5月の鵜の木クラスの実験テーマは「アジの解剖」でした。
なぜ魚の体を観察するかと言うと……
魚は人間の遠いご先祖様だからです。
背骨のある動物の仲間(セキツイ動物)は、魚類から始まって、両生類、ハ虫類、そして鳥類とホ乳類へ進化してきました。
だから、魚の体を観察すると、ヒトがどんな風に進化してきたかも学ぶことができるのです。
実験の前に、「解剖実験は、“命”を使って学ばせていただく勉強です。感謝の気持ちを忘れずに、大切に扱いましょう」というお話をしてから、さっそくアジの登場です。
まずは、外側から観察。“見る”だけではなく、動かせるところを全部動かしてみよう!
口はどこまで開くかな?
エラぶたを開けると赤いエラが見えるね。
体をクネクネさせると、私たちと違って左右の方が曲がりやすいね。
初めは恐る恐る触っていた子供たちも、段々と魚に触れることに慣れていきます。
ここでクイズ
「ヒレは全部で何枚あるかな?」
ヒレを広げながら数えていきます。
「えーと……5枚?」 左右に2枚あるヒレもあるよ。
「じゃあ、7枚!」 正解
2枚ずつある胸ビレと腹ビレは、魚が進化して陸に上がった時、手や足に変化したヒレです。
ここまで観察したことを、スケッチにしてまとめました。
ここからは、いよいよ解剖スタート!
まず肛門から解剖バサミを入れて、あごに向かって切ります。
次に肛門から背骨へ、背骨からエラまで皮と肉を切って取り除くと……
窓が開いて内臓が見えるようになりました。
「これ、卵?」「そうだよ。だったら、オスかな、メスかな?」「メス!」
見えた内臓を取り出しましょう。エラの付け根をハサミで切ってエラを引っぱり出すと、心臓や消化管も一緒につながって出てきます。
まず、各臓器がよく見えるように広げてスケッチ。
ヒトと比べると、腸はとても短く、一往復しているだけですね。
それから、消化管は口から肛門まで一本の管であることを確かめるために、BB弾を通してみます。エラの真ん中ののどから入れ、食道を通り抜けると胃に入ります。
「胃の中で見えなくなっちゃった!」「胃からの出口がわからない……」
ようやく腸に進むと、今度は腸に詰まったフンが通せんぼ。
フンを押し出すようにして、どうにかBB弾を脱出させることに成功しました!
胃の中に入っているものは何だろう? 切り開いてみると、小魚が何匹も見つかりました。魚は、食べ物をかまずに飲み込んで、胃液で溶かして消化するからです。
消化器のほかに、心臓、エラなども観察してスケッチしました。
目の中の水晶体を取り出してのぞきこむと、レンズのように向こう側が逆さまに映ることが確認できました。
最後に、三枚おろしにして背骨を観察。
背骨のすぐ下には太い血管、すぐ上には白っぽい神経が透けて見えます。
セキツイ動物の背骨は、体を支えるだけでなく、脳から続く中枢神経を守るという大事な役割を持っていることも学びました。
ここまで観察しつくしたアジは、最後はきちんと新聞紙で包んで片付け、感謝して終わりました