5月の4年生クラスの実験テーマは「滑車」でした。
滑車は、昔は井戸などに、現代ではエレベーターやクレーンに使われている、身近な装置です。
前回のてこ・輪軸のように、滑車にも「小さな力で大きな力を生み出す」ヒミツがあるのでしょうか?
それを探っていきましょう!
滑車、と一口に言っても、「定滑車」と「動滑車」の二種類があり、性質が違います。
それぞれについて、おもりを持ち上げるのに必要な力の大きさと、おもりを持ち上げるのにどのくらいの距離を引く必要があるか、調べていきます。
まず、定滑車について実験しました。
50gのおもりを持ち上げるのに必要な力は、おもりの重さと同じ50g。ひもを20㎝引けば、おもりは20㎝持ち上がります。
力も長さも変わらないのに、なぜ定滑車を使うのかと言うと、力の“向き”を変えられるからです。重い物を持ち上げる際に、上向きに引っ張るより下向きに引っ張る方が、重力も利用できて楽になるわけです。
今度は、動滑車について調べます。
おもりと動滑車自体の重さを合わせて60gのとき、これを持ち上げるのに必要な力は、半分の30gでした。
ひもを20㎝引くと、おもりの持ち上がった距離は半分の10㎝。
「力で得をしたら、その分、長さでは損をする」のは、てこ・輪軸のとき同じなので、子供たちも納得顔です
でも、ここからが大事なポイントです
なぜ、動滑車を使うと半分の力で持ち上げられるのでしょうか。
定滑車があるから
違いますね。
定滑車は力の大きさは変えないはずです。
動滑車をつっている左右2本のひもに注目です。
この2本に重さが分散するから、1本は半分の力で済むのです。
もう片方のひもを持ってくれているのは、ひもをかけているフックです。
そのことを実感してもらうために、こんな実験をしました。
まず、5㎏のコメ袋を一人で持ったときと、二人で持ったときの重さの違いを感じてもらいます。次に、袋の持ち手の片方を手すりにかけて一人で持ってみると、手すりが半分持ってくれているので、二人で持った時と同じ軽さになります。
では、持ち上がる距離が短くなるのはどうして?
動滑車とひもをじっと見つめて考えていた子供たちから、
「引いたひもの長さも、左右に分けられてしまうから」という意見が出ました。
大正解
動滑車のヒミツがわかったところで……
動滑車を2個に増やしてみましょう。
2個の動滑車が一体となって動くように人形のおもりをぶらさげて、実験しました。
結果は、持ち上げる力は(おもり+動滑車の重さの)4分の1。持ち上がる距離も引いた距離の4分の1。
みんなの予想通りでした
「動滑車をつっているひもが4本あるから」と説明もしっかりできたね
最後に、オマケの実験として、動滑車2個を貼り合わせてクレーン型にしてみまし
た。
ひもをたくさん引いても、「なかなか上がらない~!」
鉛筆を乗せて、落とさずに持ち上げられるか?!と誰かが始めて、クレーンゲームをしながらお開きとなりました