A子に必要な手続きは以下のとおり。
A子はこれまでの間、高額療養費の認定を受けていなかったので、医療費の7割と差額ベッド代等を実費で支払っていた。
しかし、健康保険には高額療養費制度があり、一定以上の負担は免除される〔80,100円+(総医療費-267,000円)×1%〕。
したがって、まずは限度額適用認定証交付申請をすべきである。この申請で認定証を交付してもらい、それを病院窓口に提出すれば支払いの際に免除された額のみ請求される。
しかし、すでに認定を受けずに支払った部分については、原則通り高額療養費申請が必要になる。これは支給されるまでに3カ月以上要する場合がある。授業料の支払いまでに取り返せない可能性がある。
そこで高額療養費資金貸付制度を利用すれば、書類提出から最速2週間程度で高額療養費で支給される予定額の8割の貸し付けを受けることができる。無利子で後に支給される高額療養費と相殺されるので、事実上返済不要である。今から申請すれば授業料の納付期限に間に合うだろう。
また、傷病手当金の申請も可能と思われる。欠勤3日を免責期間として、それ以降の無給欠勤について標準報酬月額の6割が支給される。今日中に病院に走ってA子さんの夫の労務不能証明を医師からもらえれば、あとは会社の勤怠証明のみである。こちらも申請後2週間程度で支給される。授業料納付に間に合うであろ。この手当は倒れた日から最大1年6カ月支給されることになる。
このような手続きは通常会社で行ってくれるが、このような手続き慣れていない会社も多く、遅れることが多々ある。さらにはこの会社のようにまったくの無知の場合もある。
社長と直接面会することになった。
早速、労務不能証明を取得して、会社の社長にもアポイントをとった。
社会保険労務士と伝える当初は困惑した様子であったが、手続きに必要な書類を頂きに上がる旨を説明したところ、ホッとしたようすで快く面会を承諾していただいた。
今回は速やかに手続きを進めることを考えてA子を同行させなかった。
社長に面会して必要な書類を確認のうえ、記載方法を教示。必要か所に押印をもらい1時間ほどで提出書類は完成した。
社長に対するアドバイス
その後、社長の方から切り出す形でA子の夫の今後の処遇についてのアドバイスを求められた。
社長
「会社の経営は正直言って余裕がない。社会保険料の負担が大変だ。A子さんにはその旨を伝えて今月末で彼を解雇することを伝えた。」
fm-man
「その解雇予告は無効ですよ。」
社長
「???」
fm-man
「意思表示は本人に対して直接するのが原則。妻に対する意思表示では意味がない。」
「A子さんに退職届を書いてもらうという話があったが、その退職届も本人が書かないと無効。」
「A子さんを使者としても、意思は本人に到達しないから不可能」
社長
「それなら社会保険給付の申請はなぜできるのか。本人が申請しなければならないのではないか?」
fm-man
「そんなことは社長には関係ないでしょう!」
※健保協会は意識不明者の手続について便宜家族が申請することを認めている。
社長
「どうすればよいのか?」
fm-man
「彼を早急に厄介払いしなくてはならないほど会社の経営はひっ迫しているのですか?」
「ところで会社の勤怠管理はどのようにされていますか?」
社長
「タイムカードで管理している。」
fm-man
「奥様からサービス残業があったという話を聞いているが...」
社長
「残業代は固定給の中に含めて支払っている。給与明細を見れば分かる。」
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