に保証人になってくれ,といわれた場合,ほとんどが連帯保証人のことを言っていますので,くれぐれもお気をつけください。
