5月の5年生クラスの実験テーマは「植物の体・ミクロ編②(茎・根)」でした。 

4月の「花」に続いて、植物の体をミクロに観察するシリーズ第二弾です。 

 

まずは、茎から見ていきます。 

茎には大きく分けて2つの役割があります。
ひとつは、花や葉を地面から持ち上げて広げる、つまり体を支えるという役割です。 

もうひとつは、水・養分や栄養分の通り道であること。
では、水や養分は、茎の中をどのように通るのでしょうか。
茎がストローのような一本の管になっている? 
それとも、茎全体がスポンジのように水を吸い込む? 

 

さっそく、観察してみましょう! 

 

セロリの茎(※厳密に言うと、茎ではなく葉柄に相当)を、縦に切り込みを入れて三つ又にし、それぞれを赤・黄・青の色水に浸けて半日置きます。すると、茎の中や葉の先がうっすらと色づいてきます。色水が先まで行き渡った証拠です。 

 

 

そこで、茎を切って中の様子を調べてみます。横に切った断面には、三色別々の点がきれいに丸く並んでいます。縦に切ると、色水の通った道筋が線になって見えます。 

茎の中で水や養分の通る所は決まっていて、きちんと並んでいることがわかりました。 

               

 

アスパラガスで同じように実験してみると、通る所が決まっている点は同じですが、一列に丸く並んでいるのではなく、(芯の部分を除く)全体に散らばっていました。

 

      

 

セロリとアスパラガスは、違うグループ(双子葉類と単子葉類)の植物だからです。 

 

水・養分の通り道の様子が大体わかったところで、今度はミクロに見ていきましょう。 

 

赤い色水に漬けておいたハルジオンの茎をカミソリでごく薄切りにして、プレパラートを作ります。 

 

「薄く切るの、超難しい……」  

細かい細かい作業だけど、頑張ったね! 

 

顕微鏡で観察すると、セロリの時と同様に、赤い部分が一列に丸く並んでいます。倍率を上げて見ると、赤い部分には大きな穴がたくさんありました。これが「道管」で、水や養分が通るパイプです。隣にはもう少し小さい穴の集まりがあり、こちらは(葉で作った)栄養分が通る「師管」。

 

 

両方合わせた「維管束」は、いわゆる野菜のスジです。維管束同士が輪になって手をつないでいるように見える部分は「形成層」と言って、そこが成長していく、ということも学びました。 

 

さて、今度は根のお話です。 

 

根の役割も2つあり、ひとつは地面の中に広がって体を支えること、もうひとつは、土から水や養分を吸収すること。 

 

……でも、おかしいですね。さっきセロリやアスパラガスは、根が無い状態でも水を吸いました。水を吸うのに、本当に根が必要なのでしょうか? 

 

そこで、こんな実験をしました。ホウセンカの苗数本を土から引き抜いてしばらく乾かし、少ししおれさせておきます。半数はそのまま水に差し、半数は根を切って水に差します。どちらも水を吸って徐々に元通りになっていきますが、根がある方が回復のスピードが速いのです。

 

 

 

 

つまり、根が無くても水を吸うことはできますが、根があることによってより効率的に水を吸うことができるわけです。 

 

では、根にはどんなヒミツが隠されているのでしょうか? 

 

ハツカダイコンの種を水でぬらしたティッシュの上にまき、数日たつと、根が1~2㎝に伸びます。根の先の方にはふわふわの白い毛がびっしり。

 

 

これは「根毛」と言って、どんな植物の根にもあります。実は、この根毛があることによって根の表面積が増え、水の吸収力が高まっているのです。だから、根がある方が水を素早く吸うことができたんですね。 

根の先の方、と言いましたが、本当の先端には根毛はありません。ここは「根冠」と言う固い部分で、土の中を伸びていく根の、いわば“ヘルメット”の役割を果たしています。 

 

ヒトの体もそうですが、植物の体は本当によくできていますね。 

 

~ 次回は、植物の体・ミクロ編、いよいよ最終回です! ~