さて、2020年である。
令和元年、ネズミ年、干支でいうと庚子(かのえね、こうし)となるらしい。干支はいわずもがな、60年に1回巡ってくるので、前回の庚子は1960年だったことになる。
辛亥革命や丙午(ひのえうま)といった例を持ち出すまでもなく、陰陽五行説により同じ干支の年には同じような出来事が起こる傾向がある、といった考え方が古くから言い伝えられてきていることは周知のことだが、それでは前回の庚子の年1960年には何があったのか、年頭に当たり確認しておこうと思い当たった。
1960年、昭和35年には残念ながら筆者はまだこの世に生を受けておらず、当然リアルタイムでの経験や記憶があるわけではないが、wikipediaの記事と父母そのほかの先輩世代からの伝聞記憶をもとにまとめてみる。
この年の1月、年明け早々の出来事としては「日米相互協力及び安全保障条約」いわゆる新日米安保条約の調印が挙げられる。国会での強行採決の映像は過去を振り返るテレビ番組などで何度か見たことがあるので、記憶の中でのインパクトは大きな事件なのだが、実はあの映像は条約承認の採決そのものではなく、国会の会期延長を議決した時のものだとか…。いずれにせよ、この強硬策が安保闘争に火をつける結果となり、6月の「全学連国会突入」「樺美智子さん死亡」といった事件につながっていく。
筆者は地方都市生まれで、安保世代の少し下の世代にあたるのだが、安保闘争というと、少し大人なお兄さん、お姉さんたちが権力に立ち向かっていったヒロイズム的闘争といったイメージがあり、その深い内容も知らずに漠然と憧憬を覚えたものである。
4月には「ダッコちゃん」がタカラから発売され、大ヒットしている。タカラは今のタカラトミー。真っ黒で、コアラのようなポーズをした小型の人形で、腕にぶら下げて街を闊歩するのが流行ったとか…。そういえば、幼少期の我が家には、タンスの上にダッコちゃんが鎮座していたような記憶がうっすらとあるようなないような…。
「ダッコちゃん」は一過性のブームに終わり、タカラの創業者が企業ブランドの確立と永続的に売れる商品の必要性を痛感したことが、後の「リカちゃん人形」の開発につながったそうだ。
同4月にはキリンビールが缶ビールを発売開始とあるので、もしやこれが日本の缶ビールの嚆矢かと思い、追加調査したところ、これは違ったようだ。前年の1959年にサッポロビールが缶入りビールを発売している。当初はプルタブもなく、フタに2か所の孔をあけて飲む、手間がかかる代物であったらしい。そういえば昭和40年代まで、たしか缶ジュースも同じ仕様だった。専用の穴あけが家庭に常備されていたように思う。
その他なんとなく(伝聞の)記憶がある事件を探してみる。
・8月 ソ連のスプートニク5号で、はじめて生物(犬、ウサギ、ネズミ、ラット、ハエなど)が宇宙から生還
・8月 ローマオリンピック(前回の東京五輪のさらにひとつ前の大会)
・9月 カラーテレビの本放送開始
・11月 巨人の新監督に川上哲治氏が就任
これより何年か後の筆者が物心ついたころには、ジャイアンツは川上監督の下、連覇の真っただ中だったように思う。タイガースファンの母親が、シーズン終盤になると熱くなっていたのを思い出す。
さすがに60年前をいまから振り返ると、歴史上の出来事といった印象が強い。
干支の解釈としては庚子の年は新たな芽吹きと繁栄の始まりの年だという。なにか新しいこと(このブログか?)を始めると上手くいくと前向きに捉え、今年一年をさわやかにスタートしたいと思う。
末筆ながら、本年一年の諸兄のご多幸を祈念させていただきます。
