5月の3年生クラスの実験テーマは、「動物・植物細胞の観察」でした。
生物(動物、植物、微生物)の体は、「細胞」という目に見えない小さな袋がたくさん集まってできています。細胞は、うすい膜の中に水分が入った形をしていて、ちょうど水風船のような感じです。
では、たくさんとはどのくらいの数でしょう。
「人間ひとりの体に、細胞は何個あると思う?」
「1兆個!」
なかなかいい線です
答えは37兆個。
その分、大きさは非常に小さくて、0.01~0.1mmしかありません。
肉眼では見えないので、顕微鏡を使って観察していきましょう!
まずは、顕微鏡の使い方からスタート。
顕微鏡を使ったことがある人!と聞くと全員手が上がりましたが、各部の名称などは詳しく習っていない様子。
そこで、「接眼レンズ」「対物レンズ」……といった名称から学習します。
難しい漢字が多いですが、みんな一生懸命テキストに書き込みました。
使い方の手順も一通り学んだところで、操作の練習をしてみましょう。
スライドグラスの表と裏に、色ペンで小さな点や線を書き込み、顕微鏡で見てみます。調節ネジをゆっくり回していくと……
「見えた!」「うわ、おっきい」
小さく書いたものが、こんなに大きくなるんだね。
表と裏で、ピントの合う位置がずいぶん違うこともわかりました。
さらに、対物レンズを替えて倍率を高くする練習もして、準備OKです。
では、いよいよ本物の細胞の観察です。
「まず、自分の細胞を見てみよう!」と言うと、「えっ、血を取るの……?」と表情が固まる子供たち
大丈夫、頬の内側を爪楊枝で擦るだけで採れるから、痛くないよ
スライドグラスに擦り付けて、染色液を一滴たらし、カバーグラスをかけてプレパラートが完成。みんなとても上手にできました。
さっそく顕微鏡で観察すると、紫色の染色液の中に眼玉模様のようなものがいくつも見えます。これが自分の細胞。黒目の部分は細胞の核です。
みんな夢中でスケッチしました。
続いては、植物代表タマネギ。
身をパラっとはがした中の薄皮を、カミソリで数mm角に切り出します。プレパラートにして顕微鏡をのぞくと……
「なんかスゴイ!」「気持ち悪~い!」と大騒ぎ
レンガのようにぎっしり並んだ細胞はかなりのインパクトでした。
倍率を最大にすると視野からはみ出てしまう細胞の大きさにも驚きましたが、動物細胞との一番の違いは、細胞と細胞と境界線が二重に見えること。
それは、「細胞壁」と呼ばれる厚い壁なのです。
では、細胞壁は、どんな役に立っているのでしょうか?
水風船を使ったモデル実験をしてみましょう。
植物細胞に見立てた水風船をひとつずつ(細胞壁代わりの)ボール紙でくるんでテープで留めます。これはしっかりしたつくりになるので、積み重ねて三段のタワーにすることもできます。
一方、動物細胞に見立てた水風船は数個まとめてラップで包みます。こちらはグニャグニャで、立てることもできません。(骨に見立てた)定規に貼り付けると、ようやく立たせることができました。
つまり、細胞壁があるおかげで、植物は骨がなくても体を支えることができるということがわかりました。
今日の実験ですっかり顕微鏡観察のプロになった子供たち
水風船のお土産を手に、元気に帰っていきました