1.本件において、公立A高校の校長Yは、生徒Xらが、自らの信仰するキリスト教のある宗派についての研究発表を文化祭で行うことを認めなかった。この行為は、生徒らが自らの信仰する宗教についての発表を行う自由(以下、「本件自由」という。)を侵害し、違憲でないか。

 

2.まず、本件自由は、信教の自由(憲法20条1項)により保障される。

(1)では、未成年である児童生徒にその保障が及ぶか。

(2)この点につき、未成年者は成年者と比べて保護の必要性が高く、判断能力が未成熟であるから、一定の人権の制約も認められるものと解される。しかし、信教の自由は精神的自由権たる思想・良心の自由(同19条)の一部を為すものであり、その権利は自然権的なものであるから、未成年者であることのみを理由としてこれに制約を課すことは妥当でない。

(3)したがって、未成年者である児童生徒にも信教の自由の保障が及ぶ。

 

3.では、本件における校長Yの行為は、信教の自由に対する制約に当たるか。

 本件における校長Yの行為は、あくまで宗教的中立の原則に則ったものであり、特定の宗教の信仰を直接的に制約するものではない。しかし、自らの信仰心に基づき行動することが妨げられている以上、本件行為は信教の自由への間接的な制約にあたる。

 

4.それでは、上記制約は正当化され得るか。

(1)前述の通り、上記制約はあくまで間接的なものに留まる。しかし、信教の自由は精神的自由権たる思想・良心の自由の一環をなすものであり、その制約の正当性は慎重に判断すべきである。従って、中間審査基準が妥当するものと解される。具体的には、①目的が正当であり、②目的と手段の間に実質的関連性が認められる場合には合憲と解する。

(2)そこでまず、本件制約の目的について検討する。

 本件制約は、公立高校における宗教的中立性の原則を維持することを目的としたものである。公立高校においては、20条3項における政教分離原則が妥当するため、特定の宗教に対する援助・助長・促進・圧迫・干渉にあたる行為は避ける必要性があり、目的は正当であるといえる。

(3)では、上記目的と手段との間に実質的関連性は認められるか。

 Xらの予定していた研究発表は、キリスト教のある宗派についての成立と発展についてのものであり、この発表を禁止することで、公立高校における宗教的中立性の原則は保たれるため、本件措置は有効な手段といえる。

 しかし、Yは、発表の禁止という強硬な手段に出ずとも、上記目的を達成することが出来たと考えられる。例えばYは、Xらに対し、彼らの信仰する特定の宗教・宗派以外の様々な宗教についても言及するような中立性のある研究発表に訂正するよう求めることでも上記目的を達成することが出来た。

 したがって、上記目的に対しとられた手段は必要不可欠といえず、実質的関連性が認められない。

(4)したがって上記制約は正当化されない。

 

5.よって、本件行為は憲法20条1項に反し、違憲である。

 

 

<自己添削>

1.

・1~4(1)(問題提起、保か、制約あるか、審査基準)はここにまとめてよかったかも。

2.

・本件自由は信教の自由により保障される、と書いているがこれは×

 →信教の自由の

・未成年について書く必要はなかった。

・未成年者に対する人権制約(パターナリズムに基づく制約等)が問題になったときにかけるようにしたい。

4.

・”正当化されうるか”について、正当化の大前提として”公共の福祉(12条後段、13条後段)”について触れる必要があるか。

5.