ロック

のか

《注意》

クトゥルフ神話TRPG「誰がロックを殺すのか」(角刈りジョニー様作)のリプレイ文字起こしです。

下記シナリオの本編ネタバレを含みます。

また、シナリオは改編版となっております。

クトゥルフ神話TRPGの権利表記は後述。

 

▼字幕色▼

HO1 PC:蒼炎 定春  PL:定春(定)

HO2 PC:如月 凛   PL:あれん(あ)https://twitter.com/alen_1220_y

HO3 PC:四宮 圭   PL:柊 御言(柊)https://twitter.com/hiiragimikoto__

HO4 PC:獅子戸 修司 PL:Lark(L)

 

KP 海ノ海月(海)https://twitter.com/Kurage_OCS

 

▼前回はこちら▼

 

本編

幼いあなたの演奏を聴き、皆が手を叩いて心から賞賛する。

「流石修司だ」「私が知っている中で、一番上手な演奏だったわ」「君なら世界一のミュージシャンになれる」

もっと、もっと上手くならなければ。周囲の期待に応えなければ。

 

やがて大人になったあなたは、幼い頃と同じように、皆の前で演奏を披露する。

「あれ、こんなもんだっけ」「昔はあんなに上手かったのにね」「やっぱりロックは無能な者のための音楽だ」

こんなはずではない。

あなたは必死に必死に、指から血が出ても、目眩で倒れそうになっても、ひたすらに練習を続ける。

しかし、周囲のあなたへの評価は下がっていく一方だ。

 

どうして。自分には才能など無いのだろうか。音楽なんていっそ辞めてしまえばいいのか。

 

 

 

……そんな悪夢を見た。

 

 

そうして目覚めた貴方の枕元には、1枚のカードが置いてあった。

それにはどこかファンタジックな宮廷のイラストと、未知なる文字が刻まれている。

しかし、あなたはそこに書いてある文を、直感的に理解することができる。

 

『選ばれし奏者よ。その優れた才能を認め、汝を宮廷へ招待する』

 

「貴方達は早朝に家を出て一度スタジオで軽く合わせを行ってから会場へ向かい、そこで対バン(同じフェスに出演する他のバンド)との顔合わせを済ませたり、リハーサルを行ったりします。

 

そして、開演時刻の11時となる。

ステージ裏からチラリと会場を覗き見てみれば、見渡す限りの人の海である。自分たちのワンマンライブでは到底集められない、万単位の観客が押し寄せている事実に、緊張と興奮が湧き上がってくることだろう。

楽屋で打ち合わせをしたり、ステージから漏れてくる他のバンドの演奏を聞いたりしていると、探索者たちのバンドの順が回ってくる。

時刻はそろそろ日が落ちる18時頃。まだ外は明るいが、どこか夕暮れの匂いが近づいてきている。

 

ステージに上がると、大勢の観客が探索者たちへ向けて盛大な拍手と歓声を贈ってくれる。今まで経験した中で、最大級の歓迎だ。探索者は皆それぞれの自分らしいアピールをして、その歓迎に応えることだろう。

 

「なんかアピールすることありますか…?」

「アピール…?」

「言ったらファンサ。」

「ファンサwwwww」

「アドリブで…ファンサ。」

「ファンサってあれちゃうん?投げキッスとかちゃうん?」

「投げキッスしますか?いいですよ?」

「しないですしないですww。」

「【APP】使えへんの?」

「あ〜使えますね。何か行動を言ってくれれば。それに合うように。」

「ウインクします。」

「ファンサって指差しとかやろ。」

L「手ェ振るとかじゃないん。」

「ウインクもファンサファンサ。」

「俺も手ェ振ろうかな。」

「え〜、ウインクしたり手を振ったり…観客は、ファンはすごく喜びますね。」

「その勢いのまま、快調に2、3曲ほど演奏を終えたところで、またあの現象に苛まれることになります…。」

 

ライブ会場各所のスピーカーがどうも不調なようだ。ノイズ混じりの妙な音が入り込んでいるように聞こえる。

 その妙な音は、次第に会場全体を侵食していく。ステージ上のスピーカーから始まり、会場アナウンスのスピーカー、観客のスマートフォン、終いには虚空の彼方や誰かの腹の奥から聞こえてくる。

