就業規則、都合の良い箇所だけ・・・ | 社労士からの情報発信ブログ

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こんばんは。
介護労務コンサルタント(社会保険労務士、介護福祉士)の松岡勇人です。

今週号のテーマは、「就業規則」です。


前号で、「就業規則、大切なのは職員への周知です!」と、就業規則の周知について、ブログで綴りました。


周知はしているけど、こんな周知は意味がありませんよ!



就業規則、都合の良い箇所だけ・・・
「就業規則」といっても、その内容は介護事業所によって、微妙に異なります


「微妙に・・・」、その意味合いは、就業規則(本則)とは、別途に各種規程設けるか、or設けないかの違いです。


別規程の一般例として、賃金規程、退職金規程、育児介護休業規程、出張規程などが挙げられます。


訪問介護の事業所では、常勤の職員より登録ヘルパーさんを多く雇用しているので、登録ヘルパー用就業規則を設けていることも多いです。


施設系介護の事業所では、介護職の他に、労働条件の異なるケアマネや看護師等の多職種が同じ職場で働いているので、職種ごとに就業規則があるのが一般的です。


別規程を設けず、別規程の内容を就業規則(本則)の中に組み込んでも問題はありません。


介護事業所の社長さんにとって、別途に各種規程を設けるか、or設けないかのメリットは、


見たい箇所が、すぐにハッキリとわかる!


です。


いずれにしても、これらすべてをまとめたものが、労働基準法第89条に規定されている就業規則です。


メリットはあるのですが、もちろんデメリット?もありますよ。


以前、スポットで「各規程を作成して、規定ごとに分冊で製本してほしい」という作成依頼を受けたことがあります。


ご希望どおり、分冊にして作成、製本、そして完成した就業規則を労働基準監督署に届け出るところまで行いました。


風の便りで聞いたところによると、このスポットで受けた会社(ちなみに介護事業所ではない)では、分冊であることを良いことに、就業規則の一部周知(公開)、一部非公開ということをしていたようです。


つまり、会社にとって都合の良いこと(懲戒規定)は労働者に周知して厳しく労務管理を行い、会社にとって都合の悪いこと(賃金規程、退職金規程)は周知せず、残業代等をゴマかしていたようです確認ができたわけではないので、あくまで憶測です)。


スポットで作成し、顧問契約をした会社ではないため、その後、アドバイス等が継続してできなかったのですが、都合の良い使われ方をされてしまったようなので、分冊製本は反省しています


就業規則の周知は、就業規則全文の周知が必要で、要旨や一部のみの周知では周知したことになりませんよ!


ちなみに、就業規則の周知義務違反は30万円以下の罰金刑となります(労働基準法第120条)。


介護事業所の社長の皆様、くれぐれも、30万円の罰金で済むの・・・と考えないでください!


就業規則の周知をしていなかったために、後々、労務トラブルの原因に発展・・・。


こうならないためにも、周知できる労働環境を整備しましょう!


本日も当ブログご覧いただき、ありがとうございました。次号もよろしくお願いいたします。