SENA-BLOG
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幽閉の扉 #1
300年続く
絢爛豪華な宮殿には
1人の皇女が
幽閉されている
迎賓の深紅の緞帳
重い布の奥に
一つの扉が
薄明かりの中
ゴールドのドアノブの鍵
丸みを帯びた
その下の鍵穴へ
この鋸の刃
鍵を差し込む
鍵は入り組んだ
組細工の
凹凸を感じながら
奥の突き当りまで差し込んで
鍵を左右に
振りながら組細工の
包まれる
その微かな音を頼りに
少し手前に戻しては
また
奥の突き当り
まで差し込んで
ねじってみても
鍵穴と鍵は
解除に至らず
手持ちの
えごま油を 鍵に垂らし
再度 鍵穴へ通す
鍵穴の繊細な滑車は
微かな囁きを感じ
奥までの凹凸の
鋸の刃先を進める
奥までの鍵穴の深さと
鍵の手持ちから
鍵の先の広がりから
本体への首回りが
鍵穴の形状と
互いに有しない
凹凸断面が
鍵の円周を
ピッタリと収める
この鍵が
求めていた鍵穴こそが
二つとない 一組の
求めあっていた証拠
鍵の上側の
緩い高さの刻みが
鍵穴の中の
狭い空間に木魂する
多少の微振動でも
鍵との相性は
しだいに軋む音より
組細工の滑りを感じる
何度も 奥まで差し込み
前後に 鍵を差し込み
そして左右に
振りながら解除までの
この共感する
音色はこの世界だけ
ロック解除まで
指先は指紋を削り
鍵を引き戻すことに
躊躇いを感じ
その鍵穴から
手前に戻す僅かな
響き合う声にならない
吐息を漏らし
鍵の引っ掛かりが
刹那を意味する
手前に戻すまでの
広軌から狭軌へ
その空間
その鍵穴の幅
その円周から
手前の鍵穴まで
僅かな距離が
言い知れぬ高まりを
覚えずにはいられない
鍵と組細工
ピッタリした
凹凸の別れを
惜しむかのように
鍵への愛着が
この鍵穴から零れ落ちる
えごま油は 色彩を伴い
白濁した潤滑油と なり
鍵と共にドアノブの
直下へと滴り落ちる
そして
軋む扉を開放し
招きいれてくれる
皇女と対面する
幽閉の扉には
過去と未来が
混雑している
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2025-10-13 Sena❧
ᵗʱᵃᵑᵏᵧₒᵤ❥Lᵒᵛᵉᵧₒᵤ♡.°
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