たとえ耳を塞いでも、鼓膜を破ろうと、その音は必ず聞こえてくるのだ。

耳をつんざくハウリングを合図に、会場は嵐のように風が吹き荒れ始める。

 

再び、奴が現れたのだ。

 

全身の皮膚と筋肉が微かな痙攣を起こし、それに恐怖している。

"確かにそこに存在する"。

「生きた音、トルネンブラの存在を本能的に感じ取ってしまった貴方達は【SAN値チェック】です。

四宮 圭 CCB<=69 【SAN値チェック】 (1D100<=69) > 8 > スペシャル

如月 凛 CCB<=54 【SAN値チェック】 (1D100<=54) > 25 > 成功

蒼炎 定春 CCB<=69 【SAN値チェック】 (1D100<=69) > 1 > 決定的成功/スペシャル

獅子戸 修司 CCB<=48 【SAN値チェック】 (1D100<=48) > 75 > 失敗

 

「この悪意に満ちた生きる音の存在を認識した探索者たちは、物理的に戦うすべはないと直感で理解することができる。ならば、音には音をぶつけるまでだ。もしかしたらぶっつけ本番だが、探索者たちはタカハシの残した作りかけのあの曲で、トルネンブラと戦闘することになる。」

「ではまず、【聞き耳】をお願いします。」

獅子戸 修司 CCB<=85 【聞き耳】 (1D100<=85) > 36 > 成功

四宮 圭 CCB<=70 【聞き耳】 (1D100<=70) > 67 > 成功

如月 凛 CCB<=60 【聞き耳】 (1D100<=60) > 6 > スペシャル

蒼炎 定春 CCB<=85 【聞き耳】 (1D100<=85) > 34 > 成功

 

「この【聞き耳】は、自分や他のメンバーの奏でる音をしっかりと捉えられるかどうかの【聞き耳】です。次に【芸術】を振るのですが、先の【聞き耳】の成否によって【芸術】に補正がかかります。(補正の詳細は割愛)それでは【芸術】を振ってください!」

獅子戸 修司 CCB<=90 【芸術(ドラム)】 (1D100<=90) > 12 > スペシャル

蒼炎 定春 CCB<=85 【芸術(キーボード)】 (1D100<=85) > 16 > スペシャル

四宮 圭 CCB<=80 【芸術:ギターボーカル】 (1D100<=80) > 73 > 成功

如月 凛 CCB<=80+10 【芸術(ベース)】 (1D100<=90) > 5 > 決定的成功/スペシャル

「成功した人は1d6、スペシャルの人は1d6+3、決定的成功の人は2d6を振ってください。」

四宮 圭 1d6 (1D6) > 3

如月 凛 2d6 (2D6) > 12[6,6] > 12

獅子戸 修司 1D6+3 (1D6+3) > 3[3]+3 > 6

蒼炎 定春 1d6+3 (1D6+3) > 5[5]+3 > 8

「合計29ですね。では、トルネンブラが咆哮を行います。」

 4d6   【トルネンブラの咆哮】 (4D6) > 14[4,5,1,4] > 14

「え〜…29に14なので、完全に咆哮を相殺します。なんなら、カウンターがちょっと入っているくらいです。もし、これでトルネンブラの咆哮の方が数値が大きかった場合、貴方達にダメージが入ります。」

「KP、【回避】は?」

「振ることができますが、その場合【芸術】を振ることができません。」

「なるほどね?…もう一回マイターン?」

「はい。これをあと4回繰り返します!」

「えぇ!」

「【聞き耳】から!」

獅子戸 修司 CCB<=85 【聞き耳】 (1D100<=85) > 13 > スペシャル

如月 凛 CCB<=60 【聞き耳】 (1D100<=60) > 50 > 成功

四宮 圭 CCB<=70 【聞き耳】 (1D100<=70) > 35 > 成功

蒼炎 定春 CCB<=85 【聞き耳】 (1D100<=85) > 37 > 成功

 

