4月の5年生クラスの実験テーマは「植物の体・ミクロ編①(花)」でした。 

 

中学年の時に植物の体を「外から」見て観察した子供たちは、高学年では植物の体をミクロに観察していきます。今月はその第一弾、「花」。 

 

花の役割は、種子を作って子孫を残すこと。 

そのために、どんなつくりを持っているのか探っていきましょう! 

 

ツツジのなかまの花を分解して、どんなパーツからできているか調べます。(本日の材料はクルメツツジとサイカイツツジ。)  

まず、5枚がくっついてひと続きになっている花びらをはずし、きれいに広げてテキストに貼り付けました。

次に、真ん中にある長いめしべとその周りにあるおしべをはずして並べます。 

「おしべは何本ある?」「えーと、5本!」  

その通り。花にはそれぞれ基本数があって、花びらが5枚ならおしべも5本(またはその倍数)であることが多いのです。 

めしべの根元はがくにしっかりついているので、途中で折れないように気をつけてはずします。

めしべ・おしべ・がくもテキストに貼ったら、簡易標本のできあがり。 

 

   

 

これが花の「4要素」です。 

 

では、4要素のそれぞれの役割は何でしょう? 

めしべの根元のふくらんだ部分(子房)は、動物の子宮に当たるもので、中には種子の素である胚珠が入っています。カミソリで縦に切って中を観察し、小さな小さな粒々が入っていることが確認できました。 

 

  

 

一方、おしべの先のやくでは花粉が作られます。この花粉がめしべの先につく(=受粉)とそこから子房に向かって花粉管が伸び、胚珠に遺伝情報を届けます。そこで胚珠の持っている遺伝情報と合わさって、種子ができるのです。 

がくは地味ですが、他の要素をまとめて大切な部分を守る、という役目を持っています。 

 

では、花びらは一体どんな役割を果たしているでしょうか?  

 

実は、きれいな色で虫をおびき寄せているのです。虫は花びらに誘われて飛んできて、花の蜜を集めて回ります。虫の体についた花粉は(同じ種類の)別の花に運ばれて、そこで受粉します。 

動けない植物は、こうすることによって、遺伝子の多様性を確保しているのです。(ちなみに、植物は生涯で二度旅をすると言われます。一度は花粉として、もう一度は種として。) 

虫にうまく運ばれるために、花粉にはある工夫がされています。ハルジオンの花粉をセロテープでスライドグラスに貼り付け、顕微鏡で観察すると……「ラグビーボールみたい」「まわりがすっごいギザギザ!」 

虫の体にくっつきやすいように、トゲがいっぱいついていることがわかりました。 

 

    

 

花粉を虫ではなく風に運んでもらう植物もあります。代表的なのがスギ。今の季節なら、家の門やドアにセロテープを押し当てるだけで採集できます。 

顕微鏡で見ると、いかにも風でよく飛びそうな、小さく、つるっとした風船のような花粉でした。 

 

最後は、身近だけれども実は面白い花、タンポポを観察します。 

 

一つの花に見えるのは、小さな花の集合体です。花を縦に割いて、一つの花(花びら1枚に見える部分)を取り出し、ルーペで観察。細い花びらをよく見ると、極細の花びら5枚がくっついてできているし、おしべはなんとめしべの根元に一体化してしまっています。 タンポポは、究極のコンパクト設計の花だったんですね。 

がくは、子房の上の毛ですが、これがやがて“綿毛”になる部分です。花と綿毛を並べて、「ここ(子房とがくの間)が、ぐーんと伸びたんだね」ということもわかりました。 

        

 

授業が終わると、教室の窓からタンポポの綿毛を吹いて飛ばそう!とはしゃぐ子供たち。 

また、水に差したタンポポの茎の端がくるんとカールしていることに気づいて、「すごーい」「なんか、カワイイ💛」と喜んだり。

 

  

 

近年は植物をおもちゃにして遊ぶ機会も減ってしまいましたが、いつの時代も子供たちを惹きつける魅力があるのですね🌸