一番最初に送りたいラブレターは、あなたしか思いつきません。
ママ、
私はあなたに似ていることが、一番嬉しい。
あなたの子どもとして産まれたことは二番目。
とにかく、あなたの面影や雰囲気を自分の中に見つけることができる瞬間が、
何より嬉しい。

ママ。
ずっと一人ぼっちで戦わせてしまってごめんね。
目が見えなくなるって宣告された日から、
ううん。もっともっと前から。
サヤちゃんと私の手を引いて、ずっとずっと握ったままいてくれたね。
お財布を出すときくらい、ちょっとくらい手をはなしても大丈夫なのにね、今もずっとわきにはさんだままいてくれる。

大きな大きな病院を、二人で見上げたことを、
最近本当に頻繁に思い出します。
ママは、本当はすごく怖かったよね。
不安なんてとっくのとーに通り過ぎて、怖かったんでしょ?
でも、諦めてなかったね。
「見えなくなったりなんてしないよ」って、どうして嘘ついたの?
ってさ、いっぱい責めたこと。今はすごく後悔しています。
嘘をついたんじゃない、あきらめてなかったからそう言ったんだって、今ならわかるんだ。

ビールを片手にぷはーっとするママのとなりで、(私は何のために生まれてきたんだろう?)って嘆いていたころが、
もう懐かしく思えます。
私は相変わらずよわよわで、体を壊してばっかりで、悪夢のような過去にふりまわされてしまっているけれど、
(何のために)なんていちいち考えなくなりました。

ママが産みたくて育ててくれたように、
私もママに会いたくて生まれてきたの。
セラとお姉ちゃんに守られて、
今はすぐとなりでケンタが「守れる男」の準備をしてくれていますよ。

私は、ママとサヤちゃんとおばあちゃんにたくさんたくさん愛されるためだけに、
この世界にやってきたんだよ。
だから大丈夫。あなたのところへ帰れる日がきたら、もっと自分に自信を持って帰れると思うから。

もう少しだけ、あがいてみてもいいでしょうか?

ママの分身2号より