四宮 圭 CCB<=80 【芸術:ギターボーカル】 (1D100<=80) > 54 > 成功

獅子戸 修司 CCB<=90+10 【芸術(ドラム)】 (1D100<=100) > 85 > 成功

如月 凛 CCB<=80 【芸術(ベース)】 (1D100<=80) > 83 > 失敗

蒼炎 定春 CCB<=85 【芸術(キーボード)】 (1D100<=85) > 46 > 成功

「すまぬ〜〜〜!」

L「これやばくね?」

蒼炎 定春 1d6 (1D6) > 5

獅子戸 修司 1D6 (1D6) > 3

四宮 圭 1d6 (1D6) > 1

 

4d6   【トルネンブラの咆哮】(4D6) > 14[3,3,4,4] > 14

「9と14で、5点のダメージなので、4人全員1点ずつHPが減少して、誰かがもう一点ダメージを受けます!DEXの早い順で1d4振ります。」

1d4 (1D4) > 1

「俺か〜…【回避】!【回避】振ります!」

「あ、【回避】振るともっとダメージ増えるかも。」

「じゃぁやめときます…。」

「ではダメージを受けたみなさんは【幸運】をお願いします。」

 

【幸運】全員成功

 

「では、特に何もなしで…。また【聞き耳】です!」

四宮 圭 CCB<=70 【聞き耳】 (1D100<=70) > 38 > 成功

如月 凛 CCB<=60 【聞き耳】 (1D100<=60) > 91 > 失敗

蒼炎 定春 CCB<=85 【聞き耳】 (1D100<=85) > 19 > 成功

獅子戸 修司 CCB<=85 【聞き耳】 (1D100<=85) > 47 > 成功

 

四宮 圭 CCB<=80 【芸術:ギターボーカル】 (1D100<=80) > 50 > 成功

如月 凛 CCB<=80-20 【芸術(ベース)】 (1D100<=60) > 60 > 成功

蒼炎 定春 CCB<=85 【芸術(キーボード)】 (1D100<=85) > 76 > 成功

獅子戸 修司 CCB<=90 【芸術(ドラム)】 (1D100<=90) > 87 > 成功

 

四宮 圭 1d6 (1D6) > 5

如月 凛 1d6 (1D6) > 1

蒼炎 定春 1d6 (1D6) > 2

獅子戸 修司 1D6 (1D6) > 1

L「あれ、これやばのでは…?」

「ここからトルネンブラの攻撃がさらに強くなります!」

「終わったwwwww」

5d6   【トルネンブラの咆哮】 (5D6) > 22[4,6,5,2,5] > 22

「1人…3点のダメージ!」

「あと何ターン?」

「2!」

「わし以外みんなHP一桁やんww。」

L「お前が失敗したからこんなことになったんやろ!」

「ごめんwww!!」

「ちなみに次も強化された攻撃が飛んできます。【幸運】どうぞ!」

四宮 圭 CCB<=70 【幸運】 (1D100<=70) > 27 > 成功

如月 凛 CCB<=55 【幸運】 (1D100<=55) > 9 > スペシャル

蒼炎 定春 CCB<=60 【幸運】 (1D100<=60) > 78 > 失敗

獅子戸 修司 CCB<=50 【幸運】 (1D100<=50) > 52 > 失敗

「13点で1余るので1d4振って誰かにあげまーす。」

「いらねぇ〜」

1d4 (1D4) > 3

「あ、俺?あれん減らして欲しかったな…一番多いし。」

「【幸運】失敗した人は1d6振ってください。」

蒼炎 定春 1D6 (1D6) > 2

四宮 圭 1D6 (1D6) > 2

「先程の攻撃により、指を傷つけてしまったようだ。この戦闘の間、〈芸術(楽器演奏)〉が-5%される。」

「君たち大丈夫か?」

四宮 圭 CCB<=70 【聞き耳】 (1D100<=70) > 49 > 成功

如月 凛 CCB<=60 【聞き耳】 (1D100<=60) > 88 > 失敗

蒼炎 定春 CCB<=85 【聞き耳】 (1D100<=85) > 96 > 致命的失敗

獅子戸 修司 CCB<=85 【聞き耳】 (1D100<=85) > 48 > 成功

「致命的wwwこれ大丈夫か…?」

 

