こんにちは、粟津サヤカですコーヒー

京都でコミュニティツアーのガイドをしています。

 

眺めているだけでワクワクしていた

とあるレトロの解体がきっかけで、

レトロがさらされているどうしようもない現実を知り、

ならばせめてその姿を記録にとどめようと

ブログを書いています鉛筆

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この10月から始まったNHKの朝の連続テレビ小説「まんぷく」を見ています。

 

ここ数年、10月から始まる朝ドラは明治から昭和の時代が舞台のものが続いていて、

レトロ好きな私にとっては興味津々、楽しい時間になっています。

 

このロケ地はどこだろ目とか

スタジオのセットがその時代らしく作ってあるな目とか

俳優さんの衣装から当時の流行の特徴を考えてみたり目

 

それはもう、とても楽しく見ています。

 

ロケはいろんなところで行われているみたいですが、

レンガ建築が見え隠れするまちなみは

同志社大学の今出川キャンパスが使われているようです。

はっきりわからないようにカメラの角度を工夫したり木々の緑で隠したりしてありますが、

私の目は欺けませんよニヤリフフフ

 

ドラマの舞台は昭和戦前期ですが、

同志社のレンガ建築は明治時代のものが多く残されています。

 

明治時代のレンガ建築は独特の風合いを持っています。

縦長の窓、全体として装飾性に少なく、生真面目な規則性で構成されている。

それでいてレンガの細部に注目してみれば

表面が微妙にデコボコしていて不揃いだったり角が欠けているものもある。

まだ技術や知識が成熟していなくて

西洋の見よう見まね、手作りで成長していく過程が感じられるのもその魅力のひとつです。

 

今回記録するレトロは、

そんな、まだレンガの技術が成熟していない頃のレンガレトロ、

しかも近代京都にとって欠かすことのできない琵琶湖疎水事業の一角を担うインフラレトロ、

ねじりまんぽです。

 

場所は京都市営地下鉄東西線の「蹴上(けあげ)」駅付近。

江戸時代には、旧東海道の最後の難所、日ノ岡を越えてきた旅人が

最後のひと踏ん張りと洛中を目指した京の入口にあたる場所。

そんな場所に明治になってから登場したのが琵琶湖疎水です。

滋賀県の琵琶湖から京都市内へ水を運ぶために水路が造られました。

その琵琶湖疎水の水がそれぞれの役割を果たすため枝分かれしていくのがここ、蹴上です。

 

ねじりまんぽがその体を沈めているのがインクラインの土台です。

土台の上にさらに石垣が見えますが、

その上には鉄の線路が敷かれていて

かつて琵琶湖疎水で運ばれてきた物資を舟ごと台車に載せて運んでいたというインクラインの遺構を見ることができます。

この日はマフラーを巻き、肩をすくめて歩く高校生の姿がありました。

普段はこのような感じで、通る人はあまりこのレンガのレトロに興味を示しません。

 

が、が、が、

桜の季節になるとこのような賑わい桜

インクラインの両脇には桜がたくさん植えられていて多くの見物客で賑わいます。

 

レールの上は記念写真を撮る人々でいっぱい。

桜のトンネルの中、続いていくレトロなレールがなんとも写真に映える!

このときは私も夢中で写真を撮りましたニヤリ

 

これは新緑の頃の写真です。

三条通りをはさんで向かい側の蹴上浄水場の一般公開に行ったとき、

少し上から撮ることができました。インクラインのレールも映っています。

レンガは新緑にも映えますね。

 

三条通り側の入口の扁額は「雄觀奇想(ゆうかんきそう)」と書かれています。

「見事なながめとすぐれた考えである」という意味で、

琵琶湖疎水の建設工事をおしすすめた第三代京都府知事北垣国道の書なのだそうです。

(琵琶湖疎水記念館ホームページより)

完成した琵琶湖疎水の雄姿を見て思い浮かんだ言葉なのでしょうか。

 

 

内部はレールの下をくぐる数メートルほどのトンネルになっています。

そう、「まんぽ」とはトンネルのむかしの言い方のこと。

地方によっては「まんぶ」「まんぷ」「まんぼ」など微妙に発音が異なるものもあるようです。

語源については諸説あるようですが、

鉱山の坑道をさす「間府」「間分」「間歩」(いずれも「まぶ」)という言葉が語源として有力なようです。

 

確かにねじっていますね。

このようにレンガの配置をねじったようにすることで強度が増すらしく

鉄道などの下を通る小さな通路で多く使用されている工法なのだそうです。

 

規則的に並ぶカマドたち(笑)

いえいえ、そんなに奥行きはありません。

端正なつくりがいかにも明治のレンガインフラです。

 

東側へ抜けインクラインに沿って右へ進むと蹴上疎水公園があります。

ここからインクラインのレールの高さまであがることもできます。

トンネルを出てまっすぐ進むと南禅寺に到着しますが、

「寺」より「近代」派の私としては、

蹴上疎水公園から疎水沿いにレンガを踏んで歩いていってもらいたいなと思います。

南禅寺の水路閣の上を歩くことができ、レトロを堪能できます。

 

東側の扁額はボロボロになってしまっていますが、

「陽気発處(ようきはっするところ)」とこちらも同じく北垣国道の書が書かれています。

これは中国の思想書「朱子語類」の「陽気の発する処金石も亦透る。精神一到何事か成らざらん」という言葉の一部で、

「精神を集中して物事を行えば、どんな困難にも打ち勝つことができる」という意味があるのだそうです。

(goo辞書 デジタル大辞泉(小学館)より)

 

ねじりまんぽでした。

 

琵琶湖疎水第一疎水の工事は

設計から現場工事まで日本人の手で行われ

明治23年に竣工を迎えます。

 

工事着工前の日本には

疎水の大工事を支えるだけのレンガ製造技術がなかったため

京都府はレンガの製造も自前で行っていたそうです。

 

人間は困難な経験から多くを学ぶと言われますが

疎水の建設から土木技術の知識や経験を得たことは間違いないでしょう。

 

その足跡を残すねじりまんぽ。

この地の景観の一部として長くあり続けてもらいたいものです。

 

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※申込締切が開催日の5日前に変更になっています。ご注意ください。

 

モダン京都はここからはじまった!

明治から昭和にかけて、京都いちのお祭会場へ変貌した岡崎。

そんな名残りを紅葉真っ盛りのなか訪ね歩きます。

 

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さてさて、次はどこへ行こうかな~ランニング