こんばんは。
介護労務コンサルタント(社会保険労務士、介護福祉士)の松岡勇人です。
今週号のテーマは、「年次有給休暇」です。
年次有給休暇を全部消化されたら、困る!
施設系、訪問系の介護事業所は365日稼働しているので、通常はシフトを組んで仕事をしている。
したがって、一般の会社と違って、土日祝日が休みとか、定休日という概念がない。
シフトを組む際には、職員の希望休を聞いてシフトを作成していくが、ただでさえ少ない職員数でシフトを組み、そのうえ希望休を反映するのだから、職場内は常に最低の人員配置のハズだ。
このような状況下で、年次有給休暇を使うと、職場内はどうなるのか?
大規模な事業所の場合
比較的職員数に余裕のある大規模の事業所では、職員が年次有給休暇を取得して休んでも職場内には代替の職員がいるため、複数の職員が分担すれば、さほど仕事量は増えない。
中規模の事業所では、どうか?
中規模な事業所では、職員数に余裕がなくなってくる。仮に職員Aが年次有給休暇を取得すると、職員B一人が職員Aのお仕事を負担することも想定される。
ケアの場面では、基本的にご利用者と職員の一体一の対面で行われることが多いため、人手が少なること自体が仕事量にすぐに反映してくる。
さらに小規模の事業所になるとどうなるか?
職員Bが存在すればいいのですが、小規模な事業所では職員Bすらいないことの方が多い。
つまり、代替要員がいない。
このような小規模の事業所においては、「年次有給休暇が欲しい」なんて言い出せる雰囲気はありません・・・。
また、人件費の視点から考えても大変です。
人件費を切り詰めるため、最少の職員数で仕事を回し、社長さんも夜遅くまで働いています。
小規模の事業所の社長さんがこんなことを言っていました。
「法律上、有給を与えなければいけないのは理解しているけれど、年間で20日も有給を消化されたら困るんだよ。20日といったら、約1ヶ月分の出勤日数だからねぇ。働きもしないのに1ヶ月分の人件費が毎年必要なんだから、頭が痛いよ・・・」
この発言は、会社の規模に関係なく、社長さんたちのホンネかもしれませんねぇ。
年次有給休暇を全然消化していなければ、前年度の20日と合わせて計40日の有給を持っている職員も少なくありません。
年次有給休暇を40日も消化されたときは、頭が痛いどころか、発狂ですかね(^_^;)
介護事業所の社長の皆様、「年次有給休暇を全部消化されたら、困る!」と言っていませんか?
確かに、人員配置や人件費という視点からみれば、年次有給休暇を全部消化されたら・・・の気持ちはよくわかります。
しかし、過酷な介護現場の労働環境を考えれば、心身のリフレッシュの必要性も理解して頂けると思います。
年次有給休暇の付与の仕方には、通常の1日を単位にした付与の仕方(原則)の他に、半日単位、時間単位、計画的付与という付与の仕方も法律上認められています。
年次有給休暇の本来の趣旨は、1日を単位にして心身のリフレッシュを実現することですが、取得を促進させようということで他の取得方法も認められてきた経緯があります。
年次有給休暇が全く取得できないという心理状態と半日単位や時間単位でも年次有給休暇が取得できる心理状態では、違いがかなりあるハズです。
いずれにしても、これらを上手に活用して、心身のリフレッシュを実現させましょう。
今週号もご覧いただき、ありがとうございました。次号もよろしくお願いいたします。