四宮 圭 CCB<=80 【芸術:ギターボーカル】 (1D100<=80) > 25 > 成功

如月 凛 CCB<=80-20 【芸術(ベース)】(1D100<=60) > 40 > 成功

蒼炎 定春 CCB<=85-30 【芸術(キーボード)】 (1D100<=55) > 58 > 失敗

獅子戸 修司 CCB<=90 【芸術(ドラム)】 (1D100<=90) > 5 > 決定的成功/スペシャル

 

四宮 圭 1d6 (1D6) > 6

如月 凛 1d6 (1D6) > 1

獅子戸 修司 2D6 (2D6) > 2[1,1] > 2

(1d6と2d6共に最低値を叩き出すという衝撃の結果に一同失笑)

6d6   (トルネンブラの咆哮) (6D6) > 22[6,4,3,2,5,2] > 22

「まず、全員に3点のダメージと…そして1点が誰かに行きます。」

「あれんにいけっ!」

1d4 (1D4) > 2

「よしっ!俺じゃない!」

L「あ、俺ぇ!まじか!」

「これ気絶か…気絶…か。獅子戸だけ【ショックロール】。」

獅子戸 修司 CCB<=35 【ショックロール】 (1D100<=35) > 53 > 失敗

「はい気絶!」

L「35やぞ?」

四宮 圭 CCB<=70 【幸運】 (1D100<=70) > 88 > 失敗

如月 凛 CCB<=55 【幸運】 (1D100<=55) > 50 > 成功

蒼炎 定春 CCB<=60 【幸運】 (1D100<=60) > 40 > 成功

獅子戸 修司 CCB<=50 【幸運】 (1D100<=50) > 47 > 成功

四宮 圭 1d6 (1D6) > 5

「更に強い音波の刃が四宮を襲う。1のダメージを受けます。」

「あ、はい。」

 

四宮 圭 CCB<=70 【聞き耳】 (1D100<=70) > 23 > 成功

如月 凛 CCB<=60 【聞き耳】 (1D100<=60) > 42 > 成功

蒼炎 定春 CCB<=85 【聞き耳】 (1D100<=85) > 9 > スペシャル

 

四宮 圭 CCB<=80 【芸術:ギターボーカル】 (1D100<=80) > 82 > 失敗

如月 凛 CCB<=80 【芸術(ベース)】 (1D100<=80) > 71 > 成功

蒼炎 定春 CCB<=85+10 【芸術(キーボード)】スペシャル (1D100<=95) > 76 > 成功

 

如月 凛 1d6 (1D6) > 1

蒼炎 定春 1d6 (1D6) > 6

 

7d6   (トルネンブラの咆哮) (7D6) > 19[2,3,3,4,4,1,2] > 19

「あ、終わった。」

「1人3ダメージ!2人死んだ!」

如月 凛  HP : 7 → 4

獅子戸 修司  HP : 2 → -1

四宮 圭  HP : 3 → 0

蒼炎 定春  HP : 4 → 1

「それでは…生き残ったふたりは【幸運】をお願いします。これで終わりです。これで全てが決まります…。」

如月 凛 CCB<=55 【幸運】 (1D100<=55) > 69 > 失敗

蒼炎 定春 CCB<=60 【幸運】 (1D100<=60) > 33 > 成功

「何失敗してんねん。」

「ごめんw。」

如月 凛 1d6 (1D6) > 6

「あ、効果ないですね。何も起こりません。」

「ラッキー!」

(この後計算ミスなのか海月KPの裁量か分かりませんが6ターン目やってます。)

如月 凛 CCB<=60 【聞き耳】 (1D100<=60) > 76 > 失敗

蒼炎 定春 CCB<=85 【聞き耳】 (1D100<=85) > 85 > 成功

「多分今芸術振っても勝てないので…【回避】を振ることをお勧めします。」

蒼炎 定春 CCB<=82 【回避】 (1D100<=82) > 58 > 成功

如月 凛 CCB<=14 【回避】 (1D100<=70) > 70 > 失敗

 

8d6   (トルネンブラの咆哮) (8D6) > 29[2,6,5,4,3,3,4,2] > 29

 

「ということは…攻撃を避けれた定春以外は、死んでしまいます。数多くの犠牲を払いながら…あ、【応急手当】あるなら振っていいですよ。3人に振れます。」

「あ、てことは3回ふって一回成功したら誰か回復できるってことか。」

 

