吉田夕日監督自身のお産の話を聞く

 

 

9月に1%の風景を観た私の感想

映画「1%の風景」とは何ともキャッチ―なタイトルで、確かに助産院の景色は1%だなと思って私は映画を観たくなり、

9月に名古屋までこの映画を観に行った。

映画を観終わった私は、このまま助産院のお産は消えていってしまうのかなぁ?という寂しい気持ちが払拭しきれずモヤモヤとした気持ちで帰ってきてしまった。

 

坦々と助産院の日常を切り取った映画だった。

助産院をどう思うかは、見た人それぞれに任せるという撮り方で、特に物凄いドラマがあるわけでもなく、涙で盛り上がるシーンがあるわけでもなく。

ひたすらに日々の助産院が坦々と描かれている。

 

赤ちゃんが無事に産まれて、ふうっと一息ついたかと思えば、そこからご飯や沐浴などと言ったお世話が始まり、日常が展開していく。助産師会のメンバーと地域に出て活動したり、学生さんが来たり、事務作業をしたり。

 

ただ、時の流れはゆっくりで、静かで、温かい。

素敵な映画でもあり、寂しさを感じる映画でもあった。

 

この映画を一般の人が見たらどんな感想を抱くのだろう?

 

そもそも、助産院という選択を知らない人が多い。

そして助産院と言う言葉を聞いたことがあるといっても、実際と違うイメージを持っている人も多いだろう。

また、助産院というと畳の上で産むことが出来るとか、昔ながらのやり方のお産ができるといったイメージの人も多く、その為に医療が使えないから危険なのではないかと思っている人も多いだろう。

 

一般の人が観たら、助産院のお産は昔話の様に見えるかもしれないとまたモヤモヤ。

 

そんなモヤモヤとして気持ちを抱えていたけど、10月は何故かお産が多く、元気を沢山もらって忘れている時間も多かった。

でも、ふとした瞬間に、未来に助産院のお産は残っているのだろうかと寂しく思える時もあった。

 

 

助産哲学を学びに

そんな折、丁度次のお産までにちょっと遠出しても大丈夫な時間が出来、久々に県外に出かけてきた。

山梨県助産師会主催で、ドーリング景子さんから助産哲学の講義を受けた後、助産師さん達と語り合うという会だった。

県内や県外からも沢山の助産師さん達が集まっていた。開業助産師も沢山いたが、悩みを抱えて気持ちがちょっと落ちている助産師も、病院のお産を変えていきたとギラギラしている総合病院の師長さんも、連携医療施設の助産師さんも、クリニックの助産師さんに学生さんも、開業したての助産師さんも、助産師ではないけれど助産師さんを応援したいママ達も色々な立場の人が来ていた。静岡でこうした会を開くと、先ず勤務助産師さん達はほとんど来れない。ので、県外からも勤務助産師さんがたくさん来ていることに驚いた。それだけ、今を変えたいと願う助産師が多いんだと思う。

みんなと何を話したのかあんまり覚えていない。

でも、悩みや愚痴やアイデアを出し合いスッキリして、楽しくなって、元気が出た。

 

家に帰るとご機嫌な母に、子ども達がまとわりついてきた。

子ども達は、母の機嫌がいいか悪いかを一瞬で察知する能力に長けていて、この日は何故かみんなが一緒にふろに入りたがり、ベッドにもやってきて狭いのにみんなでぎゅうぎゅうになって寝た。

次の日も知らず知らずのうちに鼻歌を歌っていたらしい。

単純なものである。

 

単純な私の願いも単純なのだ。

 

私の願いは単純で幸せなお産のお手伝いがしたい。

 

しかし、今のお産の多くは、私が思う幸せなお産とかけ離れているように感じるのだ。

が、自分の価値観を押し付けるのもまた違うと思っている自分がいて、モヤモヤが消えきれないでいた。

今回、山梨で沢山の同じ思いの人たちと出会い、語り合ったことで、モヤモヤした気持ちが消えたわけではないけど、私が今できることをコツコツとしていくしかないと言った心境に心が落ちた。

 

そして、山梨から1週間したころ、ロンドンの助産師さんからの声掛けで、またまたお産について語り合う別の会に参加した。

主催は、「みんなでお産をみなおさん?」というグループで、日本や海外で活動する助産師、助産師ではないけれど日本のお産をよくしたいと願っている人達がメンバーで構成されている。

毎回、みんなで誰かのお産の話を聞いて、その後小グループに分かれて深堀していくという会を開催している。

 

今回は、11/3のいいお産の日に映画「1%の風景」の吉田夕日監督ご自身のお産のお話を聞く会だった。

あの映画を作ろうと思った監督は、どんなお産だったのだろう。

単純に、聞いてみたくて参加した。

夕日監督は、お一人目を病院で出産され、それはそれでよいお産の体験だったと言っていたが、二人目を助産院で出産し、また全然違う良さに気づいてしまった。というお話だった。

継続ケアの安心感や自分だけのオーダーメイドのケアなどがそこにはあって、自分が大切にされているということを実感したようだった。

 

 

この助産院や自宅出産というお産の選択肢を残したい。

 

その思いで、夕日監督は映画を作られた。

良いお産を体験した女性は、その後何かに突き動かされて新たらしく何かを始めたり、今まで眠っていた夢を実現しようと動き始める人が多いように思う。

夕日監督がそうだったかはわからないけど、少なくとも私の周りにはお産を機に人生を見つめなおし、起業する女性が多い。

そんな人生観が変わてしまうお産を女性に体験して欲しい。

 

みんなでお産をみなおさん?に参加して、やっぱりこの日本お産は宝である事、無くしてはいけないと思っている人がいる事、どうしたら今の日本を変えていけるのかと必死に考えてくれている人たちがまだまだ沢山いる事、もう何年何十年とこのことを叫び続けてきている人たちがいる事を改めて知り、モヤモヤしている場合ではないなと単純な私は元気をもらった。

 

そして、山梨で学んだ助産哲学について一緒に学ぶ助産師を増やし、助産師が助産師として働く心をもっと強く持つように働きかけることが出来るといいなと思い、助産哲学を学ぶ会を始めることにした。学ぶ会と言っても誰が教えてくれるわけでもなく、みんなで学び合う会なんだけど…(^^;

 

初回は、11/10 19時からZoomですることに決定‼

参加希望の方は、私まで連絡ください。

ただし、参加には日本助産師会出版の「女性と助産師のパートナーシップ」が必要です。

また、基本的には助産師向けの学びの会となりますので、ご了承くださいませ。