6月の5年生クラスの実験テーマは「植物の体・ミクロ編③(葉)」でした。
“植物の体をミクロに観察する”シリーズの最終回です。
まずは、質問から。
植物は、動物のように動いて食べ物を得ることができませんね。
では、どうやって必要な栄養分を摂っていると思う?
「土から吸っている……?」
残念ながら×。
水と一緒に土から吸っている養分はミネラルなどごく限られたもので、三大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)は含まれていません。
「あ、“光合成”してるんだっけ」
その通り! 植物は、光合成によって、自分で栄養分を作り出すことができるのです。
光合成とは、水と二酸化炭素を材料として、光エネルギーによってデンプンと酸素を作ること。その光合成のおもな舞台となるのが、葉です。
それでは、植物が光合成をしていることを確かめる実験を2つやってみましょう。
ひとつ目は、光合成によって酸素が作られることを確認する実験です。
パセリを入れたビンに燃えているロウソクを差し込んで、火が消えるまで待ちます。こうして酸素を無くした状態で、日光の当たる所に30分ほど置いておきます。
再びロウソクを差し込んでみると……
少しの間ですが、火は消えずに燃えました!
パセリが光合成したことによって、酸素が作られたからですね。
もうひとつは、光合成でデンプンが作られることを確かめる実験。
斑(ふ)入りのアサガオの葉を使います。丸一日真っ暗な箱の中に入れておいた葉に、一部分だけアルミホイルをかけ、三時間ほど日光を当てます。
この葉に、(エタノールで脱色してから)ヨウ素液をかけてみましょう。
すると……青紫色に変化しました!
デンプンができた証拠です。
アルミホイルをかけた部分や、葉の白い斑の部分はデンプンができていませんね。
光合成には光と葉緑素が必要なことも確かめられました。
ここからは、さらにミクロに探究!
光合成に欠かせない葉緑素は、葉の中のどこにあるのか、見てみましょう。
ツバキの葉をごく薄く切って断面を顕微鏡で観察します。
「これくらいの厚さでいい?」「……もっと薄く!」「ひえ~」
カミソリの使い方に苦心しながら、なんとか薄く切ることに成功。
葉の断面を見ると、無色透明の表皮に挟まれて、四角い緑色の細胞がぎっしり並んだ柵状組織と、丸い緑色の細胞がゆるく詰まった海綿状組織が見えました。
ひらひらと薄く見える葉も、こんな4層のサンドイッチになっていたんだね。
緑色の細胞をさらに拡大すると……細胞の中に緑色の粒々を発見。これが「葉緑体」で、光合成を行なう部分だということもわかりました。
最後に、葉の表面にある、酸素・二酸化炭素や水蒸気が出入りする穴、「気孔」を観察しました。
材料は、ヒメムカシヨモギという、今の時期は道端にいくらでも生えている雑草。
葉の裏側の表皮を引きはがすように取り、顕微鏡で観察すると……
「コーヒー豆みたいなのがいっぱい~」
唇形の気孔がたくさん見えました。
気孔を開け閉めする孔辺細胞には、葉緑体があることもわかったね。
三回にわたってじっくり観察した“植物の体ミクロ編シリーズ”、これにて終了!