蒼炎 定春 CCB<=30 【応急手当】 (1D100<=70) > 70 > 失敗

蒼炎 定春 CCB<=30 【応急手当】 (1D100<=70) > 70 > 失敗

蒼炎 定春 CCB<=30 【応急手当】 (1D100<=70) > 70 > 失敗

「おおっ!クリティカルか!じゃぁ獅子戸か四宮、どちらかに2d6の回復をすることができます。時間的に、助けられるのは、1人だけだぜ!」

「ちなみにこの後って敵と戦ったりする?」

「え?いや、このシナリオはもう終盤だよ。」

「どうしよう…ちょっまじでどうしよう。」

「ちなみに、全員復活できるわ。誰でもいいよ。」

「俺に選択させんの良くない…。」

「今定春は3人の命を…握っています。」

 

「海月。」

「はい。」

「ダイスで決めよう。…行きます!」

1d3 (1D3) > 1

「Larkです!」

「獅子戸は…とてつもない技術で、息を吹き返します。蒼炎は気絶して倒れます。」

L「良くないな〜…俺に…俺に全て委ねるなよ。」

「貴方が目を覚ました時、トルネンブラはいないと直感的にわかります。そして、貴方の脳に、あの歌うような声とはまた違った声が響いてくる。」

 

『君は神を殺した。君が殺した神は、せっかく君に更なる力を授けてくれたというのに、なんと恩知らずな人間なんだ。……しかし、君たちの勇姿は賞賛に値する。私が特別に褒美をやろう』

 

『宮廷の音楽祭へ改めて君を招待しよう。私と共にくるのであれば、代わりに友の命を取り戻してやってもいい…どうする?』

 

L(獅子戸)「…………それで。」

 

『宮廷に行くんだね?』

 

L(獅子戸)「うん…。全員、救おうや。」

 

『──さあ、こちらへ来るがいい。そして受け取れ、人間よ。生きる音に抗った称揚たる報いだ』

だんだんと意識が宙へと浮き上がる。

あなたの魂が現世に戻ってくることは、もう二度とない。

 

気がつくと病院にいた。目を覚ましたのは獅子戸以外の全員だった。しかし、四宮は耳が聞こえなくなってしまっていた。

完全に聞こえないわけではないが、耳元ではっきりと伝えてもらわなければ聞き取りづらい状況になっている。

しかし、獅子戸はこの病室の中にただ1人だけいない。

事故による死亡ということに処理されている。貴方達の心と体の傷を癒すのにはどれほどの時間は必要だろうか。

 

ミューフェスから数ヶ月が経ったある日

 

まだ世間では「竜巻事故」の話題が騒がれることもあるが、喜ばしいニュースも流れてくる。長年見つからなかった突発性の聴覚障害の治療法が、水門二区大学の附属病院を中心とした研究の結果ついに確立されたらしい。そう遠くない未来には、一般的に手術が受けられるようになるだろう。

 

バンドがまだ存続しているかは分からないし、音楽を続けているかも分からないが、それはそうとして探索者たちそれぞれのもとに取材の依頼が来る。音楽雑誌に記事として乗せるためのインタビューだそうだ。

インタビューの内容は、『あのミューフェスでの事件について世間に公表されていることはでっち上げだとの噂もありますが、本当のところどうだったんですか』『ザ・ウィンドフォールズとEternalはどういった関係だったんですか』などと、うんざりするような質問もあるだろう。そういった質問を省いた結果。

「ちなみに、バンドって解散しました?」

「一応続いている。」

 

海(インタビューアー)「獅子戸さんがいなくなった今後の活動についてどのように考えていますか?」

定(蒼炎)「まぁ…そうですね。もうちょっと…活動休止で俺は行こうと思います。」

柊(四宮)「まぁね、彼の意思に恥じないように。色々していこうかなと思います。」

あ(如月)「……厳し〜……」

海(インタビューアー)「えっと、答えにくいようでしたら次の質問に行きますね。では、他メンバーたちに伝えたいことはありますか?」

柊(四宮)「獅子戸なんかジャンプの主人公っすよ。自分の命を使ってみんなの命を救うとかジャンプの主人公っすよまじ。」

「あれ、これ秘匿触れんまま終わるやつ?」

 

