落合みつをの曲「阿弖流為と母礼」について
北の英雄アテルイ『阿弖流為伝・火怨』~古代大和に抗った叛の心~
北の英雄アテルイ『阿弖流為伝・火怨』 あらすじ
東北に慎まやかに過ごす人々がいた。都の者たちは遠く離れたこの地を「蝦夷」と呼んで卑しんだが、朴訥と日々を過ごし、笑い、労わりあう姿は都の人々となんら変わりはなかった。
ある日、丹沢(現在の岩手県奥州市)の族長の娘・阿佐斗が大和朝廷の兵たちにより拉致された。阿佐斗の兄で族長の息子であった阿弖流為=アテルイは、 今は大和朝廷に仕えていた呰麻呂や母礼に協力を求め、妹奪還の兵を挙げる。
見事、多賀城を陥とし、阿佐斗を奪還するが、蹂躙のショックから阿佐斗は記憶を失っていた。大和朝廷への怒りを募らせる阿弖流為たちに、今や阿弖流為の盟友となった母礼は大和朝廷は必ずこれをきっかけに攻め込んでくると忠告する。阿弖流為は族長である父を説得し、自らが族長として戦場へ向かうのだった。
延暦13年の大きな戦いでなんとか勝利した阿弖流為たちだが、田畑は荒れ果て、山や川は荒廃した。なんのために戦ったのか。戦わねば大和朝廷は蝦夷たちを蹂躙し、 全てを奪い、奴婢として都へ送られる。しかし戦っても大切なものを失う・・・そんな折、奴婢として都に連れ去られた兄の阿万比古が舎人に出世し、帰ってきた。 喜び迎える家族と蝦夷の人々だが、実は阿万比古は阿弖流為暗殺の密命を帯びていた。苦しんだ阿万比古は自死を選ぶ。
次第に追い込まれ、内部から不協和音を生じだす蝦夷たち。家族の夢、蝦夷たちの幸せ、先に逝きしものたちの願い、ふるさとへの慕情・・・すべてを背負って阿弖流為は再び戦場へ、 坂上田村麻呂が待つ戦場へ向かうのだった・・・。
僕は奥州市水沢で歌う縁をもらい、水沢/胆沢の歴史に触れることができた。
その土地で今も息づく蝦夷の根本的な考え「平和と共存への願い」を学んだのだ。
人間も動物も、植物も山も川も、共に支え合って生きていく。
「あるもの全て奪う」のではなく「命を分けてもらう」という考え方。
これはアイヌの文化にも共通した価値観だと思った。
縄文の時代から育まれたであろう「共存」という教えはまさに今、この現代に必要な価値観なのではないかと思う。
補足説明:歴史とは様々な時代背景を考慮すべきものであり、このブログ内容は当時の大和朝廷を否定するものではないことを記しておく。
落合みつを作 試聴 「阿弖流為と母礼」
阿弖流為と母礼
描いた未来は争いのない世界
流れた涙を紅く染めて
束ねた髪揺らし やま駆ける戦士たち
契ったくちびるに願いを乗せて
明日の為に歌おう 涙を葬ろう
山と共に生きよう 眠る日まで
守った命は未来へ繋ぐ生糸
風と共に歌おう 踊って 葬ろう
川と共に生きよう 眠る日まで
描いた未来を 見守る星がふたつ
遥かな西の空 今を見てる
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作品コード
250-0756-4