(ということなので未発表の秘匿発表)

如月 凛 秘匿

あなたはバンド活動の裏で、個人的にインターネット動画サイトで作曲活動をしている。

ハンドルネームは「Mr.Noise」だ。

バンドだけでなくこちらでもかなりの人気があり、あなたは自分の作る曲に誇りを持っている。

今のところは家族やメンバーにも、Mr.Noiseとしての活動のことは明かしていない。

(ちなみに作注意登場したトラブルメーカーのMr.Noiseとは別物です。)

 

四宮 圭 秘匿

あなたは幼少期に突発性の難聴にかかった。

全く音が聞こえないわけではなかったが、日常生活にかなり支障はあった。

未だそれの治療法は確立されていない。そんな中、テレビでザ・ウィンドフォールズのライブの映像を見たあなたは、音楽がよく聞こえないにも関わらず、その圧倒的雰囲気とリリックにより一瞬で彼らの虜になった。

しかし、十数年前にあなたの聴力は突然治った。医者はこれを奇跡の回復として研究が進められるも、あなたの聴力が治った原因は未だに解明されていない。

 

獅子戸 修司 秘匿

あなたは幼い頃から音楽に触れて育ってきた(それはロックでは無い音楽だったかもしれないし、様々な音楽だったかもしれない)。

いつだったか。あなたの頭に、誰かの声ともとれる音が囁いた。

『──力が欲しいか?』

その時から、あなたには更なる音楽の才能が芽生えた。突然のことで初めは戸惑っていたあなた。

しかし、その力を受け入れたか受け入れていないかは別として、今ではバンドでその能力を大いに発揮して貢献している。

 

「あと『1220』って知りません?」

「ちゃんと出たよww。4桁のパスワード…」

「あぁあったな。Larkが破壊したやつ。」

「あ。それに入れればよかったのね。」

 

海(インタビューアー)「それでは最後の質問です。貴方達にとって、『ロック』とはなんですか?」

柊(四宮)「魂っす。ソウルっす。ソウル、魂っす。」

あ(如月)「…まぁ、人生の一部みたいなもんじゃないっすか?」

定(蒼炎)「う〜ん…最初も言ったんっすけど。俺は。『ロック』は目標っすね。」

海(インタビューアー)「じゃぁ、これでインタビューを終わらせていただきたいと思います。」

 

「竜巻事故」のニュースもすっかり見なくなってきた頃。スタジオの片隅に置かれたフリーペーパーの音楽雑誌には、見開きでこのような記事が載っていた。(先ほどのインタビューの内容が載っている)

そして、その隣には先日メジャーデビューシングルを発表したという若手ロックバンド4人組が、気取ったポーズで写真に収まっている。そのバンドのリーダーは、インタビューでこう語ったという。

『ミューフェスで初めてEternalさんの演奏を聞いて、"ああ、これが、これこそがロックなんだな"と、物凄い衝撃が走ったんです。その影響で、僕達も自分の中のロックを世界に知らしめたいと、メジャーデビューすることを胸に決めました』

 

 

その音楽雑誌は誰かの目に留まり、1冊、また1冊と誰かの手に渡っていく。

その"誰か"とは、スタジオに来るミュージシャンたちであり、彼らは明日のロックを担っていく者たちだ。

 

ロックはまだ死んでいない。

 

きっと、誰かががむしゃらに今日を走り続ける限り、ロックは誰にも殺されやしないのだろう。

少なくとも、私はそう信じている。

 

「世界の終わりに、キミならどんな音楽を聴く?」

 

 

 

「ロック? ははっ、そりゃ最高だ」

 

 

 

「……まあ、一概にロックとはいってもいろいろあるけれど」

 

 

 

「夜の雨音、街の騒音、酔っ払いの即興鼻歌だって、聞く人によっちゃあロックってもんだろ? 音楽に縛らなくってもいいなら、キミのイキザマだって、俺は相当にロックだと思うね」

 

 

メンバー+αによる「誰がロックを殺すのか」ーENDー

 

 

 

-【クトゥルフ神話TRPG】-----------------------------------------------------------------
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
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